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腹膜透析と血液透析の違いは?
公開. 投稿者:腎臓病/透析.この記事は約3分16秒で読めます.
1,266 ビュー. カテゴリ:腹膜透析の普及率が低いのはなぜ?
日本ではどうして腹膜透析の普及率が低いのでしょうか。
血液透析の施設が多いため、気軽に通院できること、反対に腹膜透析を実施できる医療機関、医療スタッフが血液透析にくらべて圧倒的に少ないことが最大の原因と考えられます。
腹膜透析の長所(血液透析との比較)
・血管や心臓に与える影響が少ない
・透析施設にひんぱんに通わなくてもよい
・食事制限がゆるい
腹膜透析の短所(血液透析との比較)
・手術してカテーテルを体内に入れておかなければならない
・透析液の交換に手間がかかる(6時間毎に1日4回)
・管理が悪いと腹膜炎を発症することがある
・長期間継続していると、腹膜肥厚、被嚢性腹膜硬化症になるおそれがある
・腹膜が癒着している人、線維化している人には適応不可
・血液透析に比べて普及度が低い
腹膜透析でも血液透析でも、患者が払うお金は同じ程度だから。
腹膜透析のほうが安くて済む、ってなったら、そっちに流れるんだろう。
血液透析 | 腹膜透析 | |
原理 | 患者の血気を体外に取り出し(脱血)、ダイアライザー(透析器)の中で透析を行い。体内に戻す(返血)。 | 患者の腹腔内に透析液を注入し、腹膜を半透膜として用い、体内で透析を行う。 |
施行方法 | ・医療機関で医療従事者によって施行される。 ・1回4時間ほどの透析を1週間に2~3回行う。 | ・在宅で患者自身が施行するため、厳密な自己管理が必要となる。 ・透析は体内で常時行われ、毎日数回の透析液交換を行う。 |
透析効率 | 高い | 低い |
全身への影響 | ・透析前後で体液量や組成の変動が大きく、心血管系や腎機能に負担をかけるため、残存腎機能の低下が早い。 | |
食事制限 | 厳しい | 血液透析よりはゆるい |
継続可能期間 | 半永久的 | 腹膜の劣化や被嚢性腹膜硬化症が出現するため、治療期間は5~8年が限度 |
透析はお金がかかる?
厚生労働省保険局の公表によると、糖尿病合併症を含んだ糖尿病の医療費は、2004年度は1.9兆円で、国民医療費32.1兆円に占める割合は5.9%だった。
糖尿病合併症といえば糖尿病性腎症。
1.9兆円のほとんどは透析患者に費やされている医療費と思われる。
おおざっぱに透析患者が30万人くらいいて、一人あたり年間500万円かかるとして、1.5兆円くらいという感じかな。
年間500万円の医療費って、サラリーマンの平均年収より多いのでは。
20年生きたら1億円ですね。
腎臓を大切に。
透析患者における各検査値の目標値
血清P値:3.5~6mg/dL
血清補正Ca値:8.4~10.0mg/dL
血清PTH値:60~240pg/mL
管理目標優先順位:P>Ca>PTH
透析
透析には血液透析と腹膜透析があり、持続的血液濾過透析など血液浄化法もさまざまな種類がある。
薬物治療を行うにあたり、それぞれの違いを理解する必要がある。
透析患者の血圧管理は難しく、非透析日は高血圧でも透析時には低血圧になる場合もあり、降圧薬の服用方法やドライウエイトに注意する。
PやKは腎から尿中に排泄されるが、透析患者の場合は排泄できないために高P・高K血症を引き起こす。
高P血症はCaを低下させ、副甲状腺ホルモン(PTH)を分泌させるため、二次性副甲状腺機能亢進症を引き起こす。
二次性副甲状腺機能亢進症は血管の石灰化などを促進し生命予後を悪化させるため、CaとPのコントロールは重要である。
また、分子量、蛋白結合率、分布容積が大きい薬物は透析で除去されにくいため、ジゴキシン、シベンゾリン、アマンタジンなどは透析患者に常用量投与すると中毒を起こし、透析でも除去できないため、用量には注意が必要である。
【血液透析】
血液透析は血液を体外に取り出し、ダイアライザー(血液透析器)によって、拡散や限外濾過の原理を利用して、老廃物や水分を取り除く透析である。
【腹膜透析】
腹膜透析は腹膜に透析液を入れ、腹膜を介して浸透圧や拡散の原理を利用して、水分や老廃物を取り除く透析である。
【ドライウエイト】
ドライウエイトとは、透析による除水で余分な水分を取り除き、透析終了時の基準体重のことである。
ドライウエイトは患者の状態を見ながら変更することもある。
腹膜透析 | 血液透析 | |
---|---|---|
場所 | 自宅・会社 | 病院・透析クリニック |
透析時間 | 24時間365日 交換は6~8時間ごと、1日4回程度 | 週3回 1回4~5時間 |
透析をする人 | 自分 | 医療スタッフ |
通院回数 | 月1、2回 | 週3回 |
手術 | 腹部にカテーテル植え込み | 腕にシャント作成 |
食事制限 | 塩分、水分制限 K:2.0~2.5g/日 | 厳しいK、塩分、水分制限 K:1.5g/日 |
合併症 | 細菌性腹膜炎 最終的には血液透析に移行 | 心臓への負荷、血管の石灰化 高K血症 抗凝固剤による出血 不均衡症候群 |
透析患者の主な合併症と治療薬
腎性貧血:エリスロポエチン製剤、鉄剤
高血圧:降圧薬(ARB、ACE阻害薬、Ca拮抗薬、β遮断薬)
透析時の低血圧:昇圧薬(ミトドリン、ドロキシドパ)
虚血性心疾患、脳血管障害、末梢血管障害:抗血小板薬(アスピリン、チクロピジン、シロスタゾール)
不整脈:抗不整脈薬
CKD-MBD(慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常):リン吸着薬(炭酸Ca、炭酸ランタン、セベラマー)
二次性副甲状腺機能亢進症:活性型ビタミンD3(カルシトリオール、マキサカルシトール)、Ca受容体作動薬(シナカルセト)
高K血症:ポリスチレンスルホン酸塩(カリメート、ケイキサレート、アーガメイトゼリー)、H2遮断薬、PPI
便秘:浸透圧下剤、刺激性下剤(D-ソルビトール、センノシドなど)
脂質代謝異常:HMG-CoA還元酵素阻害薬
栄養障害:経口栄養剤、健康補助食品、IDPN(Intradialytic Parenteral Nutrition)(エンシュア)
皮膚掻痒症:抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、ステロイド、ナルフラフィン
レストレスレッグ症候群:クロナゼパム、ビ・シフロール
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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1 件のコメント
人工透析はそんなに負担増にはなりません。月額1万円くらいです。(週三回、1回あたり5時間)また障害年金2級ももらえます。