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ムルプレタとレボレードの違いは?
公開. 更新. 投稿者:血液/貧血/白血病.この記事は約3分1秒で読めます.
5,229 ビュー. カテゴリ:トロンボポエチン受容体作動薬
血小板を増やす薬で、ムルプレタ錠とレボレード錠という薬がある。
ムルプレタ錠
一般名:ルストロンボパグ
効能効果:待機的な観血的手技を予定している慢性肝疾患患者における血小板減少症の改善
作用機序:ルストロンボパグはヒトトロンボポエチン受容体に選択的に作用し,トロンボポエチンの一部のシグナル伝達経路を活性化することによりヒト骨髄前駆細胞から巨核球系への細胞の増殖ならびに分化誘導を促進し,血小板数を増加させる。
レボレード錠
一般名:エルトロンボパグ
効能効果:慢性特発性血小板減少性紫斑病
作用機序:ヒトトロンボポエチン受容体との特異的な相互作用を介して、トロンボポエチンのシグナル伝達経路の一部を活性化することにより骨髄前駆細胞から巨核球に至る過程における細胞の増殖及び分化を促進させ、その結果として血小板数を増加させる。
同じボパグというステムを持ち、同じ作用機序の薬ですが、効能効果はレボレードが「特発性血小板減少性紫斑病」で、ムルプレタは「慢性肝疾患」と異なる。
しかし保険適応上の問題で、そのうち適応が拡大されていくものと思われる。
ムルプレタ錠の適応の「待機的な観血的手技を予定している慢性肝疾患患者における血小板減少症の改善」というのが、具体的にわかりにくい。
肝疾患患者は、脾臓の血流が滞っており、血小板が減少して出血しやすくなっている。
そのため、出血を伴う手技(観血的手技)を行うのが難しいので、血小板を増やす薬が必要となる。
待機的手術というのは、病状の経過中、手術に適したタイミングを待って手術を行うことで、救急・緊急手術ではない、という意味。緊急手術でムルプレタ錠を飲んでいる余裕はない。
トロンボポエチンとエリスロポエチン
レボレードやムルプレタなどの血小板増加薬は、トロンボポエチン受容体作動薬という薬効分類になります。
トロンボポエチンはエリスロポエチンと名前が似ています。
これらはサイトカインとよばれる情報伝達物質です。
ここで話は逸れますが、情報伝達物質について。
情報伝達物質には、ホルモン、サイトカイン、オータコイド、神経伝達物質などがある。
神経伝達物質には、アセチルコリン、ドパミン、アドレナリン、セロトニン、ヒスタミンなどがある。
ホルモンには、エストロゲン、アンドロゲン、インスリン、インクレチン、アルドステロン、コルチゾール、プロラクチンなどがある。
オータコイドには、ヒスタミン、セロトニン、プロスタグランジン、アンジオテンシンなどがある。
サイトカインには、インターロイキン、インターフェロン、エリスロポエチン、トロンボポエチン、アディポカインなどがある。
重なるものも多い、よくわからない。
オータコイドの定義は、動物体内で産生され微量で生理・薬理作用を示す生理活性物質のうち、ホルモン(特定の器官で分泌され体液で輸送されて他の器官に作用する)および神経伝達物質(シナプスでの情報伝達に与る)以外のものの総称、となっている。
つまり、神経伝達物質とはシナプスで情報伝達を介在する物質。
ホルモンは、特定の器官で分泌され体液で輸送されて他の器官に作用する生理活性物質。
オータコイドは、神経伝達物質とホルモン以外の生理活性物質となる。
じゃあサイトカインは?
オータコイドは局所ホルモンとも呼ばれ、比較的局所にのみ働く傾向があるが、ホルモンや神経伝達物質と厳密に区別されるものではない。by ウィキペディア
オータコイドにサイトカイン(細胞から分泌され免疫応答や増殖など各細胞の機能に作用する)を含めることもある。
標的細胞が比較的特定されているものがホルモンで、そうでないものがサイトカインで、しかし区別はあまりはっきりしてなくて、どっちにも分類されている物質があったりする。
体内物質の働きは徐々に解明されていくものだから、なかなか思ったようには分類できないのだろう。
話を元に戻して、エリスロポエチンやトロンボポエチンは造血因子と呼ばれ、エリスロポエチンは赤血球の産生を促す因子、トロンボポエチンは血小板の産生を促す因子になります。
トロンボポエチン受容体作動薬は、ドロンボポエチンの働きを助け、血小板を増やす薬です。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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