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抜歯前の抗菌薬予防投与?
公開. 更新. 投稿者:栄養/口腔ケア.この記事は約2分22秒で読めます.
3,595 ビュー. カテゴリ:感染性心内膜炎の抗菌薬予防投与
抜歯前に抗菌薬を飲む意味は??
虫歯や歯周病で繁殖した菌が血管に侵入して、心臓にくっついて悪さをすることがあります。
これを感染性心内膜炎といいます。
心臓を腐らせて穴を開けることもあります。
歯を抜くことによっても起こることがあります。
そのため、抜歯前に抗菌薬を予防的に投与することがあります。
心臓弁膜症の患者は、歯科治療による感染性心内膜炎の発症リスクが高いことが知られています。
感染性心内膜炎は、発症すると死亡に至ったり、弁破壊を来すなど重篤な転帰となることが多い。
抜歯だけでなく、う蝕治療や歯石除去などの観血的治療でも発症リスクが高まるため、弁膜症患者の歯科処置時には、抗菌薬の処方が推奨されている。
対象となる細菌は主に口腔レンサ球菌であり、薬剤感受性、血中濃度のピークと持続時間を確保するため、日本循環器学会などによる「感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017年改訂版)」には、アモキシシリンを1回2000㎎という高用量で、処置の1時間前に投与するよう示されている。
心筋梗塞の原因は歯周病?
歯周病にかかっていたり、歯周病で歯を失った人は、歯周病にかかっていない人に比べて心筋梗塞や脳梗塞が多いことが明らかにされています。
歯周病菌が動脈硬化部位から見つかり、血管内皮細胞に侵入できることも明らかになっています。
歯周病患者では、健常者と比して心血管疾患の発症リスクが1.2~2.5倍程度増加することが、疫学研究で明らかになっています。
その機序の詳細は、まだ明らかになってはいませんが、歯周病変で産生される炎症性サイトカインや口腔細菌が、血行性に心臓や血管に移行して、動脈の粥状硬化(アテローム性動脈硬化)を惹起するのではないか、と考えられています。
また、歯周病の病原菌には、動脈硬化の原因の悪玉コレステロールを回収する力を持つ善玉コレステロールを減らす作用があるという。
HDLコレステロール値の低い人は、歯医者へ行ったほうがいいのかも知れない。
妊婦は抜歯しちゃダメ?
妊娠中に抜歯してはいけないという。
抜歯したあとに使う抗生剤や鎮痛剤の胎児への影響、というわけではなく、抜歯そのものが問題。
抜歯をすると、妊婦の場合、約60%ぐらいの確率で菌血症になるという。
口の中は細菌だらけですから、抜いた歯のあとから細菌がウジャウジャ血流に乗ってゆくのですね。
菌血症なんて聞くと怖いのですが、細菌が血液中に侵入しただけの状態なので、健康な人にとっては問題ないようで。
その菌が増殖すると敗血症です。
健康な妊婦なら、菌血症になっても問題ありませんが、心臓に病気を持っている妊婦の場合は、血流に乗った口腔内の細菌が心臓内の心内膜に感染を来たし感染性心内膜炎を起こす可能性があるという。
心臓に病気なんて無いわよ、と言ってる女性でも、隠れた心臓病を持っている可能性があります。
女性の6%程度には、生活に全く影響のない小さなものも含めて僧帽弁閉鎖不全が隠れているとされる。
しかし、妊婦に限らず抜歯後の感染性心内膜炎のリスクはあります。
妊娠中だと手術も出来ないし、胎児への影響も考えると、産後まで我慢できるのであればそうしたほうがいい、という感じでしょうか。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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