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ディフェリンゲルと抗菌薬の塗る順番は?
公開. 更新. 投稿者:皮膚感染症/水虫/ヘルペス.この記事は約4分42秒で読めます.
11,098 ビュー. カテゴリ:ディフェリンゲルと抗菌剤の併用
ディフェリンゲルとダラシンTゲルの併用はよく見られる処方。
ディフェリンゲル(レチノイド)が面皰改善作用と抗炎症作用を、ダラシンTゲル(抗菌薬)が抗菌作用と抗炎症作用を持っているため、両者の併用により面皰と炎症性皮疹のいずれも改善することから、より早くより高い効果が期待できる。
にきびの治療では抗菌薬の耐性が問題となっています。
特に海外ではエリスロマイシンの耐性が問題となっており、抗菌薬とアダパレンなどの併用による予防が推奨されています。
ディフェリンゲルとダラシンTゲルの塗布順序は?
ディフェリンゲルとダラシンTゲルを両方とも塗る場合、塗布する順番は、ディフェリンゲルが承認時臨床試験で顔面広範囲に塗布して効果を得ていることや、ダラシンTゲルが炎症部位に局所的に塗布する薬剤であることを考えると、先にディフェリンゲルを、次にダラシンTゲルを塗布するといいと考えられます。
逆の順番で塗布すると、ダラシンTゲルが不要な部位にまで広がり、副作用の原因となります。
ディフェリンゲルを先に塗って5分後にダラシンTゲルを塗ると、ダラシンTゲルの皮膚への吸収率が高まって効果的であるとの報告もあります。
保湿目的にヒルドイドソフト軟膏も処方されることが多いので、順番としては、
ヒルドイドソフト軟膏→ディフェリンゲル→ダラシンTゲル という順番になります。
最近は、ベピオゲルやデュアック配合ゲル(ダラシン+ベピオ)、エピデュオゲル(ディフェリン+ベピオ)なども販売され、ややこしい感じになってきました。
基本は保湿剤(ヒルドイドソフト)が一番先で、次にディフェリンを配合したもの、最後に抗菌剤という流れ。
ベピオゲルもディフェリンに準ずるポジションで塗布する。ベピオのあとに抗菌剤。
まとめると、
ヒルドイドソフト軟膏→ベピオゲル→ディフェリンゲル→ダラシンTゲル
ヒルドイドソフト軟膏→ディフェリンゲル→デュアック配合ゲル
ヒルドイドソフト軟膏→エピデュオゲル→ダラシンTゲル
という感じ。
ダラシン以外の抗菌薬、アクアチムやゼビアックスローションもAMR対策的にもなるべく塗り広げないほうがよいと思うので、最後に使ったほうがいい。
ディフェリンゲルの副作用で乾燥肌?
ニキビは、毛穴が詰まり、皮脂が毛包内に溜まって面皰となり、そこにニキビ菌の増殖や炎症が発生して炎症性皮疹となる。
かつてのニキビ治療は、炎症性皮疹に対して抗菌薬を投与し、炎症性皮疹が治まれば投与を中止するものの、面皰は残っているためにやがては再発し、抗菌薬の投与を再開するということを繰り返していた。
しかし、2008年に登場したアダパレンは、ニキビの初期症状である面皰に効果を示すため、現在は抗菌薬による治療終了後もアダパレンを継続することで維持療法が可能となっている。
アダパレンによる治療においては、皮膚の乾燥、不快感などの副作用の発現頻度が約8割と高いことが問題とされる。
副作用に対する対処として、保湿薬・剤の使用が勧められている。
夜の洗顔後、保湿薬・剤を顔全体に塗布した後に、アダパレンを塗布し、抗菌薬は必要に応じて炎症性の赤いニキビにスポット的に使用する。
その際にアダパレンは面皰を予防するためにニキビのできる範囲全体に塗布すること、また顔全体がほぼ手のひら2枚分の面積であることから、1FTUを目安に塗布することに留意する。
なお、にきび治療中に化粧を行う場合は、基礎化粧品の上から外用薬を塗布します。
ディフェリンで皮膚刺激感?
ディフェリンゲルは、表皮角化細胞の分化を抑制するが、角質細胞は皮膚の乾燥を防ぎ、外部の刺激から体を守る役割をしている。
そのため、本剤の作用により角質細胞が薄くなり、水分保持力が低下し乾燥しやすくなるとともに、刺激を受けやすくなる。
また、古く固着した角質細胞も剥がれ、落屑も起こる。
これらの副作用は、主作用に基づくものであるから、高頻度に出現することとなる。
ただし、これらの症状は、治療開始2週問程度で軽減することが多く、通常は軽度で一過性のものである。
顔に塗布するものだけに、上記の症状が出た場合、薬剤の使用の中断につながる可能性が高いことから、「多くの場合、継続使用中に消失または軽減する」ことをあらかじめ患者に説明しておく必要がある。
また、説明を受けてその使用に不安を抱く場合や、にきびが顔全体に広がっている場合などは、医師と連絡を取って少ない面積から始めてみる。
あるいは、1日置きに使用するなど副作用対策を考慮し慎重に対応すること。
良い薬であるからきちんと適正に継続使用することで良い結果につながるということを薬剤師として伝える姿勢を持つことが大切である。
また、保湿や紫外線対策など、副作用軽減のための対策についても説明すべきである。
皮膚剌激感の発現を避けるため、切り慯、すり傷、湿疹のある皮膚、眼、口唇、鼻翼、粘膜への塗布は避けるようにする。
また、日光または日焼けランプなどによる過度の紫外線曝露を受けた場合、皮膚バリア機能が損なわれることによって皮膚剌激感が増す恐れがあるので注意する。
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