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β遮断薬でうつ病になる?
公開. 更新. 投稿者:心不全/肺高血圧症.この記事は約3分35秒で読めます.
3,227 ビュー. カテゴリ:β遮断薬と抑うつ症状
β遮断薬を飲むと憂鬱になる?
インデラルやテノーミンなどのβ遮断薬には「抑うつ症状」という副作用がみられる。
交感神経系の伝達物質であるノルアドレナリンが心臓のβ受容体に作用することで心収縮力や心拍数が増加し血圧の上昇を引き起こしますが、β遮断薬はこれらの受容体を遮断し心収縮力・心拍数を低下させることにより降圧作用を示し、高血圧や狭心症の治療に用いられます。
アドレナリンが出ると、元気になって体中に力があふれるようなイメージ。そのアドレナリンの働きを遮断する薬を飲めば、元気がなくなりうつっぽくなるというのはイメージ的にはわかります。
β遮断薬が抑うつをもたらすメカニズムとしては、メラトニン放出の減少、セロトニン受容体への拮抗作用、膜安定化作用による中枢神経抑制などがいわれている。
血液脳関門を通過する脂溶性の高いβ遮断薬(インデラル、セロケン/ロプレソール)は、脂溶性の低いβ遮断薬(テノーミン)と比べて、精神神経系副作用のリスクは高いと考えられる。
インデラル、テノーミン、セロケン/ロプレソール、アーチスト、アロチノロール、ミケラン、ケルロング、アセタノール、カルビスケンなど、ほとんどのβ遮断薬の添付文書には「抑うつ症状」の副作用の記載がみられる。
しかし、メインテートの添付文書には、「抑うつ症状」の記載はみられなかった。
うつ病リスクの高そうな高齢者には、メインテートを使うとよいのかもしれない。
高齢者はうつ病になりやすい
高齢者にうつ病が多い理由として、加齢による認知機能の低下、定年退職などによる社会的役割の喪失や経済力の低下、そして配偶者や近親者との死別などが考えられます。
また、核家族化による独居、近隣との希薄な関係、公的サポート体制の不備なども高齢者の孤立感を深めます。
こうした心理的・社会的要因のほかに、身体的要因もうつ症状の原因となっています。
例えば、甲状腺機能低下症、パーキンソン病、がん、さらに糖尿病や虚血性心疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの疾患は、うつ病を合併することが知られています。
また、脳血管障害の後遺症によってうつ状態になる高齢者も少なくありません。
また、服用している薬剤によってうつ状態になっている高齢者も見られます。
例えば、ステロイド剤、インターフェロン、化学療法剤、抗エストロゲン薬、β遮断薬、Ca拮抗薬、H2受容体拮抗薬などが、うつ症状の原因になることもあるのです。
高齢者にうつが多い理由
・身体機能、認知機能の低下(加齢、骨折後遺症、心筋梗塞、パーキンソン病)
・がんなど重篤な疾患への罹患
・地位、社会的役割の喪失
・経済力の低下
・配偶者との死別/離別(再婚率が低い)
・夫婦のみの世帯、独居世帯が多い
・脳血管障害などの後遺症/続発症
・服用している薬剤の相互作用
高齢者と経済不安とうつ病
自分は何歳まで生きるだろう?
できれば長生きしたいが、長生きには経済的不安も付きまとう。
どれほどのお金があれば死ぬまで生活できるか分からないため、常に経済的な不安に苛まれる。
例えば、平均寿命が75歳だった頃は65歳で独居生活を始めても10年ぐらい生活できる余裕があれば十分だった。
しかし今は20年以上生活を支える資金が必要である。
そのため高齢者は、たとえ貯蓄があってもお金を使えない。
寿命が延びても、その余生をのんびり楽しく過ごせる高齢者はごくわずかで、多くの高齢者、特に独居の高齢女性は厳しい経済環境におかれている。
こうした経済的問題も高齢女性にうつ病患者が多い理由の1つである。
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