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頭痛にインデラル?
公開. 更新. 投稿者:頭痛/片頭痛.この記事は約3分34秒で読めます.
5,514 ビュー. カテゴリ:頭痛予防にインデラル
β遮断薬が頭痛予防に使われることがある。インデラル(プロプラノロール)の適応症には、「片頭痛発作の発症抑制」とあります。
β遮断薬の片頭痛予防効果は、頭蓋内血管の拡張抑制作用によるものだと考えられています。
片頭痛の原因は「血管説」「三叉神経血管説」の2説が有力ですが、いずれの説でも血管の拡張を経て片頭痛が発現するので、β遮断薬がβ₂受容体をブロックして血管拡張を抑制することにより、片頭痛発作が抑制されると考えられています。
β遮断薬のうち、アテノロール(テノーミン)、プロプラノロール(インデラル)、メトプロロール酒石酸(セロケン、ロプレソール)、ナドロール(ナディック)は、日本頭痛学会他「慢性頭痛のガイドライン2013」において、「片頭痛の予防効果が確実である」と評価され、積極的な使用が推奨されている。
これらのβ遮断薬に共通するのは、「内因性交感神経刺激作用(ISA)」を持たないことである。ISAとは、β受容体を刺激する物質が存在しない場合に、薬剤自体がわずかにβ受容体を刺激する作用である。ISAを持つβ遮断薬には、アセブトロール塩酸塩(アセタノール)、ピンドロール(カルビスケン)、アルプレノロール(スカジロール)などがある。これらの薬剤は、片頭痛予防効果がないことが臨床試験で示されている。ISAを持つβ遮断薬の片頭痛予防効果は期待できないが、その理由は現在のところ不明である。
β遮断薬にはセロトニン放出抑制の効果もあると考えられています。インデラルはセロトニンの遊離を阻害するとされています。
インデラルとマクサルトは併用禁忌?
ここで気をつけなければならないのは、インデラルとマクサルトの併用です。どちらも片頭痛に使われます。
インデラルの併用禁忌には、「安息香酸リザトリプタン(マクサルト)」があり、その機序として、「相互作用のメカニズムは解明されていないが、本剤がリザトリプタンの代謝を阻害する可能性が示唆されている。」と記載されています。
マクサルトの主要代謝経路は、A型モノアミン酸化酵素(MAO)による酸化的脱アミノ化であり、プロプラノロールの代謝にもA型MAOが関与する。両剤を併用すると、マクサルトの代謝が阻害され、作用が増強する恐れがある。
インデラルの併用禁忌には、
安息香酸リザトリプタン(マクサルト)
臨床症状・措置方法
リザトリプタンの消失半減期が延長、AUCが増加し、作用が増強する可能性がある。
本剤投与中あるいは本剤投与中止から24時間以内の患者にはリザトリプタンを投与しないこと。
機序・危険因子
相互作用のメカニズムは解明されていないが、本剤がリザトリプタンの代謝を阻害する可能性が示唆されている。
と書かれています。
ちなみにその他のトリプタン系なら大丈夫なようです。
インデラルを頭痛の予防に使うケースもあるので、マクサルトとインデラルの併用処方、ありうると思います。要注意です。
マクサルトは、β遮断剤のインデラル(塩酸プロプラノロール)服用中の患者には禁忌である。
マクサルトの主要代謝経路は、A型モノアミン酸化酵素(MAO)による酸化的脱アミノ化であり、プロプラノロールの代謝にもA型MAOが関与する。
両剤を併用すると、マクサルトの代謝が阻害され、作用が増強する恐れがある。
また、プロプラノロールの消失半減期は錠剤で3.9時間、徐放製剤で約10時間なので、投与中止後も錠剤で24時間、徐放製剤で48時間は、マクサルトと併用してはいけない。
プロプラノロールを片頭痛予防剤として適応外使用するケースもあるので、注意が必要です。
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