2024年12月18日更新.2,481記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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甲状腺ホルモンと甲状腺刺激ホルモンの関係

甲状腺ホルモンの関係

バセドウ病と診断された患者から、検査値を見せられて、さっぱりわからない、となると恥ずかしい。

バセドウ病は甲状腺ホルモン亢進症。
甲状腺ホルモンが高い状態です。
甲状腺ホルモンは、脳の下垂体と呼ばれる場所から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)とお互いに分泌の調節を行っています。

甲状腺ホルモンが高くなれば、甲状腺刺激ホルモンが低くなる。
甲状腺ホルモンが低くなれば、甲状腺刺激ホルモンが高くなる。
シーソーのような関係。
体内でホルモンが少なくなれば分泌を促し、ホルモンが多くなれば分泌を止める。

脳下垂体から分泌されたTSHが甲状腺細胞膜のTSH受容体(TSHレセプター)に結合すると、その刺激により甲状腺ホルモン(T4、T3)の合成と分泌が行われます。
血液中に分泌されたT4、T3は、今度は逆に下垂体に作用しTSHの分泌を抑制するように働きます(ネガティブフィードバック)。
そして、これらお互いの刺激と抑制作用によりホルモン分泌の調整がなされ、血液中のホルモン濃度は一定に保たれています。

甲状腺ホルモンは、甲状腺の濾胞細胞と呼ばれる場所でヨウ素を原料に作られます。
濾胞細胞では、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)と呼ばれる2種類の甲状腺ホルモンが作られます。
T4は貯蔵型ホルモン、T3は活動型ホルモンとも呼ばれ、働きはT3のほうがT4より強いと言われています。

濾胞細胞からはT4のほうがT3より多く血液中に分泌され、肝臓や腎臓においてT4はT3へと変換されます。
血液中のT4とT3は、そのほとんどが甲状腺ホルモン結合蛋白と呼ばれるタンパク質と結合した状態で血液中を流れています。
そして、そのごく一部が遊離型ホルモン(FT4、FT3)として、活性型甲状腺ホルモンとなり全身で作用します。

各検査値と疾患の関係
FT4、FT3高値 & TSH高値 → TSH産生腫瘍、甲状腺ホルモン不応症
FT4、FT3高値 & TSH低値 → バセドウ病、無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎、プランマー病
FT4、FT3低値 & TSH高値 → 甲状腺機能低下症(慢性甲状腺炎、橋本病、先天性甲状腺機能低下症、甲状腺手術後、アイソトープ治療後)
FT4、FT3低値 & TSH低値 → 中枢性甲状腺機能低下症

とりあえずバセドウ病だけでも覚えておこう。

TSAb

甲状腺刺激性自己抗体の略称、甲状腺機能はTSHレセプターにTSHが結合することにより活性化されます。
一般的に考えると、TSHレセプターに対する抗体はTSHによる甲状腺機能の亢進を阻害するはずです。
しかし、TSAbは、TSHレセプターに対する抗体であるにもかかわらず、甲状腺機能を亢進します。
これがバセドウ病の原因です。

甲状腺ホルモン製剤

甲状腺ホルモン製剤にはレボチロキシン(T4、チラーヂンS)、リオチロニン(T3、チロナミン)の2種がある。乾燥甲状腺末(チラーヂン末)はブタ甲状腺の粗抽出物で販売中止となった。

T3製剤はT4製剤に比べ腸管からの吸収がよく活性型であるため効果の発現が早いが、半減期が短く副作用が出やすいので通常の甲状腺機能低下症の治療ではT4製剤が使用される。
甲状腺ホルモン補充作用により、基礎代謝を上昇させる。甲状腺細胞は、血中ヨウ素イオンを取り込み、チロシンを前駆物質として甲状腺ホルモンを合成・分泌する。
甲状腺ホルモンには、サイロキシン(T4)と、トリヨードサイロニン(T3)とがあり、甲状腺から分泌されるのは主にT4で、血中T3の大部分は末梢組織でT4の脱ヨードにより産生される。 生体で実際に強い活性を示すのはT3である。

甲状腺ホルモンの産生は、下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって刺激され、TSHの分泌は甲状腺ホルモンによってフィードバック機構が働く。
甲状腺機能低下の際に、体内で不足している甲状腺ホルモンを補充するために用いる。
原因によらず(原発性、下垂体性、先天性、手術後)、機能低下症の治療は甲状腺ホルモンによる補充でよい。

・甲状腺で産生されるホルモンはチロキシン(T4)およびトリヨードチロニン(T3)で、T3が活性型のホルモンである。

・健常人のT4の1日産生量は70~90μg、T3は15~30μgと推定されている。

・血中T3の80%は末梢組織(主に肝臓)にてT4の脱ヨード化によって産生される。

・レボチロキシン(チラーヂンS)がT4、リオチロニン(チロナミン)がT3製剤である。

・T4は血中蛋白との結合が強く半減期は1週間前後(低下症の場合は9~10日前後に延長)である。単回投与の作用のピークは約9日後で11~15日で薬効は半減する。

・T3は蛋白との結合が弱いため血中半減期は約1日と短く、薬剤として投与すると投与後には一過性に血中の遊離T3の濃度が高くなりやすい。

・甲状腺機能低下症は、甲状腺自体の働きが悪い場合(原発性甲状腺機能低下症)と上位中枢の働きが悪い場合(中枢性甲状腺機能低下症)が存在する。

・原発性甲状腺機能低下症の場合、血清TSH高値、fT4低値~正常低めとなる。治療は甲状腺刺激ホルモン(TSH)値を指標としTSHの正常化を目標とする。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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