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抗うつ薬は癖になる?
公開. 更新. 投稿者:うつ病.この記事は約3分43秒で読めます.
2,808 ビュー. カテゴリ:抗うつ薬は癖になる?
薬が癖になる=依存という意味でいうと、抗うつ薬自体は依存性物質ではありませんし、作用するセロトニンやノルアドレナリンも依存性物質ではありません。
ですから薬理学的には依存はないと考えられます。
しかしながら、不用意に抗うつ薬が長期に投与された結果、脳内の恒常性が健康なときから変化して抗うつ薬がないといられない状態に変化したり、この薬がないとダメというような精神依存が形成されてしまう恐れは十分にあります。
しかし通常の治療で、例えば6ヶ月程度使用したケースで、依存が生じたり、抗うつ薬を止められなくなるというケースは少ないと思われます。
一生のみ続けなければならない?
患者さんが初発の方であるか、頻回に症状の再燃をきたしているかにもよりますが、一律に一生同じ量の薬を服用し続けなければならないわけではありません。
安定期にはかなり減量が可能である患者さんも多く見受けられます。
しかし、一度再燃してしまうと患者さんやその家族が受ける精神的、肉体的、社会的損失は計り知れないものになることもあるため、抗精神病薬による維持療法を続けることが望ましいことも事実です。
抗精神病薬で依存は生じない?
向精神薬のなかでもバルビツール酸系薬とベンゾジアゼピン系薬以外での依存は起こらないといわれています。
抗精神病薬や抗うつ薬には報酬系の作用がないことから、依存の形成はないと考えられています。
しかし、抗コリン作用の強い薬剤では抗コリン性の依存が生じる可能性はあります。
狭義には向精神薬ではありませんが、ピペリデンによる依存は多く報告されています。
ピペリデンの注射を要求する患者は多く、その背景には、気分高揚や多幸感などの向精神作用があると考えられています。
また、バルビツール酸系薬とベンゾジアゼピン系薬でも大量に長期にわたって乱用しなければ止められなくなる心配はありません。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、常用量の反復投与で精神依存は生じるが、身体依存は生じないといわれ、耐性や薬物間の交叉耐性は生じるといわれています。
しかし、ジアゼパムの常用量での身体依存が報告されて以来、ベンゾジアゼピン系薬剤は常用量で精神依存、身体依存が生じると考えられるようになっています。
依存形成後の離脱症状の初期症状としては、不安、恐怖感、不眠、めまい、頭痛などがあり、短時間作用型で断薬後2~3日、長時間作用型で7日以内に出現します。
漸減療法を行い、長時間作用型の薬剤では3~4日ごとに1日量を30~50%減量します。
また、短時間作用型の薬剤では、より慎重な減量を行い、場合によっては長時間作用型の薬剤に置き換えてから減量を行います。
不眠や幻覚・妄想などの精神症状がみられる場合には、レボメプロマジンのような鎮静催眠作用を有する抗精神病薬を使用することもあります。
抗精神病薬は止められない?
基本的に抗精神病薬に依存性や耐性はないと言われています。
抗うつ薬も同様です。
抗不安薬、睡眠薬として使用されるベンゾジアゼピン系薬剤には依存、耐性のそれぞれが存在しますが、医師の診察による処方のもとでその用量用法を守っていれば問題になることは少ないと考えられています。
抗精神病薬が寿命を縮める?
米国食品医薬品局は非定型抗精神病薬を適応外処方し、高齢者の行動障害に対して用いると死亡率が増加するという警告を発表しました。
非定型抗精神病薬とはジプレキサ、セロクエル、リスパダールなどです。
FDAによると、同クラスの4種の薬を対象に行った17のプラセボ対照試験について分析したところ、痴呆症の高齢者でこれらの薬を服用した群では、プラセボ群に比べ、死亡率が約1.6~1.7倍に上昇したらしい。
参考書籍:向製新薬の新世紀
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