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クラリスと併用禁忌の薬は?
公開. 更新. 投稿者:抗菌薬/感染症.この記事は約6分28秒で読めます.
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クラリスロマイシンの相互作用
汎用されている抗生物質でありながら、意外と併用禁忌の多い薬として、クラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)があります。
クラリスロマイシンは、薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP)3AやP糖蛋白質への阻害作用を有するため相互作用が多い。
クラリスの併用禁忌には以下の記載がある。
ピモジド、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩、スボレキサント、ロミタピドメシル酸塩、タダラフィル〔アドシルカ〕、チカグレロル、イブルチニブ、アスナプレビル、ダクラタスビル塩酸塩・アスナプレビル・ベクラブビル塩酸塩、イバブラジン塩酸塩、ベネトクラクス(用量漸増期)を投与中の患者
肝臓又は腎臓に障害のある患者でコルヒチンを投与中の患者
また、併用禁忌のみならず、併用注意においても使用量に制限のある薬があるので注意が必要である。
使用量の制限については、クラリスロマイシンの添付文書には記載されておらず、併用薬のほうの添付文書を確認する必要がある。また、クラリスロマイシンという記載ではなく、「CYP3A4阻害薬」と記載されていてわかりにくいものもあるので、注意が必要。
医薬品名 | 一般名 | 添付文書の記載 |
---|---|---|
アドシルカ | タダラフィル | 併用禁忌 |
イムブルビ | イブルチニブ | 併用禁忌 |
インチュニブ | グアンファシン | CYP3A4/5阻害剤を投与中の患者、重度の肝機能障害のある患者又は重度の腎機能障害のある患者に投与する場合には、1日1mgより投与を開始すること。 |
オーラップ | ピモジド | 併用禁忌 |
クリアミン | エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン | 併用禁忌 |
コララン | イバブラジン塩酸塩 | 併用禁忌 |
ザルティア | タダラフィル | チトクロームP450 3A4(CYP3A4)を強く阻害する薬剤を投与中の患者では、本剤の血漿中濃度が上昇することが認められているので、1日1回2.5mgから投与を開始し、患者の状態を観察しながら適宜5mgへ増量すること。 |
シアリス | タダラフィル | チトクロームP450 3A4(CYP3A4)を強く阻害する薬剤を投与中の患者では、本剤の血漿中濃度が上昇することが認められているので、低用量(5mg)から開始し、投与間隔を十分にあける(10mgを投与する場合は投与間隔を48時間以上)など注意して投与すること。なお、投与量は10mgを超えないこと。 |
ジヒデルゴット(販売中止) | ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩 | 併用禁忌 |
ジメンシー(販売中止) | ダクラタスビル塩酸塩・アスナプレビル・ベクラブビル塩酸塩 | 併用禁忌 |
ジャクスタピッド | ロミタピドメシル酸塩 | 併用禁忌 |
スンベプラ | アスナプレビル | 併用禁忌 |
セララ | エプレレノン | CYP3A4阻害薬と併用する場合には、本剤の投与量は1日1回25mgを超えないこと。 |
デエビゴ | レンボレキサント | CYP3Aを中程度又は強力に阻害する薬剤(フルコナゾール、エリスロマイシン、ベラパミル、イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)との併用は、患者の状態を慎重に観察した上で、本剤投与の可否を判断すること。なお、併用する場合は1日1回2.5mgとすること。 |
デトルシトール | トルテロジン酒石酸塩 | 腎障害がある患者、肝障害がある患者、又はマクロライド系抗生物質及びアゾール系抗真菌薬等のチトクロムP450分子種(CYP3A4)阻害薬を併用している患者においては、トルテロジン酒石酸塩として2mgを1日1回経口投与する。 |
ノウリアスト | イストラデフェリン | 以下の患者では本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるため、1日1回20mgを上限とすること。 ・中等度の肝障害のある患者 ・CYP3A4を強く阻害する薬剤を投与中の患者 |
バイアグラ | シルデナフィルクエン酸塩 | チトクロームP450 3A4阻害薬(リトナビル、ダルナビル、エリスロマイシン、シメチジン、ケトコナゾール、イトラコナゾール等) 低用量(25mg)から投与を開始するなど慎重に投与すること。 |
ブリリンタ | チカグレロル | 併用禁忌 |
ベネクレクスタ | ベネトクラクス(用量漸増期) | 併用禁忌 |
ベルソムラ | スボレキサント | 併用禁忌 |
レキサルティ | ブレクスピプラゾール | 本剤とCYP2D6阻害剤(キニジン、パロキセチン等)及び/又は強いCYP3A4阻害剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)を併用する場合及びCYP2D6の活性が欠損していることが判明している患者(Poor Metabolizer)では、以下の表を参考に用法及び用量の調節を行うこと。 ・CYP2D6阻害剤又は強いCYP3A4阻害剤のいずれかを併用→1回1mgを1日1回 ・CYP2D6の活性が欠損していることが判明している患者→1回1mgを1日1回 ・CYP2D6阻害剤及び強いCYP3A4阻害剤のいずれも併用→1回1mgを2日に1回 ・CYP2D6の活性が欠損していることが判明している患者が強いCYP3A4阻害剤を併用→1回1mgを2日に1回 |
レビトラ | バルデナフィル | チトクロームP450 3A4を阻害する薬剤(マクロライド系抗生物質)との併用により、本剤の血漿中濃度が上昇することが認められているので、投与量は5mgを超えないこと。 |
リポバスとクラリスは併用禁忌?
アメリカではリポバスとクラリスやエリスロシンは併用禁忌なのだそうだ。
投与量も違うので一概に比較はできないが、日本ではリポバスの併用禁忌は、
イトラコナゾール、ミコナゾール、アタザナビル、サキナビルメシル酸塩、テラプレビル、コビシスタットを含有する製剤、オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル
となっており、クラリスロマイシンやエリスロマイシンは併用禁忌にはなっていない。
日本でリポバスの用量は、
通常、成人にはシンバスタチンとして5mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、LDL-コレステロール値の低下が不十分な場合は1日20mgまで増量できる。
となっていますが、アメリカでは1日80mgまで投与できるらしい。
シンバスタチンの用量が1日80mg(日本ではまずあり得ませんが)だと、1日20mgを使用する人と比べ横紋筋融解症などの筋障害リスクが高まるという。
そして、相互作用によってもそのリスクが高まります。
シンバスタチンはクラリスロマイシン併用により血中濃度時間曲線下面積(AUC)が10倍に上昇したとの報告がある。
” シンバスタチンと横紋筋融解症(米FDA) アポネットR研究会・最近の話題
用量に関係なく併用を避ける
イトラコナゾール、ケトコナゾール、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、テリスロマイシン、HIVプロテアーゼ阻害剤、ネファゾドン
10mg以上の場合
Gemfibrozil(フィブラート系)、シクロスポリン、ダナゾール
20mg以上の場合
アミオダロン、ベラパミル
40mg以上の場合
ジルチアゼム
イギリスでもリポバスとエリスロマイシン、クラリスロマイシンの併用は禁忌になっているようですね。
日本ではまだ併用注意です。
ザルティアとクラリスは併用禁忌じゃない?
クラリスはよく使われるマクロライド系の抗菌剤ですが、意外と併用禁忌が多い。
「ピモジド、エルゴタミン含有製剤、タダラフィル〔アドシルカ〕、アスナプレビル、バニプレビル、スボレキサントを投与中の患者。」
抗精神病薬のオーラップ、肺高血圧症のアドシルカ、C型感染のスンベプラ、バニヘップの処方頻度は多くはありませんが、片頭痛のクリアミン、不眠症のベルソムラなどちょこちょこ処方されるので注意する。
相互作用の機序としては、クラリスがCYP3A4を阻害するので、CYP3A4で代謝される薬の代謝が進まず、血中濃度が上昇するというもの。
これらの相互作用の中で気になったのが、アドシルカ。
なぜアドシルカだけなのか。
アドシルカと同じタダラフィルを成分とする薬には、他に勃起不全のシアリスと、前立腺肥大症のザルティアがありますが、併用禁忌ではなく併用注意というレベルにとどまっている。
アドシルカとクラリスの相互作用の個所をみると、
臨床症状・措置方法
強いCYP3A4阻害作用を有するケトコナゾール(400mg/日:経口剤、国内未発売)との併用により、本剤(20mg)のAUC及びCmaxが312%及び22%増加するとの報告がある。また、リトナビル(200mg/1日2回投与)との併用により、本剤(20mg)のAUCが124%増加するとの報告がある。
機序・危険因子
CYP3A4を強く阻害することによりクリアランスが高度に減少し、本剤の血漿中濃度が上昇するおそれがある。また、肺動脈性肺高血圧症患者における併用の経験が少ない。
アドシルカは20mgでザルティアは2.5mgと5mgなので、ザルティアの血中濃度が上昇したとしても副作用が出るとしても大したことは無いということかな。
シアリスは5mg、10mg、20mgとアドシルカと同量のものもありますが、連用しないから大丈夫?とか。はっきりした理由はわからない。まあ、5mgと10mgは大丈夫なのだろう。
クラリス使ってる病気の人間がシアリス使うなっていう風にも思いますが。
マクロライドとエルゴタミンの相互作用
クラリスとクリアミンAの併用は禁忌です。
クラリスロマイシンとエルゴタミンの併用で重篤な麦角アルカロイド中毒が生じた事例が種種報告されています。
クラリスのCYP3A4に対する阻害作用により、エルゴタミンの代謝が阻害され、血中濃度が上昇する可能性がある。
CYP3A4を阻害する薬といえば、イトリゾール。
もちろんクリアミンとも併用禁忌。
クラリスはCYP3A4を阻害するとともに、CYP3A4で代謝もされるので、イトリゾールとも併用注意。禁忌ではない。
エルゴタミンの麦角中毒は怖いから併用禁忌レベル。
ジスロマックとクリアミン
クラリス以外のマクロライドの併用禁忌をみてみる。
エリスロシン、ジョサマイシン、ルリッドもエルゴタミンと併用禁忌。
しかしジスロマックはエルゴタミンと併用禁忌にはなっていない。
併用注意に記載がある。
(2)他のマクロライド系薬剤において、下記薬剤による相互作用が報告されている。
なお、アジスロマイシンのチトクロームP450による代謝は確認されていない。2)エルゴタミン含有製剤[四肢の虚血をおこすことがある。]
リカマイシンとかアセチルスピラマイシンにも相互作用の記載は無い。
個別に確認する必要がある。
クラリスとコルヒチンは併用禁忌?
クラリスの禁忌に以下のように記載されている。
肝臓又は腎臓に障害のある患者で、コルヒチンを投与中の患者
クラリスの相互作用には、併用注意の部分に以下のように記載されている。
薬剤名等
コルヒチン
臨床症状・措置方法
コルヒチンの血中濃度上昇に伴う中毒症状(汎血球減少、肝機能障害、筋肉痛、腹痛、嘔吐、下痢、発熱等)が報告されているので、異常が認められた場合には、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。
なお、肝臓又は腎臓に障害のある患者で、コルヒチンを投与中の患者には、本剤を併用しないこと。
機序・危険因子
本剤のCYP3A4に対する阻害作用により、上記薬剤の代謝が阻害される。
コルヒチンの禁忌には以下のように記載されている。
肝臓又は腎臓に障害のある患者で、肝代謝酵素CYP3A4を強く阻害する薬剤又はP糖蛋白を阻害する薬剤を服用中の患者[本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。]
コルヒチンの相互作用には、併用注意の部分に以下のように記載されている。
1. 薬剤名等
肝代謝酵素CYP3A4を阻害する薬剤等(強く阻害する薬剤(アタザナビル、クラリスロマイシン、インジナビル、イトラコナゾール、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、ダルナビル、テリスロマイシン、テラプレビル、コビシスタットを含有する製剤)、中等度阻害する薬剤(アンプレナビル、アプレピタント、ジルチアゼム、エリスロマイシン、フルコナゾール、ホスアンプレナビル、ベラパミル)、グレープフルーツジュース)
臨床症状・措置方法
本剤の作用が増強することがある。併用する場合は減量あるいは低用量から開始するなど注意すること。なお、肝臓又は腎臓に障害のある患者には肝代謝酵素CYP3A4を強く阻害する薬剤は投与しないこと。
機序・危険因子
肝代謝酵素CYP3A4を阻害することにより本剤の血中濃度を上昇させることがある。
つまり、肝臓または腎臓に障害のある場合は、コルヒチンとクラリスロマイシンは併用禁忌になるということ。
コルヒチンの代謝が阻害され、血中濃度が上がってしまって、副作用を生じる可能性が高くなる。
この肝臓又は腎臓の障害の程度についてはよくわからないが、聞き取りでなんらかの肝機能、腎機能障害を聞いた場合、あるいはウルソなどの肝機能改善薬、腎障害の薬など処方されていた場合には疑義照会が必要になるだろう。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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