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チラーヂンとチロナミンの違いは?
公開. 更新. 投稿者:甲状腺機能亢進症/甲状腺機能低下症. タグ:チラーヂン. この記事は約7分15秒で読めます.
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甲状腺ホルモン製剤の違い
チラーヂンとチロナミンって何が違うの?
甲状腺機能低下症に使う甲状腺ホルモン製剤といえばチラーヂンが使われることが多い。
甲状腺ホルモン製剤にはそのほかに、チロナミンというのもある。
チロナミンはT3製剤。チラーヂンはT4製剤。
T3は速効性で効き目が短い。
一般的には、安定した効果がえられる他の甲状腺ホルモン薬(T4)を用いることが多い。
甲状腺ホルモン製剤には、⑴サイロキシン(T4) 製剤のレボチロキシンナトリウム水和物(チラーヂンS)、⑵トリヨードサイロニン(T3)製剤のリオチロニンナトリウム(チロナミン)、(3) T3とT4 が混合した乾燥甲状腺(チラーヂン末)の3 種類がある。(チラーヂン末はすでに販売中止)
健常成人の場合、甲状腺から分泌されるのは主としてT4 であり、末梢組織内において、より生理活性の強いT3や非活性型のrT3 に転換される。
粘液水腫による昏唾のような急性失調時にはT3 製剤を使用するが、甲状腺機能異常の慢性状態でホルモン量を調節する場合には、一般にT4製剤であるチラーヂンS が用いられる。
乾燥甲状腺はT3 やT4 の含有量が安定していないので、あまり使用されない。
時に、機能低下状態になっていなくても、甲状腺腫を小さくする目的で少量の甲状腺ホルモン薬が投与されることがある。
また、甲状腺機能検査のためにT3製剤が処方されることもある。
T₄ | T₃ | ||
商品名 | チラーヂンS | チロナミン | |
力価比 | 400 | 1600 | |
効果の発現と消失 | おそい | はやい | |
血中半減期(正常者) | 約6日 | 約1日 | |
血中半減期(粘液水腫) | 約8日 | 約2日 | |
1日の投与回数 | 1回 | 3回 | |
効能効果 | 粘液水腫、クレチン病、甲状腺機能低下症、甲状腺腫 | 〇 | 〇 |
慢性甲状腺炎 | ー | 〇 |
T3とT4の違い
甲状腺ホルモンにはヨウ素が4つ置換したT4(サイロキシン)と3つ置換したT3(トリヨードサイロニン)の2種類がある。
両者とも甲状腺で作られて血液中に分泌されるが、分泌量はT4が圧倒的に多く、1日当たりT3約4μgに対しT4は約80μgである。
これらは血液中で血漿タンパクと結合して存在し、標的組織で遊離型となり生理活性を示す。
遊離型T3の約80%は遊離型T4から生成される。
FT3とFT4の違い
甲状腺疾患の検査値でTSHとかFT3とかFT4という数値。
患者さんから検査値を見せられることもあり、説明を求められることもあるので理解しておきたい。
甲状腺ホルモンにはヨウ素が4つくっついたT4(サイロキシン)と3つくっついたT3(トリヨードサイロニン)の2種類があります。
FT3とFT4のFとは遊離型(Free)の意味です。
甲状腺ホルモンは分泌されると、そのほとんどはタンパク質と結合して血液中を流れていますが、最終的に臓器に作用するのは遊離型のホルモンです。
甲状腺から分泌されるのは主にT4で、血中T3の大部分は末梢組織でT4の脱ヨードにより産生されます。
しかし生体で実際に強い活性を示すのはT3です。
FT4で甲状腺のホルモン産生能力を調べ、FT3で実際の甲状腺ホルモンの作用の程度を調べることができるわけです。
TSH(甲状腺刺激ホルモン)は甲状腺ではなく、脳から分泌されるホルモンで、甲状腺を刺激して甲状腺ホルモンを出させるホルモンです。
甲状腺ホルモンが足りなければ分泌を促し、逆に多ければ分泌を抑制します。
チラーヂンS散とチラーヂン末の違い
チラーヂンの粉、というと2種類ある。
チラーヂンS散とチラーヂン末。(チラーヂン末はすでに販売中止となっています)
チラーヂン末は乾燥甲状腺といい、成分のばらつきがあるため血中濃度の維持がしにくい。
チラーヂンS散は均一な成分のため血中濃度は安定しやすい。
それなので最近はチラーヂンS散、S錠が大きくつかわれています。
チラーヂン末の効能効果は、「粘液水腫,クレチン病,甲状腺機能低下症(原発性及び下垂体性),甲状腺腫,慢性甲状腺炎,甲状腺機能障害による習慣性流産及び不妊症」と範囲が広い。
チラーヂンS散の適応は「乳幼児甲状腺機能低下症」だけ
しかし、チラーヂンS散の効能効果は、「乳幼児甲状腺機能低下症」のみ。
乳幼児にしか適応はない。ある程度の年齢になったら、錠剤でいいだろうということ。しかし、成人にも抗甲状腺薬で下がり過ぎる人に、少量の甲状腺ホルモン製剤でバランスをとることがあり、成人にチラーヂンS散という処方もみかける。
ちなみにチラージンじゃなくてチラーヂン。よく間違えられます。
亜急性甲状腺炎とチロナミン
亜急性甲状腺炎は、痛みを伴う甲状腺腫が特徴の炎症性疾患。
多くは数か月で自然軽快するが、発症初期の「甲状腺中毒期」に、頸部の激しい痛みや発熱、動機や息切れなど甲状腺中毒症状が付随する。
亜急性甲状腺炎は、甲状腺中毒期を経て、約半数は一過性の「甲状腺低下期」に移行する。
永続性の甲状腺機能低下症の治療には、T4製剤のチラーヂンSが最も広く用いられている。
だが、亜急性甲状腺炎による甲状腺機能低下例には、T3製剤のチロナミンが第一選択薬である。
この甲状腺機能低下症のほとんどは一過性であるため、甲状腺で産生されるT4が自然に上昇してくるのを待つ必要があり、T4製剤を処方すると判定が困難になる。
T3は甲状腺以外の末梢臓器でもT4から変換され産生されるため、遊離トリヨードサイロニン(FT3)は甲状腺機能だけを反映していない。
そこで、活性が強く、即効性も期待できるT3製剤(チロナミン)をFT4が正常化するまでの間処方する。
チラーヂンとうつ病
チラーヂンがうつ病に効くの?
うつ病には抗うつ薬が使われますが、抗うつ薬だけでは反応の乏しい治療抵抗性のうつ病患者がいます。
そんなとき、抗うつ薬の反応性を高める薬物を上乗せする効果増強療法が行われます。
炭酸リチウムが使われることが多いですが、甲状腺ホルモン製剤も使われることがあります。
機序はよくわかっていませんが、甲状腺機能低下がうつ病に関係していること、甲状腺ホルモンが抗うつ薬の代謝を変化させ効果を増強する可能性、脳内のβアドレナリン受容体の機能を高めて、シナプスにおけるモノアミンの作用を増強する可能性などが指摘されています。
チラーヂンは用量の幅が広く(25~400μg/日)、高頻度に発現する副作用は少ないことから、比較的安全に使用できるため使いやすい。
甲状腺機能低下により無気力になることがあります。
甲状腺の機能が低下すると体に必要な甲状腺ホルモンが十分に産生されなくなります。
この甲状腺ホルモンは脳の細胞を働かせるためにも必要で、不足すると集中力や思考力が減退していきます。
また物事に対する意欲や気力が低下し、何をするのもおっくうで以前と比べて無気力となってしまいます。
甲状腺ホルモンを正常に戻せば以前のように元気になれます。
甲状腺ホルモンと副腎皮質ホルモン
チラーヂンの重篤な副作用に、副腎クリーゼというのがある。
副腎クリーゼ(頻度不明)
副腎皮質機能不全,脳下垂体機能不全のある患者では,副腎クリーゼがあらわれることがあるので,副腎皮質機能不全の改善(副腎皮質ホルモンの補充)を十分にはかってから投与すること.全身けん怠感,血圧低下,尿量低下,呼吸困難等の症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと.
甲状腺と副腎が関係あるのか。
この副作用は、もともと副腎皮質の機能が低下している患者で起こりうる副作用なのです。
甲状腺ホルモンには代謝亢進作用があるため、ただでさえ低値の副腎皮質ホルモンの分解を早めてしまい、副腎皮質機能低下の症状が増大してしまう。
そのため、副腎皮質ホルモンを補充してから、その後チラーヂンを服用するという方法がとられる。
橋本病と甲状腺機能低下症の違い
甲状腺機能亢進症=バセドウ病。
甲状腺機能低下症=橋本病。
と、おおざっぱに捉えていましたが、そうとは限らない。
橋本病は甲状腺の病気の一つです。症状が出るとすれば、甲状腺機能低下症ですが、多くは無症状で、甲状腺が少しはれているという程度のものが大多数です。
しかし、甲状腺が腫大したり、のどの違和感を訴え橋本病と診断されても、すべての橋本病が甲状腺機能低下症を伴うわけではありません。約40%の人に機能異常があります。
診断は、甲状腺機能、抗甲状腺抗体を調べます。抗甲状腺抗体が陽性であれば橋本病が考えられますが、甲状腺機能が正常であれば治療の必要はありません。
バセドウ病では甲状腺機能は亢進する。
しかし橋本病で甲状腺機能が低下するのは約40%。
半数以上の橋本病は治療の必要がない。
橋本病とクレチン症の違い
同じ甲状腺機能低下症でも、橋本病は自己抗体により甲状腺が破壊されホルモンが作れなくなるものです。
クレチン病は、乳幼児の甲状腺機能低下症で、先天的な甲状腺の発育不良でホルモンが欠乏するものです。
潜在性甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンは正常なのに橋本病と言われてる、という患者さんがいた。
どういうことか。
一部の患者では、甲状腺機能低下症が全然表に出ず、見逃されてしまいます。これは、特に60歳以上の患者ではあることで、そのような人では軽い疲労や便秘、または皮膚の乾燥などが、全部「年のせい」にされてしまうことが非常に多いのです。
このような例では、甲状腺機能低下症のための血液検査をしない限り、甲状腺機能低下症を患者も医師も見つけることはできないのが普通です。検査室ではわかるが、医師にはわからない場合、このような甲状腺機能低下症は「潜在性甲状腺機能低下症」と呼ばれます。
甲状腺ホルモンは正常値の範囲内だけど、甲状腺刺激ホルモンが正常値より高くなっている状態。
それが潜在性甲状腺機能低下症。
軽い甲状腺機能低下症。
この、潜在性甲状腺機能低下症に対しては、以下に該当する場合、甲状腺ホルモン投与などが行われます。
•血液中のTSH値が10μU/ml以上ある
•TSH値が10μU/mlより低くても、動脈硬化症を促進する疾患(脂質代謝異常、糖尿病、喫煙、高血圧)がある
•妊娠している
このほか
•抗甲状腺抗体が陽性
•排卵異常を伴う不妊患者
•甲状腺機能低下症と一致する症状がある
•甲状腺腫が大きい
といった場合も治療を考慮します。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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