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配合不適・配合注意一覧
公開. 更新. 投稿者:調剤/調剤過誤.
6分20秒で読める. 7,587 ビュー. カテゴリ:配合変化
シロップや粉薬を調剤するときに、混ぜてはいけないものがある。
混ぜてはいけないと言っても、混ぜると効果が落ちるもの、混ぜると色が変わるもの、混ぜると沈殿するものなどなど、理由は様々で、時と場合によっては混ぜることも仕方ないとなるものもある。
配合不可
配合不可とは、配合により有毒物を生じるなどの危険を伴うもの、または薬効を著しく減弱させる組合わせのことである。
配合不可の場合、薬剤師は処方医へ疑義照会を行い、処方変更を提言し問題の回避を図る。
例:テオフィリンシロップと他のシロップ剤、水および単シロップなど(徐放性が消失するため他剤と配合禁忌)
配合不適
配合不適とは、数種の薬を配合することで湿潤、沈殿などを起こすため、調剤技術上の工夫を必要とする組み合わせのことである。
配合不適の場合、薬剤師は別包装に分ける調剤を行う。
患者には、別包装の薬を混ぜ合わせないよう指導を行う。
例:アスピリン+炭酸水素ナトリウム(アスピリンの分解)
例:レボドパ+酸化マグネシウム(レボドパの分解)
例:ヒベンズ酸チペピジンシロップ+塩化リゾチームシロップ(再分散性不良、ゲル状化)
薬品名 | 薬品名 | 理由 |
---|---|---|
アスピリン | 炭酸水素ナトリウム | 加水分解 |
ミノ・アレビアチン | エピレオプチマル散 | 融点降下による湿潤液化 |
アイピーディ | クラリスドライシロップ小児用 バナンドライシロップ アトックドライシロップ ネオフィリン末 エリスロシンドライシロップ ミオカマイシンドライシロップ ジスロマック細粒小児用 ビソルボン細粒 アスベリンドライシロップ フロモックス小児用細粒 セフスパン細粒 スピロペント顆粒 オノンドライシロップ アレギサールドライシロップ ベラチンドライシロップ | アイピーディの含量低下 アイピーディの含量低下 アイピーディの含量低下 アイピーディの含量低下 アイピーディの含量低下 アイピーディの含量低下 アイピーディの含量低下 混合により塊になる 混合により塊になる 混合により塊になる 混合により塊になる 混合により塊になる 特異なにおいが発生 特異なにおいが発生 特異なにおいが発生 |
アスパラK散 | すべての散剤 | 吸湿による物性変化 |
ハイセレニン細粒 | すべての散剤 | 吸湿による物性変化 |
アストミンシロップ | 濃厚ブロチンコデイン液 レフトーゼシロップ | 沈殿 力価低下 |
アスベリンシロップ | アタラックスPシロップ トランサミンシロップ フェノバールエリキシル レフトーゼシロップ | 再分散性不良 再分散性不良 再分散性不良、ゲル状化 再分散性不良、ゲル状化 |
アタラックスPシロップ | イノリンシロップ タベジールシロップ デパケンシロップ ムコダインシロップ | 沈殿 3時間後再分散性不良 バルプロ酸の遊離 再分散性不良 |
ゼスランシロップ | アタラックスPシロップ ポンタールシロップ | 再分散性不良 10日目以降再分散性不良 |
テオドールシロップ | 他シロップ剤、水、および単シロップなど | 徐放性が失われるため、他剤とは配合不可 |
デパケンシロップ | ザジテンシロップ ペリアクチンシロップ メジコンシロップ メプチンシロップ リンデロンシロップ | バルプロ散の遊離 |
ウイントマイロンシロップ | テトラサイクリンシロップ 酒石酸アリメマジンシロップ 硫酸カナマイシンシロップ 単シロップ | 凝集 沈降 沈降 沈降 |
トランサミンンシロップ | ビソルボンシロップ アストミンシロップ | 再分散性不良 |
ポンタールシロップ | レフトーゼシロップ | 再分散性不良 |
リンデロンシロップ | プリンペランシロップ ムコダインシロップ | 力価低下 再分散性不良 |
配合注意
配合注意とは、配合により変色などの物理的変化を生じる可能性はあるが、薬効に影響を与えない組み合わせのことである。
患者には、見た目の変化があっても効果に問題はないことを情報提供する。
例:酸化マグネシウム+ダイオウ末(ダイオウの成分 dianthrone glucoside のsennoside A、B、C、D、E、F(黄色)はアルカリ性で吸収極大を示す波長が500nmまで移動し赤色を帯びてくる)
例:アミノフィリン+乳糖(固化) 賦形する場合は、トウモロコシデンプンを使用する。
例:マレイン酸クロルフェニラミンシロップ+メフェナム酸シロップ(沈殿)
医薬品名 | 医薬品名 | 配合変化 |
---|---|---|
酸化マグネシウム | 大黄/センナ | 吸収帯の移動による赤変 |
アスベリンシロップ | イノリンシロップ | 分離、沈殿、色調変化 |
アスベリンシロップ | インクレミンシロップ | 沈殿、色調変化 |
アスベリンシロップ | ザジテンシロップ | 再分散性不良 |
アスベリンシロップ | ポララミンシロップ | 再分散性不良 |
アスベリンシロップ | ペリアクチンシロップ | 再分散性不良 |
アスベリンシロップ | ムコソルバンシロップ | 沈殿 |
アスベリンシロップ | メジコンシロップ | 再分散性不良、ゲル状化 |
イノリンシロップ | ポンタールシロップ | 分離、沈殿 |
タベジールシロップ | トランサミンシロップ | 懸濁、微・粗粒子生成 |
セキトンシロップ | ポンタールシロップ | 白色沈殿 |
ビソルボンシロップ | メジコンシロップ | 色調変化 |
ビソルボンシロップ | ポンタールシロップ | 分離 |
ポララミンシロップ | ポンタールシロップ | 沈殿 |
添付文書上の記載は?
添付文書に「混合してはいけない」と記載があれば、配合注意レベルでも計量混合加算は算定できないわけなので、調剤報酬的には添付文書の記載内容が重要となってくる。
テオドールシロップ:他のシロップ剤,水,単シロップ剤と混合しないこと。
アスピリン原末:炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム等のアルカリ性製剤と配合しないこと。
例えば、アスベリンシロップは再分散性不良のため配合不適のシロップが多いが、添付文書上の記載は、
「シロップ及びシロップ「調剤用」は、他剤と配合すると懸濁性が損なわれ、沈殿が生じる可能性があるため、配合後の秤取に際しては、軽く振盪し、均一化させて使用すること。」
飲む前に振ればOK、ってことになっているので、アスベリンシロップとトランサミンシロップを混合したからといって、計量混合加算の算定においては問題ない、と思っている。詳しい方がいたらご教授お願いします。
ダイオウとカマを混ぜちゃダメ?
カマとダイオウ末の混合という処方せんが来た。
普通に混ぜて調剤しましたが、あとで調べてみると、酸化マグネシウムとダイオウ末は配合注意になっていた。
制酸薬-酸化マグネシウムがアルカリ性のためセンナ、大黄と配合すると次第に赤褐色に変わる。変色しても無害で薬効に影響がない。
医薬品情報21 » Blog Archive » 緩下剤と制酸剤の相互作用
混ぜても問題ない。
でも、薬が赤くなるとビックリするので、一言添えておかないと後からクレームが来るので注意。
顆粒と細粒の混合
2種類の薬剤の粒子径が大きく違う場合には、混和では均等に混ざらないこともある。
顆粒と粉末を一包化するときなどは、二度まきが基本です。
二度まきとは、1剤目を分包機に投入してコンパートメントに落としてから、2剤目を分包機に投入する方法。
こうすることで、それぞれの薬剤が均等に分包される。
配合不適と調剤料
アスベリンシロップとトランサミンシロップを別々の容器に入れて渡した場合、同じ用法でもそれぞれ調剤料が算定できる、のか?
調剤報酬点数表に関する事項に、調剤料の算定について以下のように書かれている。
(イ) 1回の処方において、2種類以上の薬剤を調剤する場合には、それぞれの内服薬を個別の薬包等に調剤しても、服用時点が同一であるものについては、1剤として算定する。
(ロ) 服用時点が同一である薬剤については、投与日数にかかわらず1剤として算定する。
(ニ) (イ)及び(ロ)にかかわらず、次の場合は、それぞれを別剤として算定できる。
・配合不適等調剤技術上の必要性から個別に調剤した場合
・内服用固型剤(錠剤、カプセル剤、散剤等)と内服用液剤の場合
・内服錠とチュアブル錠又は舌下錠等のように服用方法が異なる場合
配合不適等調剤技術上の必要性から個別に調剤した場合、それぞれを別剤として算定できる。
配合不適等。
またあいまいな。
アスベリンシロップは、他のシロップと混ぜると再分散性不良となることが多い。
アスベリンの添付文書には、
「シロップ及びシロップ「調剤用」は、他剤と配合すると懸濁性が損なわれ、沈殿が生じる可能性があるため、配合後の秤取に際しては、軽く振盪し、均一化させて使用すること。」
とだけ書いてあり、とくにコレという医薬品名は書かれていない。
それに混合して調剤することに関しても、禁止したり混合しないように注意を呼び掛けてもいない。
混ぜたら軽く振ってください、としか言っていない。
この組み合わせは配合不適です。
という保険請求上明確なものがないので、判断に迷う。
配合しないほうがいいよー的なものであるならば、抗生剤と整腸剤の組み合わせとかも別剤算定できそーだし。ダメだろうけど。

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。
5 件のコメント
ニチコデ配合散と酸化マグネシウムの配合変化について教えてください。混合しても問題はないでしょうか?
コメントありがとうございます。
特に問題ないと思います。
トランサミンシロップとアスベリンシロップは
再分散性良好ですよ。混ぜてOKです。
以前は不良だったのかな?
ザイザルシロップは単シロップで希釈できない理由は?
ダメ?なんですか?