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トラマールとトラムセットの違いは?
公開. 更新. 投稿者:痛み/鎮痛薬.この記事は約3分38秒で読めます.
9,836 ビュー. カテゴリ:トラマールとトラムセット
最近、トラムセットの処方をよくみかける。
トラムセットは、トラマドールとアセトアミノフェンの合剤。
トラマドールの単剤の製剤としては、トラマールという薬がある。
トラマールの処方はあまり見ない。
トラマールの適応は、
「軽度から中等度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛」
癌の痛み止め。
トラムセットの適応は、
「非オピオイド鎮痛剤で治療困難な下記疾患における鎮痛
非がん性慢性疼痛
抜歯後の疼痛」
癌以外の疼痛に使える。癌には使えない。
トラマールの用法は、
「通常、成人にはトラマドール塩酸塩として1日100~300mgを4回に分割経口投与する。なお、症状に応じて適宜増減する。ただし1回100mg、1日400mgを超えないこととする。」
トラムセットの用法は、
「非がん性慢性疼痛通常、成人には、1回1錠、1日4回経口投与する。投与間隔は4時間以上空けること。
なお、症状に応じて適宜増減するが、1回2錠、1日8錠を超えて投与しないこと。また、空腹時の投与は避けることが望ましい。」
トラムセット1錠中のトラマドールは37.5mgなので、1日4錠使えば150mgになる。
1日8錠使えば、300mg。
癌性疼痛に使う用量と比較しても、大差ない。
アセトアミノフェンもそこそこの量入っているので、安易に使われそうなトラムセットのほうが副作用に注意する必要ありそう。
トラマドールとアセロアミノフェンの併用
アセトアミノフェンは内因性オピオイドの増加により、間接的にμ受容体活性をあげる。
一方、トラマドールはμ受容体を刺激して鎮痛作用を発揮するため、相乗効果があると考えられる。
実際にオピオイドにアセトアミノフェンを加えることで、オピオイド単独よりも少ないオピオイドで同じ鎮痛効果が得られる。
トラマドールの作用機序
トラマドールは、ノルアドレナリン・セロトニン再取り込み阻害作用が鎮痛効果に関与していると考えられており、それ自体も薬効を示すが、主に薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP)2D6による活性代謝物(M1)が薬理作用を示す。
M1はオピオイド受容体刺激作用と、ノルアドレナリン・セロトニン再取り込み阻害作用を示す。
トラマドールの特徴
弱オピオイド。
WHO方式3段階除痛ラダーにおいて、第2段階のコデインの代替薬として位置付けられ、軽度から中等度の疼痛に有効。
トリプルアクション(オピオイド作動性による上行伝導路の抑制、ノルアドレナリン・セロトニンの再取り込み阻害による下行抑制路の活性化)により鎮痛効果を示し、神経障害性疼痛にも効果を示す可能性がある。
モルヒネとの効力比(モルヒネ:トラマドール=1:5)が明らかであり、「トラマールカプセル」からモルヒネに切り替える際には定時投与量の1/5量の経口モルヒネが初回投与量の目安となる。
また、本剤の1日の定時投与量が300mgで鎮痛効果が不十分となった場合、モルヒネなどの強オピオイド鎮痛剤への変更を考慮する。
肝臓チトクロムP450のCYP2D6およびCYP3A4で代謝され、代謝産物はμ受容体に作用しトラマドール塩酸塩より高い鎮痛効果をもつ。
合成のコデイン類似薬のトラマドールの鎮痛作用は、中等度のμ受容体作動薬作用と、三環系抗うつ薬類似のノルアドレナリン・セロトニン再取り込み抑制に由来する下行性疼痛抑制系賦活作用による。
トラマドールの速放経口製剤(1日4~6回投与、レスキュー・ドーズとして1日量の1/8から1/4を投与)が発売され、1日1回の徐放経口製剤も開発中で、緩和医療でのコデインに代わる弱オピオイドとしての利用が期待される。
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1 件のコメント
私…掌蹠膿疱症で昨日からトラマール処方されました。1日三回一回2t1日三回です‼適量ですか?