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アポハイドローションとエクロックゲルの違い
公開. 更新. 投稿者:皮膚外用薬/皮膚病.この記事は約3分35秒で読めます.
7,720 ビュー. カテゴリ:多汗症と塗り薬
アポハイドローションとエクロックゲルはどっちがいい?
多汗症に使われる塗り薬として、エクロックゲル(ソフピロニウム臭化物)、ラピフォートワイプ(グリコピロニウムトシル酸塩水和物)がある。
これらに加え、2023年3月にアポハイドローションというオキシブチニン塩酸塩を成分とした外用薬が承認された。
オキシブチニンといえば、頻尿治療薬のポラキス、ネオキシテープと同じ成分である。
多汗症といっても、エクロックゲルやラピフォートワイプの適応は「原発性腋窩多汗症」であり、ワキ汗が適応なのに対して、アポハイドローションの適応は「原発性手掌多汗症」つまり手汗が適応になっている。
汗を止めたい場所に塗ればどの薬でもそれなりに効果はありそうだが、保険適応上は使用部位の縛りがある。
また、エクロックゲルやラピフォートワイプが手についた場合、直ちに洗い流すように注意がされている。その理由は、抗コリン薬が付着した手で眼に触ると眼圧が上昇する恐れがあるためである。
ラピフォートワイプの添付文書には以下のような注意書きが記載されている。
本剤を扱った後は、その手で眼に触れず、直ちに手をよく洗うこと。
本剤の薬液が眼に入った場合、羞明、霧視等の眼の調節障害があらわれることがある。また、刺激を感じることがあるので、眼に入らないよう注意すること。万一、眼に入った場合は、直ちに水で洗い流すこと。
エクロックゲルの添付文書には以下のように記載されている。
本剤が眼に入った場合、抗コリン作用による散瞳等が発現することがある。また、刺激を感じることがあるので、万一、眼に入った場合は、直ちに水で洗い流すこと。
ボトルに充填された本剤を、ポンプで塗布具(アプリケーター)に吐出させ、塗布具を使用して腋窩に塗布すること。手に直接吐出させて塗布しないこと。手に付着した場合は直ちに手を洗うこと。
では、手に塗布するアポハイドローションではどのような注意がされているのだろうか?
本剤を就寝前に塗布した後は、本剤が意図せず洗い流されないよう、手の濡れる行為は避けること。
起床後、手を洗うまでの間は、塗布部位以外(眼等)に触れないようにすること。万一、塗布時に眼に入った場合は、直ちに水で洗い流すこと。
本剤塗布後に気密性の高い手袋等で手掌を覆って密封しないこと。
手に使うので当たり前だが「手の濡れる行為は避けること」とあるので、塗布後に手を洗ってはいけない。
寝る前使用の理由としてインタビューフォームには、「本剤の用法は、本剤塗布から手を洗うまでの行動制限を可能な限り少なくするため、日中の塗布を避け、1 日 1 回就寝前の塗布とした。」と書かれている。
しかし無意識に眼を触ってしまうリスクは、寝ている間のほうがある。花粉症などで目のかゆみを訴える患者ならなおさらだろう。
手のひらに塗って、指先にはあまり塗らないようにしたほうがいいのかな。
このような汗を止める外用薬の場合、汗を止めたい時だけ使えば良いと思うのだが、メーカーとしては「毎日の使用で徐々に効果が感じられる」という、速効性と持続性の両面を主張している。
アポハイドローションの使用量
アポハイドローションの用量は、「1回の塗布量は、両手掌に対しポンプ5押し分を目安とすること。」と記載されている。
ポンプ5押し分は500μLらしいので、0.5mL 。
アポハイドローション1本が4.5mLなので、1本9日分になる。何たる中途半端。
新薬は14日分制限があるが、1本までしか処方できないのだろうか?2本までOKなのだろうか?
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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2 件のコメント
いつも大変勉強になっております。
アポハイドローションですが、メーカーに確認したところ1本が7日分としており、2本までは処方が可能との事です。また、薬価がg単位なので1本は4.32gのようです。ご参考まで。
コメントありがとうございます。
薬価がg単位って初めて知りました。ありがとうございます。