2024年12月2日更新.2,476記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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利尿剤は少量でいい?

ARB+利尿剤

最近、少量の利尿剤とARBの併用で相乗効果によって血圧を下げる合剤がいくつか発売されています。

プレミネント:ニューロタン+ヒドロクロロチアジド12.5mg
コディオ:ディオバン+ヒドロクロロチアジド6.25mg・12.5mg
エカード:ブロプレス+ヒドロクロロチアジド6.25mg
ミコンビ:ミカルディス+ヒドロクロロチアジド12.5mg

ヒドロクロロチアジドはダイクロトライドという商品名で売られていますが、あまり使われていません。
1錠25mgで1回25~100mgを1日1~2回というのが承認されている用量です。
それに比べると合剤に含まれるヒドロクロロチアジドの量は1/2~1/4程度です。

1/2と4/1どっちが良いのかはわかりません。
少量の利尿薬でも降圧作用は変わらないとのこと。
少量投与によって、尿酸・糖・脂質代謝への影響、頻尿など副作用が減らせます。

利尿剤は安いので、費用対効果では最も優れた降圧剤です。
安い薬を宣伝して売っても大した利益にならないのでメーカーは利尿薬の販売に力を入れません。
そこで生まれたのが、この合剤という手法なのですね。

飲む方にとっても、「薬を一つ追加します」より「薬を変えます」のほうが抵抗がないらしいです。

塩分と日本人と血圧

わが国の降圧治療においてARBはCa拮抗薬と並び多く処方されています。
一方、利尿薬は、低K血症、耐糖能低下、高尿酸血症などの代謝性副作用の不安から、処方頻度は高くありません。

しかし、塩分摂取の多い日本人にはNa排泄作用を有する利尿薬は効果的と考えられ、少量投与することで降圧作用の大きな減弱を伴わずに代謝性副作用を最小化することも可能です。

ARBと少量利尿薬の併用は、降圧作用が増大するだけでなく、両者の血清カリウムへの影響が相殺されるほか、利尿薬による耐糖能低下などの副作用の抑制が期待できます。

夏場は利尿剤を減らす?

夏場は汗をかき、脱水、熱中症になるリスクも高まるので、利尿剤は減らしたほうがいいんじゃないか、と思うことがある。

しかし、降圧剤として使用している場合の少量の利尿剤においては、その必要はなさそう。

夏場に農作業や肉体労働などで大量に汗をかき、体液量が減って血圧が下がるという症例は確かに認められます。

そこに利尿薬を投与すると、脱水が起きたり血圧が下がり過ぎる可能性も否定はできません。

このような患者では、十分な水分摂取の患者指導はもちろんのこと、まず家庭血圧を測定し、もし収縮期血圧が100mgHg以下に低下しているようなら、ARB/利尿薬合剤からARBに切り替えることも考慮すべきでしょう。

しかし、少量の利尿薬であれば脱水が起きる可能性が少ないこともわかってきていますし、ほとんどの場合、利尿薬の調整は必要無いと考えられています。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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