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β遮断薬は何の薬?
公開. 更新. 投稿者:不整脈.この記事は約5分59秒で読めます.
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「β遮断薬は何の薬ですか?」と聞かれたら、「主に高血圧、不整脈などに使われる薬です」と言う。
しかし、β遮断薬というカテゴリーに属する薬には様々あり、中には不整脈に適応のないものもあるので、薬効分類だけで薬を覚えていて適応症を覚えていないと、とんちんかんなことになる。
また、β遮断薬は抗不整脈薬として使う場合には、ハイリスク薬として「特定薬剤管理指導加算」を算定できるが、他の疾患に対しては算定できないので、調剤報酬請求上も適応症を覚えておくことは重要である。
以下にβ遮断薬の適応症を挙げる。
β遮断薬(β1選択性ISA-)
テノーミン:本態性高血圧症(軽症~中等症)、狭心症、頻脈性不整脈(洞性頻脈、期外収縮)
メインテート:本態性高血圧症(軽症~中等症)、狭心症、心室性期外収縮
ケルロング:本態性高血圧症(軽症~中等症)、腎実質性高血圧症、狭心症
ロプレソール/セロケン(規格によって異なる):本態性高血圧症(軽症~中等症)、狭心症、頻脈性不整脈
β遮断薬(β1選択性ISA+)
アセタノール:本態性高血圧症(軽症~中等症)、狭心症、頻脈性不整脈(洞性頻脈、期外収縮、発作性上室性頻拍、新鮮心房細動、除細動後の洞調律の維持)
セレクトール:本態性高血圧症(軽症~中等症)、腎実質性高血圧症、狭心症
β遮断薬(β1非選択性ISA-)
ハイパジール:本態性高血圧症(軽症~中等症)、狭心症
インデラル:本態性高血圧症(軽症~中等症)、狭心症、褐色細胞腫手術時、期外収縮(上室性、心室性)、発作性頻拍の予防、頻拍性心房細動(徐脈効果)、洞性頻脈、新鮮心房細動、発作性心房細動の予防、片頭痛発作の発症抑制、右心室流出路狭窄による低酸素発作の発症抑制
ナディック:本態性高血圧症(軽症~中等症)、狭心症、頻脈性不整脈
ミケラン(規格によって異なる):本態性高血圧症(軽症~中等症)、心臓神経症、不整脈(洞性頻脈、頻脈型不整脈、上室性期外収縮、心室性期外収縮)、狭心症
カルビスケン:本態性高血圧症(軽症~中等症) 、狭心症、洞性頻脈
αβ遮断薬
ローガン:本態性高血圧症、褐色細胞腫による高血圧症
アロチノロール塩酸塩:本態性高血圧症(軽症~中等症)、狭心症、頻脈性不整脈、本態性振戦
アーチスト(規格によって異なる):本態性高血圧症(軽症~中等症)、腎実質性高血圧症、狭心症、虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全
トランデート:本態性高血圧症、褐色細胞腫による高血圧症
カルバン:高血圧症
ということで、適応症も様々です。
アロチノロール塩酸塩は何の薬?
β遮断薬の働きは、アドレナリンがβ受容体を刺激して起こる作用をブロックすることで働きます。
基本的には「心臓の働きすぎを抑える」ということで、効果を発揮します。
心臓の働きを抑えることで、血圧を下げて高血圧に、心臓の負担を減らして不整脈、狭心症、心不全などに使われます。
血圧を下げる、心負担を減らす、という説明を真っ先にしてしまいがち。
これに当てはまらない適応症を持つ薬が一つ。
アロチノロール塩酸塩の「本態性振戦」という効能効果。
数あるβ遮断薬の中からアロチノロール塩酸塩を選択している理由は、この適応症が理由かもしれません。
本態性振戦の薬
本態性振戦の発症機序として、中枢と末梢の自律神経が関与していることが示唆されており、末梢の交感神経終末が主な作用点であるβ遮断薬に加えて、中枢性にはたらく抗不安薬及び抗てんかん薬の効果が期待されている。
抗てんかん薬ゾニサミドとアロチノロールの効果を比較した臨床試験では、ゾニサミドの非劣勢が示されている。さらに抗てんかん薬プリミドン、抗不安薬アルプラゾラムの有効性を検討した臨床試験において、両剤とも有意な効果を認めたとの報告がある。
β遮断薬のうち、日本で本態性振戦に対する適応を取得しているのはアロチノロールのみであるが、それ以外にナドロール(ナディック)、プロプラノロール塩酸塩(インデラル)、ソタロール塩酸塩(ソタコール)などで本態性振戦に対する有効性が認められており、適応外使用として処方される可能性がある。
β遮断薬の本態性振戦に対する作用機序
本態性振戦の発症機序は十分に解明されていないが、本態性振戦の治療には、交感神経系に作用するβ遮断薬の中でも、β1非選択性の薬剤で有効性が高いとされている。これはβ遮断薬による振戦への効果には、主として末梢の骨格筋に働くβ2遮断作用が関与しているためと考えられる。
さらに末梢の交感神経系に作用するβ遮断薬の中でも、特にISA(内因性交感神経刺激作用)を有しないものが望ましいとされる。α遮断作用が本態性振戦に影響するという報告は見つからないが、長期治療においてはβ遮断薬の副作用を軽減する効果が期待できるとする説もある。
狭心症とβ遮断薬
β遮断薬は陰性変力・変時作用により心筋酸素需要量を抑制し、抗狭心症作用を発揮する。
特に、器質性狭心症に対し有効である。
抗虚血・降圧のみでなく、抗不整脈作用も有する。
心筋梗塞症や心不全例の予後を改善するが、この場合はごく少量より導入する。
一方、冠攣縮を増悪させるとの報告もあり、使用にあたっては冠攣縮の関与について吟味し、必要に応じてCa拮抗薬を併用する必要がある。
・至適投与量は患者ごとに異なることが多く、初回投与量は常用量の数分の1程度から開始し、安静時心拍数が50~60拍/分、中等度の運動にて20%程度の心拍数増加を目安に投与量を調節する。
・喘息例では禁忌である。
・禁忌とされていた慢性閉塞性肺疾患(COPD)や閉塞性動脈硬化症に対して、β1選択性やαβ遮断薬を用いることにより、虚血性心疾患の予後を改善することが明らかなっている。
・糖尿病例でも血糖コントロール状況が良好であれば、β1選択性のものやαβ遮断薬は虚血性心疾患の予後を改善する。
・急激な中止はリバウンド現象を生ずることがあり、中止する場合には漸減する。
・β遮断薬が禁忌か不忍容で心機能が保たれており、中止する場合には漸減するジルチアゼムなどの心拍低下型Ca拮抗薬が用いられる。
・β遮断薬やジルチアゼムでは徐脈や心不全の合併に注意(特に高齢者)。
・内因性交感神経刺激作用(ISA)は部分的にβ受容体を刺激する作用で、これを有する薬物は徐脈になりにくく、徐脈傾向の症例に用いられるが、抗狭心症作用や心筋梗塞予防作用は弱い。
・手術前中止との見解もあるが、現在では周術期心血管合併症を予防することが確立しており、ハイリスク例では継続する。
・カルベジロールを除くβ遮断薬は添付文書上心不全に禁忌であるため、心不全合併狭心症例にはカルベジロールを用いる。
β遮断薬による徐脈
脈が遅くなることがあります
薬が効きすぎると、心臓の動きがゆっくりとなり、脈拍数が極端に減ることがあります。
1分間の脈拍が50回以下で、体がきつい、息切れしやすいなどの症状があるときは、必ずご連絡ください。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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