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デエビゴとベルソムラの違いは?
公開. 更新. 投稿者:睡眠障害.この記事は約4分18秒で読めます.
12,280 ビュー. カテゴリ:デエビゴは一包化できる?
デエビゴとベルソムラの違いは何?
ベルソムラと同じ作用機序のオレキシン受容体拮抗薬レンボキサントが、エーザイから「デエビゴ錠」として販売される。
ベルソムラとの違いについて見てみる。
デエビゴ錠2.5mg/デエビゴ錠5mg/デエビゴ錠10mg
一般名:レンボキサント
用法:通常、成人にはレンボレキサントとして1日1回5mgを就寝直前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日1回10mgを超えないこととする。
ベルソムラ錠10mg/ベルソムラ錠15mg/ベルソムラ錠20mg
一般名:スボレキサント
用法:通常、成人にはスボレキサントとして1日1回20mgを、高齢者には1日1回15mgを就寝直前に経口投与する。
睡眠薬なので、用法は寝る直前。規格数、用法用量などに大差はない。
どちらも食事と同時または食直後に服用すると、空腹時投与と比べて血漿中濃度が低下し入眠効果の発現が遅れることもある。
夕食から就寝までの時間が短い人には、食事との間隔を空けるように注意する必要がある。
一包化が多い薬局で最も気になるのは、一包化の可否であろう。
ベルソムラは一包化できなかった点で不便を感じることもあった。デエビゴ錠は一包化可能な点でありがたい。
他の薬は一包化していても、睡眠薬はシートのまま調剤しているケースも多いと思うが、施設調剤だったり、精神科の門前で複数の睡眠薬が処方されていたり、他の睡眠薬とは作用機序が違うのでベンゾジアゼピン系薬と同時処方されているケースもあろうかと思う。
そしてベルソムラで最も気を付けている「併用禁忌」についてもデエビゴは異なる。
ベルソムラの併用禁忌には、以下のように複数の薬剤が挙げられている。
とくに処方頻度の高いクラリスロマイシンには注意しなければならない。
薬剤名等
CYP3Aを強く阻害する薬剤
イトラコナゾール
イトリゾール
クラリスロマイシン
クラリシッド
リトナビル
ノービア
ネルフィナビル
ビラセプト
ボリコナゾール
ブイフェンド
臨床症状・措置方法
本剤の作用を著しく増強させるおそれがあるため、併用しないこと。
機序・危険因子
スボレキサントの代謝酵素であるCYP3Aを強く阻害し、スボレキサントの血漿中濃度を顕著に上昇させる。
これに対して、デエビゴ錠には併用禁忌に挙げられている医薬品は無い。
この点でも使いやすい。
いずれ、ベルソムラから全てデエビゴに置き換わりそうな予感。
ただし、併用禁忌が無いとはいえ、ベルソムラと同様CYP3Aで代謝されるため併用薬には要注意である。
「リファンピシンとの併用により、レンボレキサントのCmax 及びAUC(0-inf)はそれぞれ92%及び97% 減少した。」という記載もあるので、ほぼ効かなくなる。血中濃度低下って併用禁忌にはならないんだっけ?副作用が出なけりゃいいの?
「併用禁忌じゃないから疑義照会しませんでした」ということで薬剤師としての責任は免れるかも知れませんが、併用注意の程度についても目を向けたいものです。
デエビゴ2.5㎎を使うケース
ベルソムラとクラリスロマイシンなどの「CYP3Aを強く阻害する薬剤」は併用禁忌であるが、デエビゴには併用禁忌はない。
しかし、減量が指示されている薬がある。
CYP3Aを阻害する薬剤との併用により、レンボレキサントの血漿中濃度が上昇し、傾眠等の副作用が増強されるおそれがある。CYP3Aを中程度又は強力に阻害する薬剤(フルコナゾール、エリスロマイシン、ベラパミル、イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)との併用は、患者の状態を慎重に観察した上で、本剤投与の可否を判断すること。なお、併用する場合は1日1回2.5mgとすること。
フルコナゾール、エリスロマイシン、ベラパミル、イトラコナゾール、クラリスロマイシン等。
等なので、これら以外のCYP3A阻害薬が処方されている際にも減量が必要である。
オレキシン受容体拮抗薬
・覚醒を維持する神経ペプチドの受容体への結合を遮断して睡眠をもたらす。
オレキシンは視床下部のニューロンから産生される神経ペプチドで覚醒状態の維持に重要な働きをしています。
この薬は「オレキシン」の働きを弱めることによって、脳の状態が覚醒から睡眠に切り替わることを助けて、寝つきをよくし、夜間の睡眠を持続させる薬です。
ベルソムラは、覚醒中枢に特異的に作用することによって、本来の眠りをもたらします。
オレキシンは、視床下部のニューロンから産生される神経ペプチドであり、覚醒の調節に重要な働きをしていることが最近の研究で明らかとなっています。
ベルソムラ錠(一般名・スボレキサント)は,覚醒を維持する神経ペプチド・オレキシンに着目した不眠症治療薬である。オレキシンの受容体への結合を可逆的に阻害することで,脳を覚醒状態から睡眠状態へ移行させる。従来のGABA(γ-アミノ酪酸)受容体作動薬などとはまったく異なる機序で睡眠を誘発する。臨床試験では,入眠効果と睡眠維持効果が投与第1日夜から認められた。副作用は傾眠など。
オレキシンは神経ペプチドで,米テキサス大学の柳沢正史氏(現・筑波大学),櫻井武氏(現・金沢大学)らがオーファン受容体のリガンドとして1990年代に発見した。
視床下部のオレキシン神経細胞によって産生され,動物実験では脳脊髄液中のオレキシン濃度は覚醒時に高くなり,睡眠中は低いことが示されている。オレキシン受容体は脳内に広く分布し,ノルアドレナリン,ヒスタミン,ドーパミンなど覚醒に関わる神経細胞にシグナルを送り,覚醒システム全体を活性化している。
睡眠システムと覚醒システムは相互に抑制的に働いて調節されているが,オレキシンは,覚醒中に急に睡眠が生じないように適切な覚醒の維持に寄与していると考えられる。
そこでオレキシンの作用をブロックして覚醒維持を阻害し,バランスを睡眠優位に切り替えて睡眠を誘導するのがオレキシン受容体拮抗薬のベルソムラである。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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2 件のコメント
デエビゴっていう薬剤名難しいですよね。
添付文書を見ると併用禁忌ではないものの、クラリスマイシンなど併用する場合は1回2.5mgと記載されていますね。記載が小さいので、添付文書をちゃんと読まないと見落としそうです。
コメントありがとうございます。
2.5㎎の使用について見逃がしておりました。「併用する場合は1日1回2.5mgとすること。」ベルソムラ10mgよりも強めの言い回しですね。
ご教授ありがとうございます。