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ジゴキシンは少量で効く?
公開. 更新. 投稿者:心不全/肺高血圧症.この記事は約3分31秒で読めます.
3,244 ビュー. カテゴリ:気持ち悪くなることはありませんか?
高齢者、腎障害例ではジギタリス中毒を生じやすい。低K血症、他剤との併用による血中濃度の上昇に留意する。ジギタリスは治療域が狭く、投与中は常にジギタリス中毒を生じる可能性があることに注意する。
ジギタリス中毒の誘因となる腎機能、血清電解質(特に低K血症)、低酸素血症、甲状腺機能低下症、併用薬(利尿薬、ステロイドは低K血症を増悪、ベラパミル、キニジンはジギタリスの血中濃度を上昇)等に注意する。
ジゴキシンの用量
ジゴシンの成人用量は、
ジゴキシンとして通常成人に対して急速飽和療法(飽和量:1.0~4.0mg)
初回0.5~1.0mg、以後0.5mgを6~8時間ごとに経口投与し、十分効果のあらわれるまで続ける。比較的急速飽和療法を行うことができる。緩徐飽和療法を行うことができる。
維持療法
1日0.25~0.5mgを経口投与する。
と添付文書に書かれています。
急速飽和療法は、一般に入院で行われるため、薬局が処方せんを受けることはまずありません。
そして、高齢者の場合、加齢に伴い、ジギタリス製剤に低濃度でも反応するようになるという。
ジギタリス製剤は腎臓で排泄されることから、腎機能が低下していることが多い高齢者では、至適用量が低くなる。
そのため、維持療法の最大量である0.5mg/日で使うことはまれです。
日本人の体格では1日0.25㎎は多過ぎであり、1日0.125㎎が最適であるとの主張もあります。
低マグネシウム血症でジギタリス中毒?
低マグネシウム血症がある人がジゴキシンなどのジギタリス製剤を服用すると、少量でもジギタリス中毒を起こしやすくなるという。
ジギタリス製剤の作用は細胞外のナトリウムイオン(Na+)と細胞内のカリウムイオン(K+)を交換するポンプであるNa+/K+ATPaseを阻害することで現れる。
Na+/K+ATPaseはマグネシウムの存在下で活性化する。
マグネシウムが不足すると、Na-Kポンプが正常に働かなかったり、Kポンプを通して細胞内からのKの流出が増大する。それで不整脈を起こしやすい。
高齢者や不整脈の既往歴がある患者では、定期的に血中マグネシウム濃度を測定し、必要に応じて補充することが推奨されている。
低マグネシウム血症
生体内のMg総量は約20~30gで,その約65%が骨中に,約25~30%が筋肉中に存在し,細胞外液に存在するのは1%程度です。
Mgはさまざまな酵素の活性化や代謝過程など,多くの生化学的反応に重要な役割を果たしています。
血清Mgの基準範囲は1.8 ~2.4mg/dL で,Ca同様に極めて厳密に濃度調整が行われています。
低Mg血症の原囚は多岐にわたり,偏食によるMg摂取不足や消化器異常による吸収不良,副甲状腺機能異常,アルコール中毒,腎疾患,薬剤性などがあげられます。
症状としては,低Ca血症と同様な神経症状(テタニー,食欲不振,悪心,嘔吐など) がみられます。
中枢神経の興奮性が増大すると,イライラ感,めまい,運動失調などが起こり,精神系(うつ,幻覚など) や循環器系の症状( 不整脈,頻脈など) もみられます。
薬剤性のMg喪失は,各種利尿薬(チアジド系,フロセミドなど) によるMg再吸収の阻害や,腎毒性薬剤(アムホテリシンB,ゲンタマイシン,シスプラチンなど) の使用によって生じることが多いため,低Mg血症の患者では,その薬歴を調べることも必要になります。
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