2026年3月1日更新.2,762記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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頻度の高い併用禁忌の組み合わせ一覧

併用禁忌の組合せ一覧

併用禁忌の薬剤を全て覚えておくというのは薬剤師にとっても難しいことです。
そのため、新しく処方された薬についてその都度調べたり、処方される頻度の多い薬について調べておくということが大切です。

以下はヒヤリハットの事例検索で「併用禁忌」で検索し、2025年の1年間に報告されたものを集計した結果です。(10件以上)

薬品名①薬品名②件数
クラリスロマイシン(ピロリ菌除菌薬含む)ベルソムラ1080
クラリスロマイシン(ピロリ菌除菌薬含む)ラツーダ491
クラリスロマイシン(ピロリ菌除菌薬含む)ケレンディア195
クラリスロマイシン(ピロリ菌除菌薬含む)クービビック183
ACE阻害薬エンレスト157
シクロスポリンロスバスタチン(配合剤含む)151
タダラフィル硝酸薬151
アゼルニジピン(配合剤含む)ゾコーバ112
フルボキサミンラメルテオン99
プロプラノロールリザトリプタン92
ステロイド(注射剤、経口剤、吸入剤、注腸剤、坐剤、配合剤含む)ミニリンメルト84
エプレレノンスピロノラクトン80
ゾコーバリバーロキサバン78
クラリスロマイシン(ピロリ菌除菌薬含む)タダラフィル75
スピロノラクトンタクロリムス71
ゾコーバベルソムラ66
カリウム製剤ミネブロ65
アザチオプリンフェブキソスタット57
スピロノラクトンミネブロ56
アジレクトトラマドール(配合剤含む)55
チザニジンフルボキサミン55
タンニン酸アルブミン鉄剤(リン吸着薬含む)54
エプレレノンカリウム製剤52
シクロスポリンピタバスタチン(配合剤含む)51
カルバマゼピンゾコーバ45
シクロスポリンパルモディア45
エプレレノンゾコーバ44
ゾコーバトリアゾラム44
フレカイニドベタニス44
クラリスロマイシン(ピロリ菌除菌薬含む)コララン39
セレギリントラマドール(配合剤含む)35
フルボキサミンメラトベル33
シンバスタチンゾコーバ32
ミコナゾール口腔用リバーロキサバン30
エクフィナトラマドール(配合剤含む)29
ミニリンメルトループ利尿薬29
チアジド系利尿薬(配合剤、チアジド系類似薬含む)ミニリンメルト26
トリアゾラムミコナゾール口腔用25
アゼルニジピン(配合剤含む)ミコナゾール口腔用24
ゾコーバラツーダ24
ゾコーバベプリジル23
アゼルニジピン(配合剤含む)イトラコナゾール21
ゾコーバタダラフィル21
SNRIアジレクト20
ゾコーバブロナンセリン20
エプレレノンミネブロ20
イトラコナゾールベルソムラ19
イグラチモドワーファリン18
SNRIエクフィナ17
ゾコーバリファンピシン16
アゼルニジピン(配合剤含む)パキロピッド15
クリアミンマクロライド系抗生物質15
パキロビッドリバーロキサバン14
セリンクロトラマドール(配合剤含む)13
アメナリーフリファンピシン13
SSRIアジレクト12
プロパフェノンベタニス12
パキロビッドベルソムラ12
エクフィナミルタザピン12
イトラコナゾールラツーダ12
イムブルビカクラリスロマイシン11
ケレンディアゾコーバ11
イトラコナゾールリバーロキサバン11
ミコナゾール口腔用ワーファリン11
イクスタンジゾコーバ10
シプロフロキサシンチザニジン10
イトラコナゾールトリアゾラム10
シンバスタチンミコナゾール口腔用10

クラリスロマイシンは危険?

一覧表を見るとわかるように、ベルソムラとクラリスロマイシンの併用禁忌の報告数がダントツです。

他を見ても、クラリスロマイシンは上位4位までの併用禁忌に挙がっており、リスキーな薬であることがわかります。
理由としては、クラリスロマイシン自体は副作用も少なく、マイコプラズマやクラミジアにも効く広い抗菌スペクトルを持つため、安易に処方されやすいということがあります。そのため、耐性菌も増えており、最近は処方頻度が減ってきたとは思いますが、エリスロマイシンが入手困難な現状で仕方なくクラリスロマイシンという処方も増えています。

また、予期せぬクラリスロマイシンの処方ということで、ピロリ菌除菌薬(ボノサップ、ボノピオン)との併用というのも挙げられます。配合剤の中に含まれる禁忌薬は見逃しやすいので、注意が必要です。

新型コロナ治療薬の併用禁忌

さらに近年増えているのが、ゾコーバやパキロビッドといった新型コロナ感染症治療薬の併用禁忌報告です。

クラリスロマイシンでも同様ですが、風邪などの症状でかかる医療機関は、かかりつけの医師とは違うことも多く、患者側が併用薬を医師に伝え忘れているというケースも多いです。
薬局側で、お薬手帳やマイナ保険証の薬剤情報を確認し、併用禁忌の処方を回避する必要があります。

新型コロナ感染症治療薬の中では、ラゲブリオには併用禁忌の品目は上げられていないので、ゾコーバやパキロビッドの代替薬として提案されます。

併用禁忌と併用注意

私の個人的な感覚では、「併用禁忌は疑義照会」「併用注意は医師の判断」という判断基準なのだが、ヒヤリハット報告では併用注意でも疑義照会しているケースは多く見られる。

かつて原則併用禁忌とされていたスタチン系とフィブラート系の併用や、鉄剤との併用で吸収に影響の出るチラーヂン、セフゾン、テトラサイクリン系やニューキノロン系の薬剤での疑義照会がみられる。

また、併用禁忌ではなく併用注意ではあるが、添付文書上用量調節が必要になる組合せがある。
オレキシン受容体拮抗薬の中で、唯一併用禁忌の無いデエビゴ(レンボレキサント)ではあるが、気を付けなければならない併用注意の品目がある。

デエビゴの添付文書には以下の文言が記載されている。

CYP3Aを阻害する薬剤との併用により、レンボレキサントの血漿中濃度が上昇し、傾眠等の副作用が増強されるおそれがある。CYP3Aを中程度又は強力に阻害する薬剤(フルコナゾール、エリスロマイシン、ベラパミル、イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)との併用は、患者の状態を慎重に観察した上で、本剤投与の可否を判断すること。なお、併用する場合は1日1回2.5mgとすること。

クラリスロマイシンやベラパミルが処方されている際には、5㎎錠や10㎎錠は使えないため、注意が必要である。

同種同効薬の併用禁忌

同種同効薬が処方されているからといって、必ずしも疑義照会の対象であるとは限らない。
Ca拮抗薬の併用や、抗アレルギー薬の併用はよくみられる。オーグメンチンとサワシリンの併用(オグサワ)なんてのもある。

ただ、添付文書上明確に併用禁忌に挙げられている同種同効薬については疑義照会しなければならない。

MR拮抗薬のセララ(エプレレノン)の併用禁忌には、「カリウム保持性利尿薬及びミネラルコルチコイド受容体拮抗薬を投与中の患者」と書かれており、アルダクトン(スピロノラクトン)やミネブロ(エサキセレノン)との併用は禁忌である。ただしケレンディア(フィネレノン)との併用については併用注意に挙げられており、「ケレンディアはMR拮抗薬じゃないのか?」と突っ込みたくなるが、併用されてたら疑義照会します。

MAO-B阻害薬のエフピー(セレギリン)についても、禁忌に「他の選択的MAO-B阻害剤(ラサギリンメシル酸塩及びサフィナミドメシル酸塩)を投与中の患者」と挙げられているので、アジレクト(ラサギリン)やエクフィナ(サフィナミド)との併用は禁忌です。

片頭痛に使われるトリプタン系の薬剤も禁忌の項目に「エルゴタミン、エルゴタミン誘導体含有製剤、あるいは他の5-HT1B/1D受容体作動薬を投与中の患者」とあるので、他のトリプタン系薬を処方することはできない。ただ、頓服なので同時服用しない前提で複数のトリプタン系薬を処方する医師はいるよね。

SU剤とグリニド系薬の併用については、シュアポスト(レパグリニド)の併用禁忌には記載が無いが、「重要な基本的注意」に「本剤は速やかなインスリン分泌促進作用を有する。その作用点はスルホニルウレア剤と同じであり、スルホニルウレア剤との相加・相乗の臨床効果及び安全性が確立されていないので、スルホニルウレア剤と併用しないこと。」という記載があり、「併用しないこと」となっているので併用処方が来たら疑義照会です。

リベルサスなどのGLP-1受容体作動薬とDPP‐4阻害薬との併用については禁忌ではないが、「本剤とDPP-4阻害剤はいずれもGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有している。両剤を併用した際の臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確認されていない。」と添付文書に記載されており、レセプト上切られる可能性も高いので疑義照会する。

ARBとACE阻害薬の併用については微妙だが、エンレストとACE阻害薬の併用については、エンレストの禁忌に「アンジオテンシン変換酵素阻害薬(アラセプリル、イミダプリル塩酸塩、エナラプリルマレイン酸塩、カプトプリル、キナプリル塩酸塩、シラザプリル水和物、テモカプリル塩酸塩、デラプリル塩酸塩、トランドラプリル、ベナゼプリル塩酸塩、ペリンドプリルエルブミン、リシノプリル水和物)を投与中の患者、あるいは投与中止から36時間以内の患者」という記載があるので併用禁忌。
エンレストとARBの併用については、禁忌には記載がないが、ARB2種類処方されてたら普通に疑義照会する。

ラロキシフェンとタモキシフェンの併用など、「ダメなのか?」と聞かれたら、併用禁忌じゃないから添付文書上ダメじゃないけど…。これ一緒に処方されてるけど、いいのかな?っていう観点は「ダメ(禁忌)かダメじゃないか?」というよりも、「医師がわかってるかどうか?」という観点が重要なので、それまでの文脈(過去の履歴、医師の処方傾向)が重要だと思う。

範囲の広い併用禁忌

例えばジャクスタピッドの禁忌には、「中程度又は強いCYP3A阻害作用を有する薬剤を投与中の患者」と記載されており、バルネチールの禁忌には、「QT延長を起こすことが知られている薬剤(イミプラミン、ピモジド等)を投与中の患者」と記載されている。
一番困るやつ。

CYP3A阻害薬とかQT延長を起こす薬とか、増えていくじゃん。常にアップデートが必要になる。

フスコデなどの禁忌にある「カテコールアミン製剤(アドレナリン、イソプロテレノール等)を投与中の患者」についても、ドパミン前駆体であるレボドパ製剤まで範囲を広げて疑義照会するケースもみられる。
ミネブロなどの禁忌にある「カリウム製剤」を、ウラリットに含まれるクエン酸カリウムや、経腸栄養剤に含まれる塩化カリウムまで範囲を広げて疑義照会するケースもある。
一応確認は必要かと思うが、疑義照会するかどうかの判断は薬剤師によって分かれる。

まとめ

自分の時代で併用禁忌の代表格といえば、「ハルシオンとイトリゾール」みたいなところがあったが、今の時代は「クラリスロマイシンとベルソムラ」なのである。

そしてその時代も、注意喚起・啓蒙が行き渡れば、処方も減っていき、新薬の登場とともに新たに注意すべき併用禁忌が登場する。

昔からある併用禁忌が無くなるわけではないが、、常に情報をアップデートし、アンテナの強度を変えていく必要はある。

1 件のコメント

  • のコメント
         

    トラムセットとPLみたいな『アセトアミノフェン製剤だから他のアセトアミノフェン製剤を併用しないこと』って警告、どうしてます?併用注意や併用禁忌と違う欄で割と困惑されますが、僕はブロックしてます(総投与量が4000mg/dayを超えないと予想されてても)。
    レセコンでも重複アラートは出るけど、この手のは大概無視しちゃうから

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