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シロップ剤の賦形は水道水で良い?
公開. 更新. 投稿者:調剤/調剤過誤.この記事は約2分37秒で読めます.
3,699 ビュー. カテゴリ:シロップ剤の調剤
シロップ剤を賦形するとき何を使う?
薬剤師の皆さん、シロップ剤の賦形はどのようにしているでしょうか?ルールはあるのでしょうか?
私は無知であるため、昔、小児科の門前に勤めていた際には精製水で賦形していました。精製水には防腐剤、保存剤が含まれていないため、雑菌に汚染されやすいので賦形には不適です。
水剤の賦形に用いる水は、塩素が含まれる水道水か、防腐剤が含まれ浸透圧も高い単シロップが良いと言われます。
ただ、これは「適しているか否か」という問題であり、精製水であっても新鮮なものであれば問題ない。賦形剤に用いた水が原因による健康被害は聞いたことが無く、もともとのシロップ剤に防腐剤が含まれているため数ミリリットル希釈に用いたとしても無視できる量であるともいえる。
「第十四改訂 調剤指針」を確認すると、
通常、シロップ剤やエリキシル剤には賦形剤として単シロップを、ハロペリドール液0.2%やシアナミド液1%などの水剤には常水または精製水を用いる。従来、シロップ剤を常水または精製水で賦形や希釈すると、浸透圧が低くなり細菌が繁殖するおそれがあるため単シロップで賦形していたが、最近ではシロップ剤の多くに保存剤が含まれているため、常水または精製水での賦形が望ましい場合もある。常水または精製水で賦形する場合は添付文書の【組成】の項の添加物を確認してから調整する。
と記載されている。単シロップ、常水、精製水が候補。
「改訂14版 調剤学総論」には、
内用液剤の調製には新鮮な精製水又は常水を用いる。常水とは局方の規定に適合する水道水又は井水を指す。
と記載されている。精製水、常水が候補。
常水とは、日本薬局方で「水道法第4条に基づく水質基準に適合するもの」と定義されており、水道水は全て常水である。
なので、水道水で賦形しておけば、塩素も入ってるし精製水より安心ではある。単シロップでもいいけど、開封後1年以上経った単シロップと新鮮な水道水はどっちが良いかと聞かれると水道水かな、と思われる。
ただし、災害などで水道が使えなくなる状態も考えられるので、未開封の単シロップや精製水は冷蔵庫に常備しておくことが望ましい。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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