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まれな副作用ってどのくらいの頻度?
公開. 更新. 投稿者:副作用/薬害.この記事は約4分59秒で読めます.
15,557 ビュー. カテゴリ:副作用の発現頻度
「稀に」と「時に」の違いは?
OTC薬の添付文書に、「まれに副作用が起こることがあります」「ときに副作用が起こることがあります」ということが記載されています。
医療用の添付文書では、「0.1%未満」、「1~5%未満」、「頻度不明」と、具体的に書かれている。
一般に使用説明書に記載されている副作用の割合は、「まれ」「ときに」「○○が起こることがあります」と3段階で示されています。
「まれ」「ときに」という言葉はあいまいなので、はっきりとした数字でなければ副作用の頻度はわからない。
「まれ」は0.1%未満、「ときに」は0.1~5%未満、「○○が起こることがあります」が頻度不明。
「医療用医薬品の使用上の注意記載要領について」(平成9年4月25日,薬発第607号薬務局長通知)において、「重大な副作用」の記載にあたって、発現頻度はできる限り具体的な数値を記載することとし,副詞によって頻度を現す場合には、「まれに(0.1%未満)」、「ときに(5%以下)」等、数値の目安を併記するよう努めることとなっている。
0.1%というと1000人に1人に起こる副作用である。比較的起こり得る副作用と判断する。
0.001%になると10万人に1人。宝くじが当たる確率であるので、「滅多にない副作用」と言えるかもしれない。
5%は偶然か必然か?
5%の確率というのは多いのでしょうか、少ないのでしょうか?
科学者はよく、「95%の確率で」と言います。
これは統計学の有意水準でよく5%が使われるからです。
有意水準とは、ある仮説を棄却するかしないかを決める基準の確率です。
偶然なのか、そうではないのか。
で、有意水準は1%とか5%とか10%とか、ケースバイケースで使われるわけで。
この数字にあまり深い根拠はありません。
感覚的に5%って結構多いような気もします。
でも「99%の確率で」と言われても、反論する人は反論するでしょうし。
10万人に1人は少ない?
10万人に1人、というと確率で言えば、0.001%。
10万人に1人が当たる、とか、10万人に1人の病気とか言われると少ない気がします。
しかし、言い換えて1億人に1000人と言うと、なんだか多い気がします。
男は2人に1人。女は2人に1人。
てんかんは100人に1人。
ダウン症は1000人に1人。
魚鱗癬は10万人に1人。
ギラン・バレー症候群は10万人に1人。
すべての薬は毒である
「すべての薬は毒である」
といいます。
これは、もともとスイスの医師であり錬金術師でもあるパラケルススの言葉です。
「すべての物質は毒である。毒でないものなどない。まさに用量こそが毒と薬を区別するものだ」といいました。
まさしくそうですね。
医師は治療のために薬を処方しますが、薬剤師は毒が処方されているかも知れないという目で処方を見なければなりません。
薬の副作用は製薬会社の責任?
例えば、眠気の出るアレルギーの薬が処方されて、車を運転して事故を起こした場合、薬の副作用が原因としてメーカーを訴えることができるでしょうか?
医者や薬剤師の説明不足として、責任を問われるのでしょうか?
お酒は道路交通法で禁止されていますが、風邪薬や抗アレルギー薬を飲んでも運転してはいけないと法律に明記されているわけではありません。
普通の寝不足と同じように、眠気を感じたら路肩に車を止めて休む、という基本的な行動を取らなかった患者さんの自己責任ということになるでしょう。
しかし今後は、訴訟が増えてくると薬剤師の説明責任が厳しく追求されてくるかも知れません。
副作用の発現率は何%?
添付文書には医薬品の副作用発現率が○○%と明記されている。
しかし、これは「この医薬品により○○%の人が副作用を発現する」という意味ではない。
この数字にどのような意味があるのかをよく理解しておかなければ大きな誤解の基となる。
添付文書の副作用情報の基となるデータは、承認時までの治験および市販後の使用成績調査において収集されたものである。
しかし、ここで言う「副作用」は薬物投与後に起こったすべての有害事象であって、医薬品と関係のない被験者自身の体調変化や疾患自体による影響、疾患の増悪などがすべて含まれている。
真の「医薬品の副作用」の頻度は、プラセボとの二重盲検比較試験におけるデータを比較するとある程度推定できるが、それぞれの副作用項目になると、症例数が少なくはっきりしたことは言えない。
新薬の副作用情報では、承認時までの治験データをまとめたものが用いられる。
治験ではいくつかの用量が用いられているが、通常、薬物投与例としてまとめて示されることが多い。
治験と市販後の使用成績調査では副作用の検出率が大きく異なる。
治験では治験薬の副作用に対して患者も医師も非常に敏感であり、少しでも症状があればすべて副作用としてとりあげられる傾向があるので、一般に副作用発現率が高い。
これに対して、市販後の調査では副作用に対してある程度気にするにしても、治験時と比較するとその程度ははるかに低い。
従って、治験に比べて市販後の使用成績調査の副作用発現率は一般にかなり低くなる。
現在の添付文書には、承認時までのデータと市販後のデータが別々に記載されることが多いが、以前はまとめて示されていたため、新薬ほど副作用頻度が高く示されるといったことになっていた。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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