2024年11月4日更新.2,470記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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冷所保存する薬一覧

薬剤師

冷所保存の錠剤とかもあるんですね

冷所保存する薬

冷所保存に関して添付文書に記載のある薬には以下のようなものがある。

医薬品名貯法等
アニスーマ坐剤冷暗所保存
アルキサ軟膏2%なるべく冷暗所に保存すること。
アルケラン錠2mg2~8℃で保存
アンヒバ坐剤冷暗所保存
アンペック坐剤冷凍を避け,室温(1~30℃)で保存
エスクレ坐剤湿気をさけ、冷暗所保存
エポセリン坐剤アルミ袋開封後は、光及び湿気により黄変することがあるため、冷暗所で保存することが望ましい。
エンシュア・H本剤を冷凍するのは避けること.
エンシュア・リキッド本剤を冷凍するのは避けること.
ガバペンシロップ5%2~8℃
カレトラ配合内用液2~8℃ (冷蔵庫) 保存
キサラタン点眼液0.005%2~8℃、遮光
クロロマイセチン軟膏2%凍結を避けて室温に保存すること。
サムチレール内用懸濁液15%室温保存(凍結を避けて保存すること)
ザラカム配合点眼液2~8℃、遮光
サラゾピリン坐剤500mg夏期の高温時には、坐剤が融けて型くずれすることがあるので直射日光のあたらない涼しい所(できれば冷蔵庫)に保存すること。
シアナマイド内用液1%「タナベ」冷所保存
新レシカルボン坐剤冷所保存
スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入冷凍しないこと。
スピリーバ吸入用カプセル18μg温度25度を超えるところに保存しないこと。冷凍しないこと。
セニラン坐剤3mg冷所保存
ソルコセリル腟坐薬冷所保存
タプロス点眼液2~8℃保存
タミフルドライシロップ3%開栓後4週間以上保存する場合は、冷蔵庫又は冷所(10℃以下)で保存すること。なお使用時は、結露を避けて開栓すること。
チオデロンカプセル5mg冷所保存
チモプトールXE 点眼液室温保存(凍結を避けること)
注射剤(インスリン、生物学的製剤、GLP-1 受容体作動薬)凍結を避け、2~8℃に遮光して保存
デスモプレシン・スプレー2.5協和凍結を避けて10℃以下に保存すること
デスモプレシン点鼻液0.01%協和凍結を避けて10℃以下に保存すること
トービイ吸入液300mg凍結を避け、2~8℃に保存
トラバタンズ点眼液0.004%1~25℃
トリクロリールシロップ10%凍結を避け、冷所保存(1~15℃)
ニューレプチル内服液1%冷所保存
ノックビン原末室温(なるべく冷所)保存
バキソ坐剤20mg/フェルデン坐剤20mg冷所保存
パルミコート吸入液凍結を避けて保存すること。
バンコマイシン眼軟膏1%遮光して、2~8℃で保存
ビオラクチス散冷所保存
フィブラストスプレー冷所保存
フトラフール坐剤750mg冷所保存
フロリード腟坐剤100mg冷所保存
ベストロン耳鼻科用1%溶解後は、冷所に保存し、7日以内に使用すること
ベストロン点眼用0.5%溶解後は、冷所に保存し、7日以内に使用すること
ベセルナクリーム5%凍結を避け、25℃以下で保存すること
ボルタレンサポ冷所保存
メタライト250カプセル2~8℃保存
メノエイドコンビパッチ2~8℃保存
リアルダ錠冷所保存
ルピアール坐剤冷所保存
レミニール内用液4mg/mL凍結を避けて保管すること。

常温では溶けてしまう坐薬や、菌が繁殖したり、品質が劣化する液剤、シロップ・目薬・注射などが多い。

それ以外の、塗り薬・貼り薬・吸入剤などの外用剤、錠剤・カプセル・粉末などの固形の内用剤では冷所保存が指示されているものは少ない。

少ないがゆえに、リアルダ錠など冷所保存が指示されている薬は覚えておかなければ、適切な保管管理ができていないということもあり得る。

冷所保存する塗り薬・貼り薬 (yakuzaic.com)

冷所保存する目薬 (yakuzaic.com)

冷所保存する錠剤・カプセル・粉薬 (yakuzaic.com)

また、坐薬や液剤が冷所保存すべき、と思っていると、逆に冷所保存してはいけない・しなくてもいい薬というのもあるので気を付ける必要もある。

冷蔵庫に保管してはいけない薬 (yakuzaic.com)

冷所保存しなくていい坐薬 (yakuzaic.com)

冷所保存が必要な薬は、返品ができない可能性もある。

返品できない薬 (yakuzaic.com)

冷所保管の薬

30℃以下で保管する薬

薬によっては、「30℃以下で保存」という記載のあるものもみられる。
普段は気にせず室温で、冷蔵庫にはしまわずに置いてある薬でも、室温が高くなると、「室温保存」ではなく「30℃以下で保存」となっている薬の状態が気になる。

医薬品名貯法
アルピニー坐剤直射日光をさけ、30℃以下で保管すること。
カプトリルRカプセル室温(30℃以下)保存 高温(40℃以上)で保存すると放出速度が早くなる。
カンテック錠200mg室温保存(30℃以下)
セキコデ配合シロップ遮光し,なるべく30℃以下で保存
ゾビラックスクリーム室温保存(30℃以下)。ただし、冷所保存(15℃以下)しないこと。
ゾビラックス軟膏室温保存(30℃以下)
パンクレアチン気密容器、30℃以下
プロクトセディル坐薬室温保存(30℃以下)
プロペト遮光し、30℃以下で保存。
ミノアレ散30℃以下で保存

アンヒバ坐剤の貯法は「冷暗所保存」、アルピニー坐剤の貯法は「30度以下」と同じ成分の薬でも貯法が異なる。
アルピニー坐剤をアンヒバ坐剤と区別して、冷蔵庫ではなく、引き出しなどで保管している薬局は少ないだろう。

プロペトとか暑いとトロトロになるので、冷蔵庫に入れておいたほうがいいかも。
ゾビラックスクリームの15℃~30℃ってムズイわ。
引き出しの奥の方とか涼しいゾーンもあるかも知れないので、温度計で測って保管しよう。

25℃以下で保管する薬

先日調べてみたら、イムセラカプセルの貯法が「凍結を避け、25℃以下に保存」に変わっていた。
以前は室温保存だったと思うので、引き出しに閉まっていたが、これを見て冷蔵庫に保管するようにした。

30℃以下は微妙だが、25℃以下は冷蔵庫に入れないと冬場でも心配です。

医薬品名貯法
イムセラ/ジレニアカプセル0.5mg凍結を避け、25℃以下に保存
ベセルナクリーム5%凍結を避け、25℃以下で保存すること
ベピオゲル2.5%凍結を避け、25℃以下に保存すること。
イスツリサ錠25℃以下に保存
エブリスディドライシロップ60mg25℃以下で保存
オフェブカプセル25℃を超えるところに保存しないこと
スピリーバ吸入用カプセル温度25度を超えるところに保存しないこと。
冷凍しないこと。
トラバタンズ点眼液1~25℃

30℃とか25℃という微妙な温度設定だと、製剤的に改善されたら外される可能性もあるし、イムセラみたいに新たに冷所保管が指示されてくる薬も出てくる可能性もある。

室温って何度?

日本薬局方では次のように定義されています。

標準温度:20℃
冷所:~15℃
常温:15~25℃
室温:1~30℃
微温:30~40℃

室温は1~30℃なんですね。

医薬品の貯法に室温保存と書いてあるものがありますが、真夏の薬局で休日エアコンつけてない状態だと30℃以上になることはあります。

室温保存と書いてある医薬品でも、1℃刻みで試験したわけじゃないし、このへんはあまり細かい数字にこだわらなくても、40℃くらいまでは大丈夫なんじゃないかと思っていますが。

真夏の室温は30℃を超える?

クールビズに伴い、冷房の設定温度を28℃にするオフィスも多いようですが。
薬局もそれに倣い、冷房の設定温度を28℃に設定してしまうと、連日の猛暑日と、パソコン、プリンターなどのOA機器、分包機などからの発熱によって一気に30℃オーバーという状態になることもしばしば。

室温の定義は「1~30℃」。30℃を超えたら室温ではない。
ほとんどの薬は「室温保存」となっているので、調剤室内が30℃を超える状態にすべきではない。

とはいえ、休日のエアコンの効いていない調剤室は30℃オーバーになっていることが想像される。
じゃあ、全部冷蔵庫に突っ込んでしまえ、というのも無理。

室温を維持できるか?

調剤室のエアコンがぶっ壊れました。

室温30℃突破。
どうしよう。
とりあえず、修理業者を呼ぶ。

室温の定義は1~30℃。
しかし思うのですが、真夏の休日の調剤室って30℃超えることなんてざらじゃねーか?と。
逆に、冬の北海道の夜中の調剤室とか氷点下になったりしてんじゃねーの?とか思う。

貯法で室温ってなってても、苛酷試験とかで大抵の環境は許容範囲なのだろうけど。

労働環境と室温

ちなみに、労働安全衛生法における室温とは?
事務所衛生基準規則第五条に以下のように書かれている。
「事業者は、空気調和設備を設けている場合は、室の気温が十七度以上二十八度以下及び相対湿度が四十パーセント以上七十パーセント以下になるように努めなければならない。」
17~28℃になるように努めなければならない。
出ました努力義務。
上司がよく言う言葉、「考えておきます」的な。「努力はしています」
努力義務とは事業者にとって「しなくてもいいよ」という解釈。
エアコンの設定温度を28℃に設定しても、室温は28℃にはならず。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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プロフィール

yakuzaic
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職業:薬剤師
出身大学:ケツメイシと同じ
生息地:雪国
著書:薬局ですぐに役立つ薬剤一覧ポケットブック
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