2024年12月2日更新.2,476記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

記事

ザルティアとアドシルカとシアリスの違いは?

タダラフィル

薬剤師

ザルティアもアドシルカもシアリスも同じ薬?

アボルブとザルティアが併用されている患者がいた。脱毛症治療薬と勃起不全治療薬がちょっと混乱してしまって、「併用していいんだっけ?」と思っちゃいました。

アボルブとザルティアはどちらも前立腺肥大症の治療薬ですが、アボルブは5α-還元酵素阻害薬で脱毛症治療薬でザガーロと同じ成分。ザルティアはPDE5阻害薬で勃起不全治療薬でシアリスと同じ成分。

「アボルブとザルティア飲んでます」なら「前立腺肥大症なんだな」としか思いませんが、「ザガーロとシアリス飲んでます」と言われると、途端に男性ホルモンを感じるようになる。

同じ成分なのに違う適応を持つ薬、というのはいくつかあります。
エクセグランとトレリーフ、イリボーとナゼアなど。

しかし3パターンもある薬はタダラフィルしか知らない。

同じ成分の薬で注意すべきは重複投与です。

商品名一般名規格適応症
ザルティアタダラフィル錠2.5mg /錠5mg前立腺肥大症に伴う排尿障害
シアリスタダラフィル錠5mg/ 錠10mg/ 錠20mg勃起不全
アドシルカタダラフィル錠20mg肺動脈性肺高血圧症

成分は同じとは言っても、規格用量は異なります。ザルティアは1日5㎎が常用量ですが、アドシルカは1日40㎎が常用量。

用量の違いもあって、アドシルカは併用禁忌が多いですが、ザルティアは少ない。

アドシルカの併用禁忌は以下のとおり。

1. 薬剤名等

硝酸剤及びNO供与剤
 ニトログリセリン
 亜硝酸アミル
 硝酸イソソルビド等

臨床症状・措置方法

併用により、降圧作用を増強するとの報告がある。

機序・危険因子

NOはcGMPの産生を刺激し、一方、本剤はcGMPの分解を抑制することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介するNOの降圧作用が増強する。

2. 薬剤名等 sGC刺激剤
 リオシグアト(アデムパス)

臨床症状・措置方法

併用により、血圧低下を起こすおそれがある。

機序・危険因子

併用により、細胞内cGMP濃度が増加し、全身血圧に相加的な影響を及ぼすおそれがある。

3. 薬剤名等

CYP3A4を強く阻害する薬剤
 イトラコナゾール(イトリゾール)
 リトナビル含有製剤(ノービア、ヴィキラックス、カレトラ)
 アタザナビル(レイアタッツ)
 インジナビル(クリキシバン)
 ネルフィナビル(ビラセプト)
 サキナビル(インビラーゼ)
 ダルナビル含有製剤(プリジスタ、プレジコビックス)
 クラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)
 テラプレビル(テラビック)
 コビシスタット含有製剤(スタリビルド、ゲンボイヤ、プレジコビックス)

臨床症状・措置方法

強いCYP3A4阻害作用を有するケトコナゾール(400mg/日:経口剤、国内未発売)との併用により、本剤(20mg)のAUC及びCmaxが312%及び22%増加するとの報告がある。また、リトナビル(200mg/1日2回投与)との併用により、本剤(20mg)のAUCが124%増加するとの報告がある。

機序・危険因子

CYP3A4を強く阻害することによりクリアランスが高度に減少し、本剤の血漿中濃度が上昇するおそれがある。また、肺動脈性肺高血圧症患者における併用の経験が少ない。

4. 薬剤名等

CYP3A4を強く誘導する薬剤
 リファンピシン(リファジン)
 フェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)
 カルバマゼピン(テグレトール)
 フェノバルビタール(フェノバール) 臨床症状・措置方法 リファンピシン(600mg/日)との併用により、本剤(10mg)のAUC及びCmaxがそれぞれ88%及び46%低下するとの報告がある。

機序・危険因子

CYP3A4誘導によるクリアランスの増加により本剤の血漿中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。

たくさんありますが、ザルティアとシアリスの併用禁忌はこの中の1、2のみ。3、4についてはアドシルカのみの併用禁忌です。

ザルティアとザイティガを間違えることもあるので、「なんとなく泌尿器系」でぼんやりと覚えていたのでは間違えそうなので、しっかり頭に叩き込みましょう。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

コメント


カテゴリ

プロフィール

yakuzaic
名前:yakuzaic
職業:薬剤師
出身大学:ケツメイシと同じ
生息地:雪国
著書: 薬局ですぐに役立つ薬剤一覧ポケットブック
ツイッター:
プライバシーポリシー

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ

最新の記事


人気の記事

検索