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CGRPが片頭痛の原因?
公開. 更新. 投稿者: 3,714 ビュー. カテゴリ:頭痛/片頭痛.この記事は約2分3秒で読めます.
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)

片頭痛の原因は何?
片頭痛の原因として、「三叉神経血管説」という仮説があります。
片頭痛が始まる時、三叉神経から、CGRP(calcitonin gene-related peptide:カルシトニン遺伝子関連ペプチド)が脳の表面の膜(硬膜)に向かって放出されます。CGRPを受け取った膜は、炎症と血管拡張をおこし、その結果、脳が、痛み、嘔気、眠気を感じるとされています。
そのため、CGRPは片頭痛の痛みの原因とされているタンパク質なのです。
片頭痛治療に現在よく使用されているトリプタン製剤の作用機序は、三叉神経終末のセロトニン5HT1D受容体を刺激することでCGRPの分泌を抑制します。
その他の片頭痛治療薬としては、Ca拮抗薬、β遮断薬のような血管拡張の部分に作用する薬や、抗うつ薬や抗てんかん薬のような痛みを生じる神経の部分で働く薬がある。
CGRP受容体拮抗薬
2025年9月に経口のCGRP受容体拮抗薬ナルティークOD錠75㎎(一般名:リメゲパント硫酸塩水和物)が製造販売承認された。
片頭痛の治療薬といえば頭痛発現時に服用するトリプタン系薬が主ですが、このナルティークの適応症は「片頭痛発作の急性期治療及び発症抑制」となっており、予防的に服用することもできる。
用法は以下のようになっている。
〈片頭痛発作の急性期治療〉
通常、成人にはリメゲパントとして1回75mgを片頭痛発作時に経口投与する。
〈片頭痛発作の発症抑制〉
通常、成人にはリメゲパントとして75mgを隔日経口投与する。
1日おきに予防的にナルティークを服用して、発作時には追加でナルティークを服用することは可能なのか?
添付文書には「1日あたりの総投与量はリメゲパントとして75mgを超えないこと。」と記載されているので、隔日の服用日には追加服用はできなくて、服用日ではない日には追加服用できるという、少しわかりづらい状況にはなる。
となると、予防的に服用する場合にはトリプタン系薬と併用する形で処方されることも多くなるだろう。ナルティークには併用禁忌の記載もないので、発作時に使用する形でも併用されるかな。
抗CGRP抗体と抗CGRP受容体抗体の違い
| 医薬品名 | 一般名 | 分類 |
|---|---|---|
| エムガルティ | ガルカネズマブ | 抗CGRPモノクローナル抗体 |
| アジョビ | フレマネズマブ | 抗CGRPモノクローナル抗体 |
| アイモビーグ | エレヌマブ | 抗CGRP受容体モノクローナル抗体 |
エムガルティとアジョビは抗CGRP抗体、アイモビーグは抗CGRP受容体抗体である。何が違うのか。
エムガルティやアジョビはCGRPに選択的に結合し、CGRPの生理活性を阻害する抗CGRPモノクローナル抗体である。それに対して、アイモビーグはCGRP受容体を特異的に阻害することでCGRP受容体シグナルの伝達を阻害する、抗CGRP受容体モノクローナル抗体である。
どちらも結果的にCGRPの作用を阻害するので、大きな違いはない。



