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透析患者にワルファリンは禁忌?
公開. 更新. 投稿者:腎臓病/透析.この記事は約2分42秒で読めます.
4,617 ビュー. カテゴリ:透析中のワルファリン投与
ワルファリンの禁忌には、
重篤な肝障害・腎障害のある患者
〔ビタミンK依存性凝固因子は肝臓で産生されるので、これが抑制され出血することがある。また、本剤の代謝・排泄の遅延で出血することがある。〕
とあり、透析患者ももちろん「重篤な腎障害のある患者」なので禁忌という扱いです。
しかし、ワルファリン以外の抗凝固薬、新規経口抗凝固薬(noveloralanticoagulants:NOAC)といわれる、プラザキサ、イグザレルト、リクシアナ、エリキュースなども透析患者には禁忌である。
日本の卒中学会「脳卒中治療ガイドライン2009」によると、非心原性脳梗塞には抗血小板薬が第一選択です。
一方、透析患者に対するワルファリン投与は脳卒中のリスクを増加させるため、原則禁忌です。
日本透析医学会「血液透析患者における心血管合併症の評価と治療に関するガイドライン」によると、透析患者で血栓を起こしやすい患者には投与してもよいが、プロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)は2未満に維持することが望ましいとされています。
これらを踏まえて、ワルファリンの必要性を評価します。
透析患者のAFには,通常のAFについての以下の「常識」が通用しません。
(1) AFが脳卒中のリスクとなる
(2) 脳塞栓のリスク層別化にCHADS2スコアが有用である
(3) ワルファリンが脳塞栓の予防に有効である
(1)については,透析患者では心房内血栓に由来する心原性脳塞栓以外の原因による脳梗塞も多いと考えられ,心原性脳塞栓の占める重要性については疑問の余地があります。(2)については,もともとCHADS2スコアの根拠となった患者集団には透析患者が含まれておらず,透析患者においてもCHADS2スコアが通用するかどうかは不明です。(3)については,ワルファリンによる抗凝固療法が透析患者においても脳塞栓を減らすかどうか,確たるデータがなく,むしろ頭蓋内をはじめとする大出血を大幅に増やして,患者予後をかえって悪化させるという観察研究のデータも複数報告されています。内科:循環器 ― 脳塞栓予防としての透析患者へのワルファリン使用可否 [Pro/Pro](杉山裕章→赤尾昌治) :日本医事新報社
透析患者にワルファリンは止めておいたほうがいい、かな。
参考書籍:日経DI2016.4
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