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開封後の吸入剤の使用期限
公開. 更新. 投稿者:喘息/COPD/喫煙.この記事は約2分49秒で読めます.
19,199 ビュー. カテゴリ:吸入剤の使用期限
患者によっては、何か月も前の吸入剤の残薬を持っているケースもみられる。
気管支喘息やCOPDに用いられるドライパウダー定量吸入器(DPI)は、ドライパウダーが空気に曝露されると湿度などの影響を受けやすくなるため、各デバイスごとに対策が施されている。加えて、出荷時にはアルミ包装などによる密閉包装が施されているものが少なくない。
一般に、添付文書の「貯法・使用期限等」の欄には、製剤が包装された状態での貯法と使用期限が記載されている。また、製剤によっては、開封後の安定性試験のデータなどを基に、患者向け指導箋や添付文書、インタビューフォームなどに開封後の使用期間の目安を明記しているものもある。
レルベアエリプタでは、インタビューフォームに、包装トレイ開封後の使用期限として「6週間以内」と記載されている。そのため、デバイス本体には使用期限の表記が無い。
アドエアディスカスでは、インタビューフォームに「アルミ包装開封後は使用期限(2年)内に使用」と記載されている。
一方で、メプチンスイングヘラーやアズマネックスツイストヘラーのように、安定性試験のデータの記載はあるものの、開封後の使用期限について明記されていない製品や、シムビコートタービュヘイラーのように、出荷包装時点でアルミ包装が施されていない製剤もある。
また、添付文書やインタビューフォームに記載がなくても、製薬会社の情報センターなどで情報提供を行っている製剤もある。
吸湿による影響
吸入薬、特に、吸入ステロイド(ICS:inhaled corticosteroid)は、薬剤によって粒子径が大きく異なる。
一般に、粒子径が大きいほど中枢気道に沈着しやすく、逆に、粒子径が小さいほど末梢気道に到達しやすい。実臨床では吸入デバイスの違いに加えて、ICSの粒子径を考慮した薬剤選択が行われる場合がある。
そうした背景から、開封後に長期間放置するなどして、吸湿により粒子の膨潤や凝集性の変化などが起こると、十分な薬剤がターゲット部位に到達せず、期待された治療効果が得られない可能性が考えられる。
製品により、開封後に使用できる期間の目安に長短はあるが、湿度は治療効果の低下を招く要因となり得るため、
①アルミ包装開封後は、キャップをしっかりと閉める。
②高温多湿を避けて保管する。
③使用期間の目安を過ぎたものは、使用せず廃棄する。
④1回の診察で、複数個の吸入薬が処方された場合には、1つを使い終わってから次の薬剤を開封する
などの注意を促す必要がある。
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