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睡眠薬の一覧表と分類
公開. 投稿者:睡眠障害. タグ:薬の勉強. この記事は約4分48秒で読めます.
2,308 ビュー. カテゴリ:分類 | 分類 | 商品名 | 一般名 |
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ベンゾジアゼピン系 | 超短時間作用型(2~4時間) | ハルシオン | トリアゾラム |
短時間作用型(6~10時間) | デパス | エチゾラム | |
リスミー | リルマザホン塩酸塩水和物 | ||
レンドルミン | ブロチゾラム | ||
ロラメット/エバミール | ロルメタゼパム | ||
中時間作用型(12~24時間) | ユーロジン | エスタゾラム | |
サイレース/ロヒプノール | フルニトラゼパム | ||
ネルボン/ベンザリン | ニトラゼパム | ||
長時間作用型(24時間以上) | ドラール | クアゼパム | |
ダルメート/ベノジール | フルラゼパム塩酸塩 | ||
ソメリン | ハロキサゾラム | ||
バルビツール酸系 | 短時間作用型(6~10時間) | ラボナ | ペントバルビタールカルシウム |
中時間作用型(12~24時間) | イソミタール | ||
長時間作用型(24時間以上) | フェノバール | フェノバルビタール | |
非ベンゾジアゼピン系 | 超短時間作用型(2~4時間) | マイスリー | ゾルピデム酒石酸塩 |
アモバン | ゾピクロン | ||
ルネスタ | エスゾピクロン | ||
有機ブロム系 | ブロバリン | ブロモバレリル尿素 | |
クロラール系 | エスクレ坐剤 | 抱水クロラール | |
トリクロリール | トリクロホスナトリウム | ||
メラトニン受容体作動薬 | ロゼレム | ラメルテオン | |
オレキシン受容体拮抗薬 | 中時間作用型(12~24時間) | ベルソムラ | スポレキサント |
睡眠薬は「眠りやすくする薬」

服薬指導時に聞かれる質問としては、「この薬はどういう薬ですか?」「他の薬との違いは何ですか?」といったものが多い。わかりやすく説明するためにシミュレーションしておくことが大事だ。
「睡眠薬ってどういう薬ですか?」と聞かれたら何と答えるだろうか。
私は、睡眠薬の薬の説明では「眠りやすくする薬です」と言うことが多い。いや、「睡眠薬です」と言うことのほうが多いか。薬の効果を説明しなくても大体伝わる。
「眠りにつきやすくする薬」という言い回しもあるが、それだと入眠障害には効くが熟眠障害、中途覚醒、早朝覚醒に対するニュアンスとしては違うような気がする。それらに対して処方されている場合は、「眠りを深くする薬」と言った方がよかろうか。
しかし、実際には超短時間作用型か短時間作用型の睡眠薬が処方されることが多く、「眠りにつきやすくする薬」という説明でほぼ違和感はない。
睡眠薬一覧

睡眠薬として処方される薬は主としてベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系の薬が多い。バルビツール酸系薬は安全性が低いので、あまり使われていないが、難治性の睡眠障害に使われる。
最近はオレキシン受容体拮抗薬のベルソムラ、デエビゴの処方も増えてきた。

睡眠薬を大きく分類すれば、「睡眠を促す薬」と「覚醒を抑える薬」に分けられる。とは言っても、覚醒を抑える薬はオレキシン受容体拮抗薬のみであるが。

また、ベンゾジアゼピン系やバルビツール酸系などの直接的に脳に働く薬に対し、メラトニン受容体作動薬やオレキシン受容体拮抗薬はホルモンに作用し間接的に脳を睡眠状態に持っていくので、自然な眠りを誘う薬であり、依存性などのリスクが少ない。
メラトニン受容体作動薬は「眠くなるホルモンと同じような働きをする薬」、オレキシン受容体拮抗薬は「目が覚めるホルモンの働きを抑える薬」と説明できる。
睡眠障害のタイプ別分類
睡眠薬の使い分けでは、睡眠障害のタイプ(入眠障害、熟眠障害、中途覚醒、早朝覚醒)に応じて、その作用時間で選択される。

しかし初めから長時間型の睡眠薬が使われることは少なく、まず超短時間型を使ってみて、患者の状態に合わせて短時間、中時間を選択していくような使い方が多く見られる。
GABA受容体作動薬

あまりGABA受容体作動薬という分類でまとめられることはないが、ベンゾジアゼピン系薬も、バルビツール酸系薬も、非ベンゾジアゼピン系薬もGABA受容体に働くので同じようなメカニズムである。
非ベンゾジアゼピン系というネーミングは違和感があるが、ベンゾジアゼピン骨格を持たないけど、ベンゾジアゼピン受容体に働く薬の一群である。
GABA受容体には、GABAA受容体とGABAB受容体があるが、睡眠薬が作用するのはGABAA受容体である。GABAB受容体についてはよくわかっていないが、GABAの誘導体であるギャバロン(バクロフェン)がGABAB受容体に働くという。
GABAA受容体は、GABAに占有されるとCl−チャネルを開口し、塩素イオンの透過性を高めることで、塩素イオンが神経細胞内に流入し、膜電位が低下して活動電位の発生を抑制する。
ベンゾジアゼピン系薬はGABAA受容体のベンゾジアゼピン結合部位、バルビツール酸系薬はGABAA受容体のバルビツール酸結合部位にくっつき働く。

ベンゾジアゼピン受容体には、ω1受容体とω2受容体というサブタイプがあり、ベンゾジアゼピン系薬はω1にもω2にも働き、非ベンゾジアゼピン系はω1のみに働く。
ω2受容体には抗不安作用があり、不安で眠れないという患者には良いのかも知れないが、筋弛緩作用もあり、高齢者で特に注意すべき「夜間トイレに起きてふらついて階段から落ちて骨折」というリスクが高くなるので、ω2受容体に働かない非ベンゾジアゼピン系薬が高齢者によく使われる。
このベンゾジアゼピン系薬による筋弛緩作用の影響による転倒骨折を避けるために、他の系統の睡眠薬も最近は選択される。
メラトニン受容体作動薬
海外旅行に行くときに、時差ぼけの予防でメラトニンのサプリメントを使うこともある。メラトニンは体内時計を調整するホルモンである。
なのでメラトニン受容体作動薬は「体内時計を調整する薬」である。

メラトニン受容体にはMT1受容体とMT2受容体があり、MT1受容体は体温や血圧を下げることで入眠を促す働きがあり、MT2受容体は体内時計を調整する働きがある。ラメルテオン(ロゼレム)はメラトニンよりも高い親和性でどちらの受容体にも結合する。
他の睡眠薬と比較したデメリットとしては、速効性が無いということである。眠れない時だけ飲むというタイプの薬ではない。
オレキシン受容体拮抗薬
睡眠のホルモンがメラトニンなら、覚醒のホルモンはオレキシンである。
ちなみに、この覚醒ホルモン=オレキシンを作り出す神経細胞が働かなくなるとナルコレプシー(過眠症)になる。

オレキシン受容体には、OX₁とOX₂があり、OX₂のほうがより睡眠覚醒に強く関わっている。スポレキサント(ベルソムラ)とレンボキサント(デエビゴ)を比べるとレンボキサントのほうがOX₂に親和性が高いので効果が高いと言われる。

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

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