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トリンテリックスとSSRIの違いは?
公開. 更新. 投稿者:うつ病.この記事は約2分54秒で読めます.
11,844 ビュー. カテゴリ:トリンテリックス(ボルチオキセチン臭化水素酸塩)はこれまでの分類には当てはまらない作用機序をもっていることから「セロトニン再取り込み阻害/セロトニン受容体調整薬(S-RIM)」とよばれています。
トリンテリックスの作用の「セロトニン再取り込み阻害作用」はSSRIと同じ作用でセロトニントランスポーター(SERT)の働きを阻害することで発揮されますが、その作用はSSRI薬より穏やかであるといわれています。
トリンテリックスのもう一つの作用「セロトニン受容体調整作用」は5-HT3受容体にはアンタゴニストとして作用して、5-HT1A受容体にはアゴニストとして作用して、セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミン、アセチルコリン、ヒスタミンの遊離を促進させます。作用する受容体は違いますが、NaSSAと同じような作用を示します。
臨床試験の結果をみると従来の抗うつ薬より効果が優れているとは言い難いものがあります。
アセチルコリンの遊離を促進するので認知症には向いているいう意見もあります。
セロトニンのサブタイプ
セロトニンの化学名は5-hydroxytriptaminであることから、5-HTという略号で呼ばれることもあります。
5-HT受容体(セロトニン受容体)には10以上のサブタイプが知られています。
中枢神経系に多く分布していますが、主として胃や腸などの消化管や、血小板などの中枢神経以外にも存在しています。
ヒトの中に存在するセロトニンの90%は、セロトニンが産生されるクロム親和性細胞(腸にある)に存在します。
それ以外のうち、2%が中枢神経系に存在し、シグナルの伝達を行っています。
5-HT受容体のそれぞれのサブタイプの機能の研究は精力的に進められており、いくつかのサブタイプの阻害薬が医薬品として使用されています。
SSRIはシナプス間隙のセロトニン量を増やすので、これらの阻害薬とは相反する薬理作用を示すことになります。
セロトニンの作用を強くすると抗うつ作用が得られるならば、セロトニンを投与すればよいと考えられますが、セロトニン受容体は興奮性の神経シグナルを伝達するために、過量投与した場合などは、致死的な毒性が現れる可能性が高い等の理由で、再吸収を担うトランスポーターを阻害する方が安全性が高いと考えられています。
SSRIの過量投与で発現するセロトニン作用の増強による毒性は、セロトニン症候群と呼ばれています。
症状としては、1.自律神経症状:発熱、発汗、高血圧、心拍数上昇、吐き気、2.精神症状:興奮、錯乱、頭痛、めまい、こん睡、3.末梢神経症状:不随意運動、筋硬直、振戦などがあり、死に至ることもあるようです。
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