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返品できない薬
公開. 更新. 投稿者:調剤/調剤過誤.この記事は約4分31秒で読めます.
11,619 ビュー. カテゴリ:医薬品の返品
患者のために用意していた薬が使われなかった場合、卸に頼んで返品する場合がある。
昔は快く返品に応じてくれることが多かったが、現在は卸も厳しい経営状態なのだろう、包装変更はもちろん、あまり処方されていないという理由でも返品に応じてくれないことがある。
うちの薬局はチェーン店なので、他店への転送が行えるため、ダメージは少ないほうだが、個人経営や中小規模の薬局だと、期限切れで1年間に廃棄する薬が数億円規模になる薬局もあるようだ。
在庫管理を行っている薬局管理者にとって、大切な「返品」に関する話をしたいと思います。
返品できない薬
法的に返品できない薬というのがあります。
①麻薬
麻薬及び向精神薬取締法で定められています。
卸から麻薬を購入する際には譲受について書類を取り交わし、返品はできません。デッドストックになったからと言って、他の薬局に売ることもできません。
薬局が在宅医療に参加して末期がん患者にも対応するようになると、一番大きな問題はこのデッドストックにかかるコストかもしれません。
②覚せい剤原料
覚せい剤取締法で定められています。
卸から譲り受けた医薬品である覚せい剤原料が不良であったり、不要となった場合にも、返品、交換することはできない(廃棄するしかない)。
同一法人の薬局間、他の薬局間での譲渡・譲受もできない。
リタリンやらコンサータなどの流通管理品目はどうなのだろう?と思いましたが、特に法的に返品や他薬局販売を規制するような法律はない。
返品に応じてくれない薬
法的には問題なくても、医薬品卸が返品に応じてくれない薬がある。
①保冷品
冷蔵庫に保管してある薬たち。
冷所保存の薬は、品質や管理状態が不明なので、返品に応じてくれないことが多い。
医薬品名 | 貯法等 |
---|---|
アニスーマ坐剤 | 冷暗所保存 |
アルキサ軟膏2% | なるべく冷暗所に保存すること。 |
アルケラン錠2mg | 2~8℃で保存 |
アンヒバ坐剤 | 冷暗所保存 |
アンペック坐剤 | 冷凍を避け,室温(1~30℃)で保存 |
エスクレ坐剤 | 湿気をさけ、冷暗所保存 |
エポセリン坐剤 | アルミ袋開封後は、光及び湿気により黄変することがあるため、冷暗所で保存することが望ましい。 |
エンシュア・H | 本剤を冷凍するのは避けること. |
エンシュア・リキッド | 本剤を冷凍するのは避けること. |
ガバペンシロップ5% | 2~8℃ |
カレトラ配合内用液 | 2~8℃ (冷蔵庫) 保存 |
キサラタン点眼液0.005% | 2~8℃、遮光 |
クロロマイセチン軟膏2% | 凍結を避けて室温に保存すること。 |
サムチレール内用懸濁液15% | 室温保存(凍結を避けて保存すること) |
ザラカム配合点眼液 | 2~8℃、遮光 |
サラゾピリン坐剤500mg | 夏期の高温時には、坐剤が融けて型くずれすることがあるので直射日光のあたらない涼しい所(できれば冷蔵庫)に保存すること。 |
シアナマイド内用液1%「タナベ」 | 冷所保存 |
新レシカルボン坐剤 | 冷所保存 |
スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入 | 冷凍しないこと。 |
スピリーバ吸入用カプセル18μg | 温度25度を超えるところに保存しないこと。冷凍しないこと。 |
セニラン坐剤3mg | 冷所保存 |
ソルコセリル腟坐薬 | 冷所保存 |
タプロス点眼液 | 2~8℃保存 |
タミフルドライシロップ3% | 開栓後4週間以上保存する場合は、冷蔵庫又は冷所(10℃以下)で保存すること。なお使用時は、結露を避けて開栓すること。 |
チオデロンカプセル5mg | 冷所保存 |
チモプトールXE 点眼液 | 室温保存(凍結を避けること) |
注射剤(インスリン、生物学的製剤、GLP-1 受容体作動薬) | 凍結を避け、2~8℃に遮光して保存 |
デスモプレシン・スプレー2.5協和 | 凍結を避けて10℃以下に保存すること |
デスモプレシン点鼻液0.01%協和 | 凍結を避けて10℃以下に保存すること |
トービイ吸入液300mg | 凍結を避け、2~8℃に保存 |
トラバタンズ点眼液0.004% | 1~25℃ |
トリクロリールシロップ10% | 凍結を避け、冷所保存(1~15℃) |
ニューレプチル内服液1% | 冷所保存 |
ノックビン原末 | 室温(なるべく冷所)保存 |
バキソ坐剤20mg/フェルデン坐剤20mg | 冷所保存 |
パルミコート吸入液 | 凍結を避けて保存すること。 |
バンコマイシン眼軟膏1% | 遮光して、2~8℃で保存 |
ビオラクチス散 | 冷所保存 |
フィブラストスプレー | 冷所保存 |
フトラフール坐剤750mg | 冷所保存 |
フロリード腟坐剤100mg | 冷所保存 |
ベストロン耳鼻科用1% | 溶解後は、冷所に保存し、7日以内に使用すること |
ベストロン点眼用0.5% | 溶解後は、冷所に保存し、7日以内に使用すること |
ベセルナクリーム5% | 凍結を避け、25℃以下で保存すること |
ボルタレンサポ | 冷所保存 |
メタライト250カプセル | 2~8℃保存 |
メノエイドコンビパッチ | 2~8℃保存 |
リアルダ錠 | 冷所保存 |
ルピアール坐剤 | 冷所保存 |
レミニール内用液4mg/mL | 凍結を避けて保管すること。 |
冷所とは1~15℃のこと。
室温が1~30℃。
冷蔵庫内の温度はだいたい3~6℃らしい。
つまり、室温と冷所はかぶる。
1~15℃は室温でもあり冷所でもある。
だから室温保存の薬を冷蔵庫で保管しても、問題無い。
上記で「凍結を避け室温保存」という記載も見られるが、室温が維持できれば、凍結することは無い。
しかし、部屋の温度=室温、とみれば、寒冷地では室温がマイナスになることもあり、凍結の恐れがある。
その場合は冷蔵庫に保管したほうが、凍結は避けることはできる。
②期限切迫品
期限が近いと、他の薬局で使ってもらうこともできないので、返品は断られることが多いです。
まあ、1年以上使わない薬を薬局内に放置していたこちらが悪い。
しかし、数か月前に買った薬が、入った時点で期限が近かったにも関わらず返品に応じてくれないと、「ピキッ」となる。
③経過措置品目
期限がまだまだあると油断していたら、経過措置品目に上がっていたということはたびたびあります。
経過措置から薬価削除になれば、薬は使えないので、返品には応じられない。
それはわかります。
しかし、最近の経過措置で多いのが、名称変更によるものです。
中身の成分は変わらない。使える薬を廃棄させるもったいなさ。
④包装変更品
外箱のデザイン、PTPシートのデザイン、錠剤の刻印の変更などが行われると、「古い包装なので」と、返品に応じてくれないことが多い。
最近は、箱のバーコード表記が変わったとか、デザイン変更とかで、外箱のパッケージだけ変わることも多い。
中身が同じだったら返品に応じてくれても良いじゃないか。と思いますが。
いろいろ愚痴りたいことはありますが、メーカーから送られてくる「包装変更のお知らせ」をチェックして早めの返品や在庫を絞る、他店へ転送するなどの対応を取るようにしましょう。
麻薬を受け取る際に開封して数量確認が必要か?
私は現在の薬局で卸から麻薬を受け取る際に、箱を開封して数量確認をしている。
今の薬局以前ではあまり麻薬を取り扱っていなかったので、前任の者がそのようにしていたのを踏襲している。
しかし、厚生労働省の薬局における麻薬管理マニュアルでは、「数量の確認は、必ずしも開封して行う必要はありません)とある。
ただ和歌山県の「麻薬・向精神薬等取扱ハンドブック」をみると、「麻薬を譲り受ける際は、必ず譲渡側の人の立ち合いのもとで、麻薬を開封し、数量等を検収しなければなりません。」とある。
たしかに破損品などの可能性もあるので、開封して確認すべきなのだろう。
麻薬を受け取る際の確認
麻薬卸売業者から麻薬を受ける際には、麻薬卸売業者の立会いのもと(麻薬小売業者が麻薬卸売業者の業務所から遠隔地にある場合は、書留便などの郵便により譲り受けることが認められています)、①麻薬譲渡証の記載事項や押印などに不備がないこと、②麻薬譲渡証の品名、数量、製品番号が現品と相違ないこと(数量の確認は、必ずしも開封して行う必要はありません)、③麻薬の容器に証紙による封が施されていること、を確認します。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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