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切ってはいけない貼付剤一覧
公開. 更新. 投稿者:調剤/調剤過誤. タグ:薬剤一覧ポケットブック. この記事は約3分23秒で読めます.
41,357 ビュー. カテゴリ:切って使ってはいけない貼付剤

例えば、モーラステープのような痛み止めの貼り薬を切って使うこともあるだろう。
ホクナリンテープも切って貼付するよう指示されていることがある。
医師の裁量、あるいは患者の判断で切って使うような貼付剤もある。
しかし、添付文書上、明確に「切ってはいけない」となっている薬がある。
ニュープロパッチには、インタビューフォームに理由として、「本剤をハサミ等で切って使用した場合の本剤の有効性及び安全性を検討していないことや裁断することにより適切な用量が唐よされない懸念があるので、適正使用の観点から本剤はハサミ等で切って使用しないでください。」と書かれている。イクセロンパッチとリバスタッチパッチも、有効性と安全性が確認されていないとの理由で、カットしないよう「適正使用のお願い」を公表している。主な理由としては、他の製品も同じだろう。
▶切ってはいけない主な貼付剤一覧
医薬品名 | 添付文書の記載 |
---|---|
アリドネパッチ | 本剤をハサミ等で切って使用しないこと。 |
イクセロンパッチ | なし |
エストラーナテープ | 本剤をハサミ等で切って使用しないこと。 |
デュロテップMTパッチ | 本剤をハサミ等で切って使用しないこと。また、傷ついたパッチは使用しないこと。 |
ニコチネルTTS | なし |
ニトロダームTTS | なし |
ニュープロパッチ | 本剤をハサミ等で切って使用しないこと。 |
ノルスパンテープ | 本剤をハサミ等で切って使用しないこと。また、傷ついたパッチは使用しないこと。 |
フェントステープ | 本剤をハサミ等で切って使用しないこと。 |
メノエイドコンビパッチ | 本剤を半分などに切って使用しないこと。 |
ラフェンタテープ | 本剤をハサミ等で切って使用しないこと。また、傷ついたパッチは使用しないこと。 |
リバスタッチパッチ | なし |
ロナセンテープ | 本剤をハサミ等で切って使用しないこと。 |
ワンデュロパッチ | 本剤をハサミ等で切って使用しないこと。また、傷ついたパッチは使用しないこと。 |
マトリックス型とリザーバー型
貼付剤の構造には、粘着層(マトリックス層)に薬剤を含有させた「マトリックス型」と、薬物貯蔵層と放出制御膜で薬剤の放出速度を制御する「リザーバー型」がある。

マトリックス型の方が製剤構造が単純であり、広く用いられている。マトリックス型の貼付剤は理論的には切って使っても問題は無い。しかし、剥がれやすくなったり吸収量の変化が起こることもあるため、原則としては切断しての使用は推奨されていない。
ホクナリンテープやフランドルテープ、デュロテップMTパッチ、ニュープロパッチ、イクセロンパッチ、ビソノテープなどがマトリックス型である。
パーキンソン病治療薬であるニュープロパッチは、有効成分が結晶化しやすいため、マトリックス層に再結晶を防止する工夫が施されている。そのため切断すると薬剤の結晶が析出し、血中濃度が低下する恐れがあるため、切って使用してはならない。
高血圧治療薬であるビソノテープは、粘着層を1mmほど大きめに覆う表層がある。切断すると粘着層が露出し、衣類などに付着して、剥がれる原因になるなど取り扱いにくくなるため、推奨されていない。
減量などやむを得ず切って使用する場合は、切断面を絆創膏などで覆うと良い。また同薬はアルミ袋に挟んでビニール袋に入れ暗所で室温保存し、1か月以内に使用する。
アルツハイマー型認知症治療薬であるリバスチグミン貼付薬(イクセロン、リバスタッチ)は、有効性や安全性が確認されていないなどの理由から、各製造販売元が2017年3月に切断使用しないよう「適正使用のお願い」を公表した。同文書では、貼付薬の剥がし忘れや複数枚同時使用による過量投与についても注意喚起している。

一方、リザーバー型は薬物貯蔵層と放出制御膜により、皮膚への薬物透過を長く一定にコントロールすることができるというメリットがある。リザーバー型製剤を切断すると、テープ内部の薬物貯蔵層の切断面から薬剤が漏出してしまうため、切断不可である。添付文書の外形を見ると、ラフェンタテープには放出調節膜、ニトロダームTTSには放出制御膜があり、リザーバー型であることがわかる。
原則として1枚のみ使用すること
ニュープロパッチのように、「2.25㎎・4.5㎎・9㎎・13.5㎎・18㎎」と多規格ある製品は、医療機関によってはすべて採用することが難しく、9㎎の代わりに4.5㎎2枚で処方するという方法をとる医療機関もある。
しかし、「イクセロンパッチ/リバスタッチパッチ」については、9㎎の代わりに4.5㎎2枚で処方することができない。添付文書に「原則として、1日1回につき1枚のみ貼付すること。」という記載があるからだ。
薬によるが、9㎎製剤が4.5㎎製剤の倍の薬価ではなく、9㎎を使った方が4.5㎎2枚を使うよりも安いことが多く、調剤報酬的に認められないという事情もあるだろう。
半分に切ってもよい貼付剤
半分に切って使用することを推奨する貼付剤はほとんどないのだが、ニトログリセリン製剤のミニトロテープには、添付文書に切って使う使い方が記載されている。ミニトロテープの添付文書の「高齢者への投与」に、「本剤は、主として肝臓で代謝されるが、高齢者では一般に肝機能が低下していることが多いため高い血中濃度が持続し、頭痛、頭重、血圧低下等が発現するおそれがあるので、少量(例えばテープを半分に切断して半量とする)から投与を開始するか、投与間隔を延長するなど、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。」と、半分に切って使う使い方が例示されている。ミニトロテープで頭痛、血圧低下などの副作用が出た患者については、医師と相談し、半分に切って使う方法も検討できる。
2 件のコメント
ホクナリンテープ2/3枚使用の処方箋に副作用予防のためと書いてありました
自分もホクナリンテープ®2/3枚などと指示することがあります。昔々、メーカーの方に50㎍/㎏だったかな?、単位がうろ覚えですいません、あたりを目安に使用するみたいなことを言われた記憶がありまして。製剤の㎎数、㎍に換算して、を体重㎏で割って、100とか、50の2倍以上になるようだと流石に副作用が心配なので切断して使う指示を出すことがあります。