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睡眠薬はクセになる?
公開. 更新. 投稿者:睡眠障害.この記事は約6分17秒で読めます.
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現在用いられている睡眠薬のほとんどが抗不安薬とともにベンゾジアゼピン系薬剤であり、安全性も高いといわれています。
ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、常用量の反復投与で精神依存は生じますが、身体依存は生じないといわれ、耐性や薬物間の交叉耐性が生じるといわれています。
しかし、ジアゼパムの常用量での身体依存が報告されて以来、ベンゾジアゼピン系薬剤は常用量で精神依存、身体依存が生じると考えられるようになりました。
ベンゾジアゼピン受容体作動薬は、多くの患者に処方されていますが、通常用量を使っている限り依存性の問題は起こらないと考えてよい。
通常、ベンゾジアゼピン系薬剤を中等量で短期間(1~2週間)使用する場合は、耐性、依存、離脱が出現することはないといわれています。
しかし、作用時間の短いベンゾジアゼピン系薬剤では服用した翌日に抗不安効果に対する耐性が生じた例もあり、慎重な投与が必要です。
また、離脱症状には、不安、恐怖感、不眠、めまい、頭痛などがあり、短時間作用型で断薬後2~3日、長時間作用型で7日以内に出現します。
漸減療法を行い、長時間作用型の薬剤では3~4日ごとに1日量を30~50%減量します。
短時間作用型の薬剤では、より慎重な減量を行い、場合によっては長時間作用型の薬剤に置き換えてから減量を行います。
不眠や幻覚・妄想などの精神症状がみられる場合には、レボメプロマジンのような鎮静催眠作用を有する抗精神病薬を使用することもあります。
睡眠薬の服用で大切なことは、長時間にわたり漫然と服薬しないことです。
睡眠がとれるようになったら、減量を試みることが重要です。
ベンゾジアゼピン系の睡眠薬はアルコールやバルビツール酸系薬剤に比べ安全といえます。
主治医とよく相談し、自分勝手な中断や乱用をしないことが大切です。
睡眠薬の依存症
「睡眠薬はクセになる」とか「1回飲んだら止められなくなる」とかよく言われます。
確かに依存症はありますね。
でも「依存症があります」「止められなくなります」とか言ったら患者さんは飲みません。
お酒を飲む人は多いと思いますが、お酒を飲んだからと言ってみなアルコール依存症になるわけではありません。
医師の指示通りの用量を飲んでいれば止められなくなるようなことはほとんどありません。
止めるときには少しずつ減らす方法もあります。
自分で勝手に増量しないようにしましょう。
睡眠薬は癖にならない。
それには「正しい処方を、指示通りに服用すれば」という条件があります。
現在の処方の主流はベンゾジアゼピン系の睡眠薬です。
薬理作用からは耐‘性や依存性は生じにくいといわれつつも、現に依存症者は存在します。
そのほとんどの場合は、「指示通りの服用」 を守らなかったことから起こったことです。
加えて、処方した医師の説明不足や観察不足が招いた現実でもあります。
睡眠薬を飲み続けてはいけない?
精神科で睡眠薬を飲み続けている人、います。
睡眠薬を飲み続けてはいけない、と自己判断で量を調節し、止めようとする人、います。
止めようと強く思い過ぎて、止められない人がいる。
不要な薬は飲まないほうがいい。
しかし、必要な薬であれば、飲み続けるという手段もある。
必ず止めなければいけないわけじゃない。
睡眠薬はだんだん効かなくなる?
睡眠導入剤の鎮静作用と健忘惹起作用は直接関連しており、また、健忘惹起作用は耐性を生じないことが報告されています。
したがって、連用によって睡眠導入剤の催眠作用に耐性を生じることはほとんどないと考えられます。
効果が乏しくなってきたようにみえるときは、連用による反跳性不眠が生じてきた場合や、不眠を来しうるほかの原因の存在など、睡眠導入剤以外の要素を考慮する必要があります。
また、不眠に対する過剰な不安がある場合も、催眠作用が減衰したようにみえることがあります。
睡眠薬で不眠が悪化?
睡眠薬を飲んで、しばらくして止めるた人が、「前よりひどくなった」ということがある。
反跳性不眠や退薬症候によるものと思われる。
自己判断で突然中止したりすることで現れる。
止めるときは医師に相談して、徐々に減量します。
睡眠薬は止められない?
これは一度睡眠薬を服用しはじめると一生服用しなければならないのでは、という誤解です。
この誤解の原因は、急に薬を止めたことで起こる反跳(リバウンド)性不眠にあるのではないでしょうか。
睡眠薬の止め方には工夫が必要です。
睡眠薬は止めることができるが、上手な使い方と止め方が必要だということです。
自己判断で止めない
自己判断で急に服用を中止しないように指導することは、最も重要なことです。
一般に、睡眠薬による治療を続けていると、一定期間で眠れるようになります。
ところが、患者さんの勝手な自己判断で急に服用をやめると、以前に増して眠れなくなります(反跳性不眠)。
特に超短時間型あるいは短時間型の睡眠薬では、その傾向が顕著であることが知られています。
実際、これらの睡眠薬を切る場合には、一旦、中間型に変えて、徐々に減量していくのが基本です。
そこで、超短時間型あるいは短時間型の睡眠薬を服用している方には、特に注意が必要です。
早く止めたい
多くの患者さんは、1日でも早く、睡眠薬の服用を止めたいと思っています。
そこで、「眠れる自信をつけることが、睡眠薬から離れることにつながる」ことを理解してもらい、十分に眠れるようになったら、その後の服用について主治医に相談するようにアドバイスします。
服薬指導のポイント
・BZ系睡眠薬は、効果がでるまでに数日~1週間かかる
・自己判断で急に服用を中止するのは非常に危険
・少し眠れるようになったからといって、自己判断で服用を中止すると以前に増して不眠に悩むことになる
・眠れるという自信をつけることが、薬から早く離れるコツ
・十分に眠れるようになったら、今後の服用について主治医に相談する。けっして勝手に服用を中止しない。
・副作用がみられたら、すぐに主治医に相談する
・服用後30分以内に床に入る
・アルコールとの併用は絶対に避ける
・常用量のBZ作動薬は、耐性や依存性が生じることが極めて少ない、安全な睡眠薬である
・医師の指導に基づく正しい減量を行えば、服用をやめることができる
・眠れなくても勝手に増量しない
・睡眠薬に対する不安や不満は、積極的に医師や薬剤師に相談することが大切
睡眠薬の止め方
ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、半減期の短いものほど反跳性不眠や退薬を生じやすいです。
そのため、超短時間作用型や短時間作用型など半減期の短い睡眠薬では、2~4週間ずつかけながら徐々に減量し中止に持っていく漸減法を用います。
どうしても睡眠薬がやめたらない場合には必要最小限の服薬を続けていきます。
半減期の長い睡眠薬は、急に服用を中止しても血中濃度が緩やかに下降するため、半減期の短い睡眠薬に比べると反跳性不眠や退薬症候は起こりにくく、起こったとしても程度は軽く済みます。
そのため、中間作用型や長時間作用型など半減期の長い睡眠薬では、服用しない日を設け、それを1日、2日、3日と2~4週間ずつかけながら徐々に増やして中止に持っていく隔日法を用います。
どうしても睡眠薬がやめられない場合には必要最小日数の服用を続けていきます。
半減期の短い睡眠薬で漸減法がうまくいかない場合には、いったん半減期の長い睡眠薬に置き換えた後から、漸減法あるいは隔日法を用いて減量・中止に持っていく置換法を用います。
睡眠薬を中止すると悪夢を見る?
睡眠薬を連用した後に急に止めるとレム睡眠が延長するという現象がみられることがあります。
このような場合には、レム睡眠の途中で目覚める早期覚醒や悪夢といった症状がみられる場合があります。
元来、夢というものには全く論理性がなく、さらに印象や潜在意識などによって強烈なイメージが形成される場合が多いため、それが悪夢として認識される場合が多く見られます。
ベルソムラは癖にならない
スボレキサントは、目が覚めているときの状態を維持するうえで重要な役割を果たしているオレキシンという神経伝達物質の働きを抑えて、眠りを促そうとするもので、新しい作用機序を有する薬である。
ベンゾジアゼピン受容体作動薬が抑制的に働く神経系を増強させることで眠気を誘うのに対して、スボレキサントは起きている状態を保とうとする神経系を抑えることで、眠気をもたらす。
スボレキサントは「依存性がない睡眠薬」として注目されるとともに、「不眠のタイプによらず催眠効果が期待できる」ともいわれている。しかし、世界に先駆けて日本で初めて発売された薬であるだけに使用経験が十分ではなく、長期連用した例が少ないのが実情である。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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