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広告付き薬袋はダメか?
公開. 更新. 投稿者:調剤/調剤過誤.この記事は約3分2秒で読めます.
3,303 ビュー. カテゴリ:広告付き薬袋
Q.薬袋について質問があります。
薬袋の裏面に広告が入ったものがあると聞きましたが、そのような薬袋は法的に認められているのでしょうか。
A.薬剤師法や健康保険法などの関係法規では明確に禁止されているわけではありませんが、少なくとも健康保険に係る調剤(保険調剤)においては広告付きの薬袋は使用するべきではないと考えます。
薬袋への記載事項(調剤された薬剤の表示)については、薬剤師法第25条および薬剤師法施行規則第14条において、患者の氏名、用法、用量、調剤年月日、調剤した薬剤師の氏名、調剤した薬局の名称・所在地などを明記することが義務づけられています。
そのため、1つの考え方として、薬剤師法で具体的に規定されている事項以外は記載するべきでないという意見もありますが、現時点においては、必ずしも明確にそれが禁じられているというわけではありません。
しかし、調剤報酬点数表においては、報酬業務に必要な費用はすべてその中に含まれているものと解釈されています。
薬袋に係るコストはいくらというように個別の積算が行われているわけではありませんが、当然ながら薬袋についても必要なコストとして点数に含まれているものと解釈されています。
したがって、保険薬局としては、保険調剤に係る薬袋分のコストもきちんと費用請求していることになります。
広告付きの薬袋については、法的な側面だけでその是非を判断できる問題ではありません。
広告付きとは、その広告主であるスポンサーがある程度の費用を負担するものであることから、保険薬局にとっては無償あるいは通常よりも安価で購入できるという経営面でのメリットがあるかもしれません。
しかし、現在の健康保険のシステムとしては、もう一方で患者からその分の費用を徴収していることになりますので、ある意味では保険薬局が二重に費用徴収していることと似たような状況になってしまいます。
また、その分の差を患者に還元するということもできません。
したがって、少なくとも保険調剤においては広告付きの薬袋は使用すべきではないと判断します。
安価じゃなければいいのか
Q.広告つきの薬袋は好ましくないとの説明がありましたが、それは調剤報酬の中にすでに薬袋の費用が含まれているということだけが理由なのでしょうか。
それとも、広告という行為自体が健康保険としては好ましくないということなのでしょうか。
もし薬袋の金額(無料もしくは通常より安価であること)が問題ということであれば、通常の広告なしの薬袋と同じ金額であればかまわないということでしょうか。
A.薬袋に係るコストが無料もしくは通常よりも安価であるという費用面としての問題はもちろんですが、健康保険の趣旨などあらゆる観点から判断して、保険調剤において広告付きの薬袋を使用するという行為自体が好ましいものではないと考えます。
保険調剤において広告付きの薬袋を使用することについては、薬袋に係るコストというものがすでに調剤報酬点数に含まれているということが一番大きな問題点であると考えられます。
広告付きの薬袋、すなわち無料もしくは通常よりも安価な薬袋を使用することで、保険薬局における経営面での負担が軽減するメリットはありますが、その分の費用はすでに、調剤報酬点数の一部に含まれているということから考えると、患者側および保険者側が負担する費用には何も反映されていないと指摘されてしまうかもしれません。
広告付きの薬袋の法的解釈もしくは適否については、それを具体的に禁止しているものはありません。
しかし、健康保険の趣旨やその位置づけなど、あらゆる側面から総合的に考えると、それは費用面や広告内容だけの問題ではなく、営利目的である広告が健康保険という患者の療養を目的とする行為の中にあるということ自体がなじまないことであると思われます。
また、「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」においては、「保険薬局は、その担当する療養の給付に関し、健康保険事業の健全な運営を損なうことのないよう努めなければならない」(第2条の3第2項)と規定されています。
これらの観点から考えても、広告付きの薬袋は健康保険においてなじまない行為であると指摘される可能性も考えられますので、十分に注意してください。
参考書籍:保険調剤Q&A平成22年版
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