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バルビツール酸系とベンゾジアゼピン系の違いは?
公開. 更新. 投稿者:睡眠障害.この記事は約3分20秒で読めます.
9,547 ビュー. カテゴリ:バルビツール酸系とベンゾジアゼピン系
今や睡眠薬としてはバルビツール酸系はほとんど用いられない。
バルビツール酸系睡眠薬は危険な薬でさるという認識が強い。現在用いられる睡眠薬はベンゾジアゼピン系が主流で、さらに新しい作用機序の薬が多く用いられ始めている。
バルビツール酸系もベンゾジアゼピン系も作用機序においてはほぼ違いは無い。
ただ、バルビツール酸系が神経興奮性を低下させる機序としては、ベンゾジアゼピン系と同じように、GABA受容体に結合し、塩素イオンチャネルの開口回数を延長することによりGABAの薬理効果を増強することであると考えられているが、バルビツール酸系は高濃度になると、開口時間を延長するようになることがベンゾジアゼピン系とは異なり、このことが危険性の違いに反映されるといわれている。
バルビツール酸系睡眠薬
バルビツール酸系睡眠薬は中枢神経の働きを抑え、脳内の神経に抑制的に働く物質(GABA:ガンマーアミノ酪酸)の作用を増強し、脳の興奮を抑えることで不安や緊張をやわらげ、寝つきをよくし、夜間の睡眠を持続させる薬です。
バルビツール酸系薬は、鎮静薬、静脈麻酔薬、抗てんかん薬などとして中枢神経系抑制作用を持つ向精神薬の一群です。構造は、尿素と脂肪族ジカルボン酸とが結合した環状の化合物。それぞれの物質の薬理特性から適応用途が異なる。バルビツール酸系は1920年代から1950年代半ばまで、鎮静剤や睡眠薬として実質的に唯一の薬でした。
バルビツール酸系睡眠薬は優れた催眠作用を有するが、耐性や依存性を早期に形成し、大量服用により呼吸抑制をもたらし、致死的となる危険がある。
さらに薬の中断によってせん妄やけいれん発作などの激しい退薬症候を生じることから現在の使用は少なく、急性で短期間で改善が期待できそうな不眠に限って用いる。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬
・睡眠誘発作用以外に、抗不安作用、筋弛緩作用、抗痙攣作用などを有する。
・呼吸中枢のある脳幹には作用しないため、大量服薬時も生命を失う危険性は少ない。
・耐性や依存性は、生じにくい。
ベンゾジアゼピン受容体(ω1、ω2)と結びついて脳内の神経に抑制的に働く物質(GABA:ガンマーアミノ酪酸)の作用を増強し、興奮を抑えることで不安や緊張をやわらげ、寝つきをよくし、夜間の睡眠を持続させる薬です。
BZ系薬はそれぞれ化学構造は異なるが、いずれも大脳辺縁系を中心とする情動中枢を選択的に抑制し、覚醒中枢へ送られるインパルスを遮断する。
BZ受容体はGABAA受容体とともにGABAA‐BZ‐Clイオンチャネル複合体を形成しており、BZ受容体作動薬はBZ受容体に結合しGABA神経系の作用を増強し、細胞内へのCl⁻イオン流入を促進することで神経活動を抑制する。
GABAA受容体は5つのサブユニット(2つのα・βサブユニットと1つのγサブユニット)からなり、α、β、γにもそれぞれサブタイプが存在する。
BZ受容体には、ω1~ω3のサブタイプが存在し、中枢型(ω1、ω2)と末梢型(ω3)に分類される。
ω1受容体は小脳に多く分布し、主に鎮静・催眠作用に関与する。
ω2受容体は脊髄に多く分布し、筋弛緩作用・抗不安作用に関与している。
ω3受容体は腎臓などの末梢の組織に多く存在しているが、GABAA受容体との複合体には関与せず、末梢の組織や器官におけるBZ受容体作動薬の副作用などに関与しているものと考えられているが、詳細は不明である。
マイスリーやドラールはω1受容体への選択性が認められており、筋弛緩作用が弱く、ふらつきや転倒などのリスクが少ないものと考えられる。
また、反跳性不眠や退薬症候が出にくい。しかし、ω1受容体に選択性が高い薬剤は抗不安作用が弱いため、不安・焦燥感がある場合や他の精神的病態のある場合には、ω1、ω2両受容体に作用する睡眠薬のほうが効果を期待できる。
アモバンやルネスタは、ω2受容体よりω1受容体に対して比較的高い親和性を示すものの、明確な選択性は示されていない。
現在用いられている睡眠薬のほとんどが抗不安薬とともにベンゾジアゼピン系であり、安全性も高いといわれています。
大脳辺縁系と視床下部の活動を抑制することにより、不安や緊張を和らげて入眠しやすい状態を作り出します。
最高血中濃度到達時間や半減期の長短により使い分けられ、半減期の短い超短時間作用型から長時間作用型まで分類され、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、混合型などに使い分けられます。
バルビツール酸系睡眠薬に比べ依存性も少ない安全であるとされていますが、近年、常用量依存の問題や健忘が問題となっており、慎重な使用が求められています。
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