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甲状腺の薬とワーファリンの関係
公開. 更新. 投稿者:甲状腺機能亢進症/甲状腺機能低下症.この記事は約1分56秒で読めます.
3,015 ビュー. カテゴリ:甲状腺ホルモンとワーファリン
甲状腺ホルモンがワルファリンの効果に影響することは古くから知られており、甲状腺機能亢進状態ではワルファリンの効果が増強し、甲状腺機能低下状態ではワルファリンの効果が減弱することが数多く報告されています。
そのメカニズムについては十分には解明されていません。
ワルファリンは、ビタミンK依存性血液凝固因子の産生を抑制し抗凝血作用を示しますが、異化代謝には影響しません。
そのため、甲状腺機能が正常の場合は、標準量のワルファリン投与で凝血能を治療域にコントロールすることができます。
一方、甲状腺機能低下状態では、ビタミンK依存性血液凝固因子の産生とともに異化代謝も低下しており、標準量のワルファリンでは凝血能を治療域まで下げることができず、ワルファリンの増量が必要となります。
この状態で甲状腺ホルモン剤が投与されると甲状腺機能の回復とともに凝固因子の異化代謝が亢進し、凝血能が下がり過ぎます。そのため、ワルファリンの減量が必要となります。
ワーファリンの添付文書の相互作用には以下のように記載されている。
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
---|---|---|
ホルモン剤 甲状腺製剤 レボチロキシンナトリウム水和物等 | 甲状腺機能低下症の患者に相手薬剤を投与し甲状腺機能が正常化すると血液凝固能が低下し、見かけ上本剤の作用が増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与すること。 | 相手薬剤がビタミンK依存性血液凝固因子の異化を促進する。 |
ホルモン剤 抗甲状腺製剤 チアマゾール等 | 本剤の作用を増強することがある。 甲状腺機能亢進症の患者に相手薬剤を投与し甲状腺機能が正常化すると血液凝固能が亢進し、見かけ上の本剤の作用が減弱することがある。 併用する場合には病態の変化に応じて血液凝固能の変動に十分注意しながら投与すること。 | 相手薬剤の副作用である低プロトロンビン血症が出血傾向を助長することがある。 甲状腺機能が亢進すると血液凝固因子の合成及び代謝亢進により本剤の作用が増強することがある。 相手薬剤投与で甲状腺機能が正常化すると、増強されていた本剤の効果が減弱することがある。 |
甲状腺関連の薬を服用している場合は、ワーファリンの効果の変動、PT-INRの確認、甲状腺機能の検査値の確認がより重要になる。
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