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甲状腺機能低下症で手足がしびれる?
公開. 更新. 投稿者:甲状腺機能亢進症/甲状腺機能低下症.この記事は約5分45秒で読めます.
3,054 ビュー. カテゴリ:甲状腺機能低下症で手根管症候群?
甲状腺機能低下症で手根管症候群や足根管症候群が引き起こされる。
甲状腺機能低下症の患者では、甲状腺機能低下症で異常に蓄積する物質である多糖類が蓄積することにより結合組織内に水分が貯留する傾向があるため、手根管症候群との関連があるものと思われます。
このため腫れがひどくなり、正中神経が手首を覆っている結合組織の下を通っているために圧迫症状が悪化するのです。甲状腺機能低下症の治療を行うと、手根管症候群の症状が改善されることがあります。
甲状腺機能低下症で粘液水腫はよく聞きます。
粘液水腫とは一般的に高度に進行した甲状腺機能低下症に続発する皮膚や組織の疾病。皮膚に水和力の高い酸性ムコ多糖類が蓄積することによって、顔面は眼瞼、鼻、頬及び口唇等が浮腫状を呈する。他に四肢の皮膚、手掌、足底等においても浮腫が出現し、体毛等も脱毛して減少する状態をいう。甲状腺機能低下症は外科的に甲状腺を除去することによって発生する萎縮性疾病である橋本病を原因とすることがあり、粘液水腫はさらに稀な疾病である。粘液水腫の一形態である前脛骨粘液水腫は、時として甲状腺機能亢進症を原因とする成人のバセドウ病や甲状腺機能低下症を伴わない橋本病で出現することがある。
粘液水腫 – Wikipedia
水分貯留によって神経が圧迫され、手根管症候群が発生するということでしょうか。
むくみが原因となるなら、糖尿病やうっ血性心不全や腎不全も手根管症候群の原因になるのかな、と思ったら、そういうこともあるらしい。
逆に手根管症候群から甲状腺機能低下症を疑うことも必要なのかな。
整形外科の疾患から内分泌の疾患を疑うのも難しい。
足根管症候群?
手根管症候群ならぬ足根管症候群というのもある。
下腿の方から足の方へ向って下りてきた後脛骨神経は、足の内くるぶしの付近で枝分かれをして、足の裏の感覚をつかさどります。
内くるぶし付近では、足根管というトンネルが存在して、後脛骨神経がその中を通ります。
そこで圧迫を受けると、足の裏がしびれるというのが足根管症候群の原因です。
足根管症候群(そくこんかんしょうこうぐん)
原因の多くは特発性で、事故による足首の強い圧迫・深い切創・骨折・静脈瘤、ガングリオン、腱鞘炎などにより、脛骨神経が損傷を受けた場合にも発生する。
透析患者がアミロイドーシスでよく手根管症候群を起こしますが、足根管は手根管と異なり管腔の底が多少柔らかいために余裕があり、手根管症候群ほど発症頻度が高くないという話。
肘部管症候群、橈骨管症候群というのもある。
神経が圧迫されて起こるしびれなので、病名は違えど、体中の至る所で起こる可能性はあるのかな。
むくみと甲状腺機能低下症
むくみの原因は心臓や腎臓の不調などさまざまですが、甲状腺の機能が低下した時にも起こります。
甲状腺の機能低下によるむくみの特徴は、心臓や腎臓などによるむくみと違い、押しても凹んだままにならないことです。
もしもむくんだ足などを親指で押し、指を離したらすぐに元に戻るようでしたら甲状腺の機能低下によるむくみかもしれません。
他のむくみが皮下の水分貯留が過剰になった為に起こるのに対し、甲状腺機能低下では皮下にタンパクが過剰に産生されることによって起きます。
また甲状腺機能亢進の際にも、むくみが生じることがあります。
甲状腺の機能を正常にすればこのむくみもすぐに解消されます。
肌荒れと甲状腺
甲状腺機能低下による肌荒れの特徴は、皮膚が潤いを失いつやがなくなり、乾燥して皮膚がかさかさになることです。
特に貧血のある方では、皮膚が冷たく蒼白に見えることがあります。
これは甲状腺機能の低下によって新陳代謝が悪くなるためです。
甲状腺機能亢進症では、汗や皮脂の分泌が多くなるため、にきびや吹き出物ができやすく、かゆみも生じやすくなります。
甲状腺の機能を正常にすれば、これらの肌荒れもすぐに解消されます。
甲状腺機能低下症の治療
甲状腺ホルモンの分泌が低下して活動性が低下する病気です。
圧倒的に女性に多く(男女比は1対10以上)、40歳以後の女性では軽症なものも含めると全体の5%にみられます。
成人に起こり、症状がはっきり出ているものは粘液水腫、小児にみられる先天性のものはクレチン病とも呼ばれます。
・中枢性甲状腺機能低下症でも血清TSHは10μU/mLくらいまでは上昇する場合がある。これは活性のないTSHの上昇と考えられている。fT4は低値となる。この場合TSHは指標とならないので、fT4値を指標に治療を行う(一般に本症の場合は補充量が不足気味のことが多くなりがちなので、fT4値で正常中央より高めを目指して補充をする)。
・乾燥甲状腺末はT4、T3を生理的なバランスで含むという考え方もあるが、ブタ甲状腺由来のためアレルギーの問題があること、製剤によりホルモン含有量にばらつきがありうることなどから現在ほとんど使用されない。
・リオチロニン(チロナミン)も血中濃度が変動しやすく副作用も出やすいため特殊な状況以外では使用されることはすくない。
・リオチロニン(チロナミン)が使用されるのは、粘液水腫性昏睡の場合や甲状腺癌の治療でアイソトープを使用する際の前処置などが挙げられる。T3製剤を使用する必要があると考えられる場合あh、専門医への紹介が望ましい。
・通常の甲状腺機能低下症はレボチロキシン(チラーヂンS)で治療される。
・レボチロキシン(チラーヂンS)の投与は少量から開始し、ゆっくり増量するのが還原則である。特に高齢者の場合は12.5μgからの開始が望ましく、増量は4~8週ごとに25~50μgずつ増量する(機能低下の症状を認めている場合は、少量の投与で検査値の改善を認める前に症状の改善を認めることが一般であり「症状が強いので多めの投与、早く増量」と考えないことが肝要である)。
・甲状腺腫瘤の縮小を目的として投与されることがある。この場合、効果を得るためにはTSHを抑制する量の投与が必要。縮小がみられても、休薬によりもとの大きさに戻ることが多いと報告されている。
・抗甲状腺薬と併用してバセドウ病の治療に使われることがある(block and replacement療法)。
・古くから使用されている薬剤であるが、いまだに明快な結論の出ていない点は「どの程度の機能低下症から治療をすべきであるか」という問題である。この点に関して、Colらによる治療指針のチャートが引用されているが、現在のところ十分なエビデンスに基づいたものではなく今後の検討が必要であることが米国の甲状腺診療に関係する複数の団体の共同ステートメントとして発表されている。
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