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カリウム製剤を一包化しちゃダメ?
公開. 更新. 投稿者:調剤/調剤過誤.この記事は約3分49秒で読めます.
26,006 ビュー. カテゴリ:カリウム製剤と吸湿性
よく知られているように、スローケーやアスパラカリウムなどのカリウム製剤は、吸湿性、潮解性があるため、一包化には適していません。
スローケーの添付文書には、
1. 吸湿性が極めて高いので、アルミピロー開封後は湿気を避けて保存のこと。
2. PTPシートから取り出して調剤しないこと。
3. 粉砕して調剤しないこと。
アスパラカリウムの添付文書には、
(1) PTPシートを破損しないよう注意すること。
(2) 服用直前までPTPシートから取り出さないこと。
(3) 錠剤は一包化に適さない薬剤である。ただし、一包化が必要な場合は気密性の高い容器で保存し、必要に応じて乾燥剤を入れるなど湿気に十分注意すること。
スローケーは絶対一包化不可で、アスパラカリウムは必要に応じて可能。
しかし、アスパラカリウムのインタビューフォームをみると、無包装状態で条件によっては5日程度で崩れやすくなってしまう。
スローケーのインタビューフォームをみても、無包装状態でも安定性がよくわからない。
アスパラカリウムのジェネリックにアスケート錠、スローケーのジェネリックにケーサプライ錠というのがあるが、それらの添付文書には、一包化不可の記載はみられない。こちらに変更して調剤することも考えられる。
やむを得ず一包化する場合であっても、乾燥剤はつけて渡したほうがよいだろう。
アスパラカリウムのバラ包装?
私はその存在を最近まで知りませんでしたが、アスパラカリウム錠300mgには1000錠入りのバラ包装がある。
田辺製薬販売のホームページには以下の記載がみられる。
本剤は吸湿性が極めて高く、PTP 包装あるいはバラ包装(シリカゲル入りの鉄製缶)から本剤を取り出した場合、湿気を避けて保存する必要があります。
相対湿度 52~75%の保管条件下で、3 日間では外観に変化はみられないものの、5日間で表面のあれが認められ、保管30日間ではひび割れ等の著しい外観変化および実用上問題となる硬度の低下が認められました。
一方、相対湿度 42%以下で保管した場合、1 ヵ月の時点でも外観に変化はなく、硬度の 低下はあるものの、実用上問題のない程度の変化でした。
注) PTP包装状態の加湿条件下での保管(相対湿度 75%、2ヵ月間)においては、実用上問題のない程度ではありますが、硬度の低下がみられており、アルミピローから取り出した場合の長期保存も湿気を避けて保管してください。また、PTPシートで保存する場合も、PTPシートを破損させないようにご留意ください。
湿度にさえ気を付ければ、バラ包装も問題ないということか?
乾燥剤を毎回付けてお渡しすれば、一包化も可能なのか?
と思いきや、販売移管先のニプロESファーマのQ&Aに以下のようなものがあった。
Q.錠のバラ包装は,一包化用ですか?
A.バラ包装は,一包化用にご用意した包装ではありません。病院の病棟で短期的に大量に使用される場合などに,PTPから出す手間を省くために用意しているものです。
包装形態:100錠をポリ袋に入れヒートシール,その10袋を乾燥剤とともにポリ袋に入れヒートシールし,缶に封入.
やはり一包化不可なのです。
スローケーとアスパラカリウムの違いは?
スローケーもアスパラカリウムも、カリウムの補給に用いられるカリウム製剤です。
スローケーの成分は、塩化カリウム。
アスパラカリウムの成分は、L-アスパラギン酸カリウム。
アスパラカリウム錠300mg中に、カリウムは1.8mEq含まれる。
スローケー錠600mg中に、カリウムは8mEq含まれる。
アスパラカリウムの用法は、1日0.9~2.7g(錠:3~9錠、散:1.8~5.4g)を3回に分割経口投与。
スローケーは徐放性製剤で、用法は、1回2錠を1日2回。
スローケー4錠中にカリウムは32mEq。
アスパラカリウム9錠中にカリウムは16.2mEq。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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