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名称類似医薬品一覧
公開. 更新. 投稿者:調剤/調剤過誤. タグ:薬剤一覧ポケットブック. この記事は約6分29秒で読めます.
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名前の類似に注意が必要な薬
色んな名前が世の中にあふれてくると、似通った名前が出てくるものです。
薬の名前が似ていると、調剤ミスの温床になるので、できれば似たような名前の薬は販売してほしくない。
昔、不整脈に使われるαβ遮断薬の「アルマール」という薬がありましたが。糖尿病用薬の「アマリール」と名前が似ていたため、アルマール錠5→ロチノロール塩酸塩錠5mg「DSP」と名称変更が行われました。
まるでジェネリックのような名前です。
実際に調剤ミスが出てしまうと、このように名称変更を行わなければならなくなるので、企業側にとってはダメージです。
製薬企業からの医薬品の安全使用(取り違え等)に関するお知らせ
↑
メーカーから時々流れてくる情報。
気を付けてね。
名称類似医薬品一覧
医薬品名 | 医薬品名 | 医薬品名 |
---|---|---|
アスベリン(鎮咳薬) | アスペノン(抗不整脈薬) | |
アルマール(αβ遮断薬) | アマリール(SU剤) | |
アレロック(抗ヒスタミン薬) | アロテック(気管支拡張剤) | アテレック(Ca拮抗薬) |
アログリセム(高インスリン血性低血糖症薬) | ネシーナ(DPP-4阻害薬) | |
アロシトール(高尿酸血症治療薬) | アイトロール(硝酸薬) | |
ウテメリン(切迫流早産治療薬) | メテナリン(子宮収縮止血薬) | |
エクセグラン(抗てんかん薬) | エクセミド(抗てんかん薬) | エクセラーゼ(消化酵素剤) |
グリチロン(肝臓用薬) | グリミクロン(SU剤) | |
ザイティガ(前立腺癌治療薬) | ザルティア(前立腺肥大症治療薬) | |
サイトテック(防御因子増強薬) | ザイロリック(高尿酸血症治療薬) | |
サイレース(睡眠薬) | セレネース(抗精神病薬) | |
スピオルトレスピマット(抗コリン吸入薬) | スピリーバレスピマット(抗コリン吸入薬) | |
ゼスラン(抗ヒスタミン薬) | セスデン(鎮痙薬) | |
セニラン(ベンゾジアゼピン系抗不安薬) | セルシン(ベンゾジアゼピン系抗不安薬) | |
セフゾン(セフェム系抗菌薬) | セパゾン(抗不安薬) | |
セロクエル(抗精神病薬) | セロクラール(脳循環代謝改善薬) | |
【般】タクロリムスカプセル(プログラフ) | 【般】タクロリムスカプセル(グラセプター) | |
タケキャブ(PCAB) | タケルダ(PCAB+アスピリン) | |
テオドール(キサンチン誘導体) | テグレトール(抗てんかん薬) | |
デュファストン(黄体ホルモン製剤) | ディナゲスト(子宮内膜症治療薬) | |
デュファストン(黄体ホルモン製剤) | フェアストン(乳がん治療薬) | |
テルネリン(筋弛緩薬) | テネリア(DPP4阻害薬) | |
ノルバスク(Ca拮抗薬) | ノルバデックス(乳がん治療薬) | |
ファロム(ペネム系抗菌薬) | フェルム(鉄剤) | |
ブルフェン(NSAIDs) | フルツロン(抗癌剤) | |
プレドニン(ステロイド) | プルゼニド(下剤) | |
プロスタール(前立腺肥大症・癌治療薬) | プロタノール(心機能・組織循環促進) | |
ポララミン(抗ヒスタミン薬) | ポラキス(頻尿治療薬) | |
マイスタン(抗てんかん薬) | マイスリー(睡眠薬) | |
メイアクト(セフェム系) | メイラックス(ベンゾジアゼピン系抗不安薬) | |
ユリノーム(高尿酸血症治療薬) | ユリーフ(α1遮断薬) | |
リクシアナ(Fxa阻害薬) | リフキシマ(難吸収性リファマイシン系抗菌薬) | |
リピトール(スタチン) | リボトリール(ベンゾジアゼピン系抗不安薬) | |
ルパフィン(抗ヒスタミン薬) | ルセフィ(SGLT2阻害薬) | |
ロイコン(白⾎球減少症治療剤) | ロイコボリン(葉酸製剤) |
糖尿病の薬で、「グリ」とか「グル」とかつく薬は間違えやすいので注意が必要です。
グリコラン、グルファスト、グリベック、グリミクロン。
医薬品類似名称検索システム
医薬品類似名称検索システム
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こんなサイトもあります。
試しに検索してみると、一見似ていないような薬も候補に上がってきて面白い。
アログリセムとネシーナ
高インスリン血性低血糖症治療薬のアログリセムと、糖尿病治療薬のネシーナの誤処方に対する注意喚起がメーカーから出されています。
アログリセムとネシーナ。
商品名は全然違いますが、ネシーナの一般名はアログリプチン。
アログリまでいっしょです。
血糖値を上げる薬と下げる薬という逆の働きなので、事故が起きてからでは手遅れという可能性が高いので、事前に注意喚起したのでしょう。
アログリセムが処方されるなんてまったく頭に無いので、もし間違えて処方されても薬局では気づかないかも。
アスペノンとアスベリン
アスペノンが耳鼻科から処方されました。
アスペノンは抗不整脈薬です。
耳鼻科で処方されることは考えられません。
このようなときには処方の入力間違いを考えます。
アスベリンかな、とか。
薬剤師は、診療科や薬品名からどんな病気で来診したのかを連想します。
「今日はどのような症状でおかかりになりましたか」と聞くことで、正しい薬が処方されているかをチェックします。
医者で話したことを何で薬局でも話さなきゃならないんだ、と思う患者さんもいますが、医者も処方を間違える、ということを理解してもらう必要があります。
デルモベートとキンダベートは名前が似ている?
デルモベート軟膏とキンダベート軟膏を間違えて調剤するという調剤ミスがよくあるそうな。
ベートが似ているからかな。
そしたらアンテベートとか、ベトネベートとかでも間違えそうです。
名称類似医薬品といえば、
アテレックとアレロック
マイスリーとマイスタン
セロクラールとセロクエル
ザイティガとザルティア
ノルバスクとノルバデックス
などなど。商品名が類似している医薬品を思い浮かべる。
しかし、昨今の一般名処方の推奨によって、一般名の類似についても注意が必要となっている。
上記のデルモベートの一般名は、クロベタゾールプロピオン酸エステル。
キンダベートの一般名は、クロベタゾン酪酸エステル。
頭3文字が「クロベ」で同じとなっており、要注意の医薬品です。
その他、一般名の類似している医薬品を挙げる。
チザニジン(テルネリン)とニザチジン(アシノン)
ロフラゼプ(メイラックス)とロラゼパム(ワイパックス)
セフカペン(フロモックス)とセフジトレン(メイアクト)
ラベプラゾール(パリエット)とランソプラゾール(タケプロン)
エバスチン(エバステル)とエピナスチン(アレジオン)
アロチノロールとアロプリノール(ザイロリック)
基本的に同じ作用機序の薬の場合、同じような構造式で、似たような一般名になっており、間違えやすいことは避けられない。
今後増えてくる調剤ミスであろうと思われるので、より一層注意したい。
ステム
薬の名前には、共通のステムとよばれる語尾があります。
○○ジピンはCa拮抗薬、○○プラゾールはPPIなど。
こらら共通のステムを持つ薬は、名前からなんの薬か連想しやすいというメリットはありますが、その分調剤ミスのリスクもあるので注意が必要です。
-dipine ニフェジピン系カルシウム拮抗薬
-triptan トリプタン系片頭痛薬
-oxetine SSRI 抗うつ薬
-prazole プロトンポンプ阻害薬
-tidine シメチジン系のH2受容体拮抗薬
-vir 抗ウイルス薬
名前の似ている一般名
名称類似薬による調剤ミスとしては、アレロックとアテレックみたいな商品名の類似薬が主に思い浮かぶが、一般名処方が多い現在は、一般名の類似についても注意する必要がある。
基本的に、一般名は接頭接尾にステムが付いていたり、薬効分類の同じものは名称が似通ってくるのは仕方がない。似ているからといって、商品名のようにメーカーが自由に変更できるものでもない。薬剤師が注意するしか無いのだ。
一般名A(先発名) | 一般名B(先発名) | 一般名C(先発名) | 一般名D(先発名) |
---|---|---|---|
一硝酸イソソルビド(アイトロール) | 硝酸イソソルビド(フランドル) | ||
アロチノロール塩酸塩(アロチノロール塩酸塩「DSP」) | アテノロール(テノーミン) | ||
アロチノロール塩酸塩(アロチノロール塩酸塩「DSP」) | アロプリノール(ザイロリック) | ||
エスタゾラム(ユーロジン) | エチゾラム(デパス) | ||
セフカペンピボキシル塩酸塩(フロモックス) | セフジトレンピボキシル(メイアクト) | セフジニル(セフゾン) | セフポドキシムプロキセチル(バナン) |
ニソルジピン(バイミカード) | ニルバジピン(ニバジール) | ||
フルバスタチン(ローコール) | プラバスタチンNa(メバロチン) | ||
クロベタゾールプロピオン酸エステル(デルモベート) | クロベタゾン酪酸エステル(キンダベート) | ||
ベタメタゾンジプロピオン酸エステル(リンデロンDP) | ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル(アンテベート) | ベタメタゾン吉草酸エステル(リンデロンV、ベトネベート) | |
ラニチジン(ザンタック) | ラフチジン(プロテカジン) | ||
ロフラゼプ酸エチル(メイラックス) | ロラゼパム(ワイパックス) | ||
サラゾスルファピリジン錠 | サラゾスルファピリジン腸溶錠 | ||
テオフィリン徐放錠(12~24時間持続)(テオドール) | テオフィリン徐放錠(24時間持続)(ユニフィルLA、ユニコン) | ||
ニフェジピン徐放錠(12時間持続)(アダラートL) | ニフェジピン徐放錠(24時間持続)(アダラートCR) | ||
耐性乳酸菌錠6㎎/散0.6%(ビオフェルミンR錠/R散) | 耐性乳酸菌錠18㎎/散1.8%(レベニン錠/散) |
似ているパターンとしては、アロチノロールとアテノロールみたいに一般名そのものが似ているパターンと、ニフェジピン徐放錠(12時間持続)と(24時間持続)といった製剤的な違いのパターンがある。
後者のパターンは先発品においても、アダラートL錠とアダラートCR錠の取り違えのように、同様に気をつける必要がある。
錠とOD錠、ソフト軟膏とクリームといった取り違えについても、同様に気をつける必要があるが、一般名になると、錠と口腔内崩壊錠、油性クリームとクリームといった違いになるため、抜け落ちることがあるのでさらに注意が必要である。
ヒルドイドソフト軟膏→(先発希望)ヒルドイドソフト軟膏 →(GE希望)ヘパリン類似物質油性クリーム
ヒルドイドクリーム→(先発希望)ヒルドイドクリーム →(GE希望)ヘパリン類似物質クリーム
【般】ヘパリン類似物質油性クリーム→(先発希望)ヒルドイドソフト軟膏 →(GE希望)ヘパリン類似物質油性クリーム
【般】ヘパリン類似物質クリーム→(先発希望)ヒルドイドクリーム →(GE希望)ヘパリン類似物質クリーム
その先にメーカー違いの商品を複数置いてある場合にはさらに注意が必要となる。ヘパリン類似物質油性クリーム「日医工」なのか「アメル」なのか。
ヘパリン類似物質油性クリームは複数メーカー取り揃えている薬局は少ないだろうが、アムロジピンは複数メーカー揃えているところが多いだろう。
しかもアムロジピン錠使っていたり、OD錠使っていたり、アムロジピン錠の処方だけど患者希望でOD錠使っていたり、昨今の出荷調整で錠が入ってこないからOD錠使ってるとか、様々なケースがあって、変更可能であったとしても入力と調剤が異なっていれば調剤ミスになるため、調剤ミスのリスクは昔と比べ格段に上がっている。
名前の似ている漢方薬
名前の似ている漢方薬は多い。
製剤名に「半夏」とか「芍薬」といった成分名が入っていたり、「大・・・」とか「小・・・」とか漢方製剤名称の付け方のルールで似通ってしまうからだ。
いつも「芍薬甘草湯」と「当帰芍薬散」を間違える医療機関があるが、文字数と字面に惑わされて間違えることがあるのだろう。医師が間違えているのではなく、事務入力の段階で間違えているのかも知れない。
漢方製剤名を読めない者もいる。「麦門冬湯」などはいつも読み方を聞かれる。
処方入力の段階で、頭文字3文字を入れて検索すると、「じいん・・・」とか「まきょう・・・」で字面の似ている製剤名が並んで出てくるので間違えやすい。製剤番号で入力できるレセコンもあるが、処方箋に製剤番号が記載されていないことも多い。
入力も間違えて、調剤も間違え、誰も気づかない調剤事故になる可能性もある。
医薬品名A | 医薬品名B | 医薬品名C | 医薬品名D |
---|---|---|---|
加味帰脾湯 | 加味逍遙散 | ||
五苓散 | 五積散 | 五淋散 | 五虎湯 |
柴苓湯 | 柴朴湯 | 柴陥湯 | |
柴胡桂枝湯 | 柴胡清肝湯 | ||
滋陰降火湯 | 滋陰至宝湯 | ||
芍薬甘草湯 | 当帰芍薬散 | ||
治打撲一方 | 治頭瘡一方 | ||
半夏厚朴湯 | 半夏瀉心湯 | ||
柴胡加竜骨牡蛎湯 | 桂枝加竜骨牡蛎湯 | ||
苓桂朮甘湯 | 苓姜朮甘湯 | ||
麻杏甘石湯 | 麻杏薏甘湯 | ||
大建中湯 | 小建中湯 | ||
小青竜湯 | 小柴胡湯 | 小建中湯 | |
大柴胡湯 | 小柴胡湯 | ||
大防風湯 | 大建中湯 | 大柴胡湯 | 大承気湯 |
防己黄耆湯 | 防風通聖散 | ||
十味敗毒湯 | 十全大補湯 | ||
四物湯 | 四逆散 | ||
温経湯 | 温清飲 |
文字数と字面が似ている漢方薬を挙げてみた。
調剤ミスを起こさないための対応として、主な効能効果を覚えておくということも有用であろう。
投薬時に手元の漢方薬を見ながら効果の説明をすると、「違うじゃん」と気づくこともある。患者に見せれば色の違いで気づいてもらえることもある。
やっかいな処方間違いにも気づく可能性が高まる。
芍薬甘草湯などは処方目的が「こむらがえり」であることが多く、婦人科系の「当帰芍薬散」と間違えている場合、投薬時の会話で「なんか違うな」と気づくことも多い。
でも、同じような処方目的の漢方薬、「防風通聖散」と「防己黄耆湯」の処方間違いに気づくのは難しい。
また、不定愁訴で処方されることもあるので、「そういう使い方もあるのかな」と自分の不勉強を感じるだけのことも多い。「処方間違いだった」と認める医師は少ないので、結局迷宮入り。
番外編として「よく苡仁湯」と「ヨクイニン」の間違いがある。
「ヨクイニン」はイボに処方されるが、「よく苡仁湯」の適応は「関節痛、筋肉痛」のみである。漢方薬の効能効果をあまり知らない薬剤師も多いが(自分も含め)、処方間違いに気づくために
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。