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頭痛と片頭痛の違い
公開. 更新. 投稿者:頭痛/片頭痛.この記事は約8分52秒で読めます.
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片頭痛と普通の頭痛の違いは?
「私、片頭痛なんです」という女性は多い。妻も言っている。
しかし、医師から「あなたは片頭痛です」と言われたわけでもなく、自己判断で「重い頭痛だから、片頭痛だろう」と言っているに過ぎない。
「片頭痛じゃなければ、何なんだ?」と言われても、頭痛の割合で一番多いのが緊張型頭痛の22%、次に片頭痛の8%、群発頭痛は0.01%、ということで、緊張型頭痛の可能性も高い。
緊張型頭痛
一次性頭痛で最も患者数が多いとされるのが、緊張型頭痛です。
頭を締め付けられるような痛み、体を動かしても頭痛がひどくならない、痛みの周期や頻度が一定でない、といった特徴がある。
緊張型頭痛が起こる仕組みは、不明な点が多いですが、肩から首にかけての筋肉が過度に緊張して血流が低下すると、その部位を中心に、発痛物質のブラジキニンや、その感受性を高めるプロスタグランジン(PG)が産生される。それらが血液を介して、知覚神経を刺激することで頭痛発作が起きる。
緊張型頭痛は、首や肩の筋肉が緊張することで起こります。
筋肉内の血行が悪くなると乳酸やピルビン酸などの痛みの物質が遊離し、これが神経を刺激して頭痛が生じます。
さらに、その痛みが筋収縮を引き起こすという悪循環を形成します。
また、精神的なストレスで神経の緊張が続くと、筋肉が緊張していなくても頭痛が生じることもあります。
群発頭痛
群発頭痛のメカニズムは、あまりよく分かっていませんが、片頭痛と同じように血管の過度の拡張や炎症が原因と考えられています。
つまり、目の奥にある内頚・外頚動脈という太い血管に過度の拡張あるいは炎症が生じ、自律神経、特に副交感神経が刺激されて痛みが発生するという考え方が有力です。
片頭痛
片頭痛の多くは、血管が拡張することにより引き起こされます。
まず何らかの刺激によりセロトニンが放出され、これが脳の血管にあるセロトニン受容体(5-HT1b/1d受容体)に作用することで、一度血管が収縮します。
その後、収縮による血流低下を防ぐために反射的な拡張が起こると、その部分で炎症反応が生じ、血管の周囲に巻き付いている三叉神経が刺激を受けることになります。
三叉神経は頭部で痛み情報を伝える役目をもっていますので、これがきっかけで痛みとして感じるようになるのです。
片頭痛の機序を説明する考え方には、大きく3つありますが、現在最も広く受け入れられている仮説は三叉神経血管説です。
この説は片頭痛の治療薬であるスマトリプタンの薬理研究に裏付けられた理論で、脳の血管に過度の拡張と神経原性炎症が惹起されて頭痛が生じると考えられています。
片頭痛は、片側あるいは両方のこめかみから目のあたりにかけて、脈を打つように「ズキンズキン」と痛むのが特徴です。ひとたび痛み出したら、4~72時間続きます。
片頭痛とは、頭痛の一種で、偏頭痛とも表記する。
頭の片側のみに発作的に発生し、脈打つような痛みや嘔吐などの症状を伴うのが特徴である。
軽度から激しい頭痛、体の知覚の変化、吐き気といった症状によって特徴付けられる神経学的症候群である。
生理学的には、片頭痛は男性よりも低血圧の女性に多い神経学的疾患である。
典型的な片頭痛の症状は片側性(頭の半分に影響を及ぼす)で、拍動を伴って4時間から72時間持続する。
症状には吐き気、嘔吐、羞明(光に過敏になる)、音声恐怖(音に過敏になる)などがある。
およそ3分の1の人は「前兆」と呼ばれる、異常な視覚的、嗅覚的、あるいはその他の感覚の(片頭痛が間もなく始まることを示す)経験をするとされる。
初期治療としては、頭痛にNSAID鎮痛剤や、血管収縮剤であるエルゴタミン・トリプタンなどの服用、吐き気に制吐剤の服用、そしてさらなる発症の抑制がある。
片頭痛の原因は未解明であるが、セロトニン作動性制御システムの障害であるという説が一般的である。
片頭痛には変異型があり、脳幹に由来するもの(カルシウムやカリウムイオンの細胞間輸送の機能不全が特徴的である)や、遺伝的性質のものなどがある。
双子に関する研究で、片頭痛を発症する傾向への遺伝的影響が、60〜65パーセントの確率であることが分かった。
さらに変動するホルモンレベルも、片頭痛と関係がある。思春期前には男女ほとんど同じ数だけ片頭痛を発症するのに対し、成人患者では実に75パーセントが女性なのである。
片頭痛は妊娠中にはあまり発症しなくなると知られているが、中には妊娠中の方が頻繁に発症するという人もいる。
三叉神経血管説
脳底部の主幹動脈から大脳皮質表面の動脈および硬膜の血管には三叉神経の枝が分布し、頭蓋内の痛みを中枢に伝える働きをしています。
そこで、三叉神経が何らかの刺激を受けると、軸索反射で血管を支配する三叉神経に刺激が伝わり、その結果、神経終末から神経ペプチドが放出され、血管拡張、血管透過性の亢進、血漿蛋白の流出などの神経原性炎症が惹起され片頭痛が生じます。
この説では、片側だけに頭痛が起こることが説明できます。
また、CSD(皮質拡延性抑制)を誘発すると三叉神経血管系が活性化することが動物実験で明らかになっているため、同様の現象が片頭痛発作においてもみられ、それが前兆の後に片頭痛が起こる原因の1つではないかと推測されています。
現在最も広く受け入れられている仮説は、この三叉神経血管説で、片頭痛発作の治療薬であるスマトリプタンの薬理研究に裏付けられた理論です。
すなわち、三叉神経と頭蓋内血管、特に硬膜血管周囲の三叉神経終末に神経原性炎症により血管内では血小板が刺激され、既に記したセロトニンの放出反応が起こると考えられています。
頭痛発作の機序はいまだに確定していませんが、「三叉神経血管説」が広く受け入れられています。
①何らかの刺激が頭蓋内血管の周囲に分布する三叉神経に作用する
②三叉神経終末から血管作動性神経ペプチド(サブスタンスP、CGRPなど)が放出される。CGRP:calctitonin gene-related(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)
③血管拡張、血管透過性の亢進、血漿蛋白の漏出、および血管周囲の肥満細胞からの脱顆粒などにより、神経原性炎症が引き起こされる。
④神経原性炎症による三叉神経終末の刺激が、順行性に伝導して三叉神経核に至り、嘔気・嘔吐、自律神経の活性化を生じる
⑤視床を経由して大脳皮質に至り、頭痛として感受される
⑥三叉神経終末の刺激は、逆行性にも伝導して、血管作動性神経ペプチドの放出を促進し、さらに神経原性炎症を助長して、頭痛が増強する。
片頭痛は脳血管内の血小板からセロトニンが異常に放出され、脳の血管が収縮し、その後セロトニンが欠乏すると血管が拡張して、それを取り囲んでいる三叉神経を刺激して神経炎症物質が放出されて起きるものです。
血管説
ストレスをきっかけとして、血小板から大量のセロトニンが遊離すると強い血管収縮が生じます。
この時に、後頭葉で血流低下が起こり、反対側の視野に閃輝暗転(前兆)が生じます。
その後、セロトニンが代謝されると、収縮していた血管が拡張しますが、その後にリバウンドとして強い血管拡張を生じ、血管の周囲に炎症が起こります。
以上が、血管説による片頭痛の機序です。
この説の弱点は、片頭痛の特徴である片側だけが痛むことを説明できないことです。
また、徐々に閃輝暗転が拡がり、消えて行くことの説明も難しいといわれています。
神経説
血管説の弱点である「徐々に閃輝暗転が拡がり、消えて行く」ことを説明したのが神経説です。
すなわち、片頭痛の前兆にはCSDという現象が関与しているという考え方です。
CSDとは「皮質拡延性抑制」と訳せる現象で、脳の局所に存在する神経細胞に起こる脱分極のことです。
1回の脱分極は30~60秒ぐらいで、その後15~30分間、神経細胞は電気的活動が抑制されます。
このCSDは約2~3mm/分の速さで周囲に伝播すると共に、CSDに伴って脳血流は一過性に上昇し、その後数時間かけて血流低下を示します。
この現象は、片頭痛の前兆が徐々に拡がって消えていくメカニズムを説明できるのです。
実際、MR検査で同様のことが起こっていることが明らかになっています。
つまり、閃輝暗転が始まると共に、まず血管拡張が生じ、続いて血流低下が起こり、その変化はゆっくり消えていくことが観察されたのです。
つまり、前兆が徐々に拡がって消えていくメカニズムが、この神経説で説明できるのです。
頭痛
頭痛は頭部の一部あるいは全体の痛みの総称で、後頭部と頚部の境界、眼の奥の痛みも頭痛として扱う。
頭痛は、熱や腹痛と同様に症状名であるが、ほかに原因となる疾患がないのに慢性的に頭痛発作をくり返すものは疾病であり、一次性頭痛(頭痛症)とする。
片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛が代表的である。
片頭痛の重要な特徴は頭痛により日常生活に支障が起こること、悪心(吐き気)・嘔吐や、音過敏、光過敏、臭過敏を伴うことである。
片頭痛の治療はトリプタン製剤の登場により一変している。
緊張型頭痛は締め付けるような頭痛で、生活の支障が比較的少ない。
群発頭痛は眼周囲から前頭部、側頭部にかけての激しい頭痛が数週〜数ヶ月の期間群発することが特徴である。
睡眠中に頭痛発作が起こりやすく、発作中は眼充血や流涙、縮瞳、眼瞼下垂など、顔面自律神経症状を伴う。
一次性頭痛は治療が可能で、また、治療が必要な疾患であるが、わが国ではまだ十分認知されていない。
一般人口の約40%がなんらかの頭痛を経験しており、8.4%が片頭痛に罹患している。
片頭痛は女性に多く、30〜40歳代の女性の有病率は約20%に上る。
群発頭痛患者が、正しく診断を受けるまでに10年以上要するといわれている。
群発頭痛は20〜30歳代に多く約85%は男性とされてきたが、最近の疫学調査では男女差が縮小してきて女性の群発頭痛が増えている。
頭痛薬の作用機序
この過程に沿うと、薬物治療のターゲットが二つあります。
一つは、血管の拡張段階。
もう一つは、そのことで三叉神経がさらに活性化する段階です。
血管の拡張に対しては、古くから片頭痛の治療に用いられてきた麦角アルカロイド類が効果的です。
これは、小麦などの植物がかかる病気の原因菌がつくる毒素なのですが、動物の血管収縮作用をもっています。
さらに、これらの薬は血管にあるアドレナリンα受容体を刺激して血管を収縮させる効果ももっています。
しかし、大量に飲み続けると血管が過剰に収縮してしまい、そのことで頭痛を引き起こすことがあります。
加えて、心筋梗塞や血圧低下などの循環器系障害、妊娠している女性では子宮が収縮して陣痛を引き起こす恐れもあるので要注意です。
もう一つ、片頭痛の救世主として最近注目されているのはトリプタン類です。
トリプタンはセロトニンと構造がよく似ており、セロトニン受容体に選択的に作用することで片頭痛の発作が起きたときに拡張した血管を収縮させます。
さらに三叉神経にあるセロトニン受容体にも作用して、痛み情報を伝わりにくくさせる効果ももっています。
このようなメカニズムから、トリプタン類は片頭痛の発作が起きた後に使用しても充分に効果を発揮できるのです。
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