2024年4月25日更新.2,754記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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炎症性腸疾患治療薬の分類

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炎症性腸疾患治療薬の一覧

分類商品名一般名規格剤形効能効果
免疫調節薬サラゾピリンサラゾスルファピリジン錠500㎎
坐剤500㎎
サラゾピリン錠500mg:潰瘍性大腸炎、限局性腸炎、非特異性大腸炎
サラゾピリン坐剤500mg:潰瘍性大腸炎
ペンタサメサラジン錠(250㎎、500㎎)
顆粒94%
注腸1g
坐剤1g
ペンタサ坐剤・注腸:潰瘍性大腸炎(重症を除く)
ペンタサ錠・顆粒:潰瘍性大腸炎(重症を除く)、クローン病
アサコールメサラジン錠400mg潰瘍性大腸炎(重症を除く)
リアルダメサラジン錠1200mg潰瘍性大腸炎(重症を除く)
ステロイドステロネマベタメタゾンリン酸エステルナトリウム注腸(3mg、1.5mg)限局性腸炎、潰瘍性大腸炎
プレドネマプレドニゾロンリン酸エステルナトリウム注腸20mg潰瘍性大腸炎、限局性腸炎
ゼンタコートブデソニドカプセル3mg軽症から中等症の活動期クローン病
レクタブルブデソニド注腸フォーム2㎎潰瘍性大腸炎(重症を除く)

炎症性腸疾患治療薬の特徴

分類商品名作用機序特徴
免疫調節薬サラゾピリン炎症性細胞から放出される活性酸素を消去することにより、炎症の進展と組織の障害を抑制する。大腸の腸内細菌によりアゾ結合が切断され、スルファピリジンと5-ASAに分解され効果を示す。
そのため、クローン病では、大腸型の治療に限定して使用される。
ペンタサメサラジンをエチルセルロースの多孔性被膜でコーティングし、時間依存性に小腸から大腸にかけて5-ASAが放出される。
坐剤はS状結腸より口側の炎症、注腸剤では脾彎曲部より口側の炎症には効果が期待できない。
アサコールpH依存性コーティングがpH7以上で溶解し、回腸末端から大腸全域にかけて5-ASAが放出される。
リアルダアサコールの特性に加え、親水性基剤と親油性基剤からなるマトリックス中にメサラジンを分散させた素錠部があり、コーティング溶解後も徐放性をもって5-ASAが放出される。
ステロイドステロネマ炎症反応が起こると、細胞膜のリン脂質に結合しているアラキドン酸という物質から、酵素を介してロイコトリエン、プロスタグランジンという生理活性物質が作られ、それらの作用で痛みや炎症などの症状が起こります。
ステロイドはアラキドン酸の働きを抑えます。
は即効性があり、症状を早期に寛解させたい場合に有効で
ある。
プレドネマのほうが血中への吸収率が低い。
プレドネマ
ゼンタコート軽症から中等症の寛解導入に使用される。
ブデソニドを含有する腸溶コーティングの顆粒を充填した製剤であり、回腸から上行結腸を中心にブデソニドを徐々に放出するように設計されている。
レクタブル腸管内における薬液の保持性が高いため、立位で投与可能であり、投与後に肛門から薬液が漏れることが少ない。
腸内で到達する範囲は概ねS状結腸部までであり、直腸型およびS状結腸部の病変に対して使用される。

炎症性腸疾患治療薬の分類

潰瘍性大腸炎やクローン病のような炎症性腸疾患に使われる主な薬は、5-ASA(5-アミノサリチル酸)製剤である。

5-ASA(5-アミノサリチル酸)製剤

5-ASA製剤は、UC(潰瘍性大腸炎)、CD(クローン病)における基本薬として、主に軽症から中等症の寛解導入及び寛解維持に使用されます。
5-ASAは優れた抗炎症作用を発揮しますが、経口投与では大部分が小腸で吸収されてしまうため、病変部位に十分量が送達されるように工夫された製剤が開発されています。薬剤・剤形の選択にあたっては、病変範囲や使用感、服薬アドヒアランスなどを考慮します。なお、UCにおいては用量依存性に寛解導入効果が高まるため、経口剤は可能な限り高用量の投与を基本とします。

ステロイド剤

ステロイド剤は、UC、CDの寛解導入に使用されます。ステロイド剤は抗炎症作用を示しますが、長期にわたって投与をした場合、易感染性、骨粗鬆症などの副作用につながる可能性があるため、効果が得られた後は、漸減中止を行います。

ブデソニドは、肝初回通過効果が大きく、体循環系に入る前に肝臓で活性の低い代謝物に代謝されます。そのため、全身への曝露が少なく、従来のステロイド剤と比較して全身性の副作用が軽減されると考えられています。現在、経口剤と注腸剤が発売されています。

免疫調節剤

免疫調節剤、免疫抑制剤、生物学的製剤、JAK阻害剤は、主に中等症から重症例に使用されます。これらの薬剤は、免疫系を抑制することから、感染症リスクを増大させるため使用に際しては注意を要します。

【アザニン・イムラン】
臨床的な効果発現に数週間~数か月を要する。主にステロイド依存例の寛解維持に使用される。
妊婦への投与について、国内外の成書及びガイドラインの記載や臨床報告では、先天性奇形発生率に有意な差が認められていないことなどから、2018年7月に添付文書の「禁忌」の項から削除された。

免疫抑制剤(カルシニューリン阻害剤)

【プログラフ】
ステロイド依存例・抵抗例に使用される。
主にTリンパ球におけるシグナル伝達を抑制し、サイトカインの産生を抑制する。
通常、3か月までの投与とされ、効果が得られた後は、免疫調節剤による寛解維持療法を行う。
有効濃度の維持や副作用発現予防のため、血中トラフ値のモニターを行う。本剤食後投与時の経口吸収性は、平均的に絶食下服薬時の約60%と推定されているため、食事の影響を考慮した用量調節が必要である。

生物学的製剤(抗TNFα抗体製剤)

【ヒュミラ、レミケード、シンボニー】
他の薬物治療(5-ASA製剤、ステロイド剤、免疫調節剤など)やクローン病における栄養療法で、効果不十分または不耐例に使用される。
炎症に関わるサイトカインの1つであるTNF-αの働きを阻害し、抗炎症作用を示す。
抗TNFα抗体製剤による寛解維持療法では、次第に効果が減弱していく二次無効を生じることがある。

生物学的製剤(抗IL-12/23p40抗体製剤)

【ステラーラ】
他の薬物治療(5-ASA製剤、ステロイド剤、免疫調節剤など)やクローン病における栄養療法で、効果不十分または不耐例に使用される。
TNFなどの産生を促進するIL-12及びILー23の共通構成蛋白であるp40に特異的かつ高い親和性で結合し、炎症性サイトカインの産生を抑制する。
クローン病の寛解導入及び寛解維持に使用される薬剤で、初回に点滴静注製剤を投与し、2回目から皮下注製剤を投与する。効果減弱例には、皮下注製剤の投与間隔を短縮できる。

JAK阻害剤

【ゼルヤンツ】
ステロイド剤、免疫抑制剤、生物学的製剤の少なくとも1例で効果不十分な場合の寛解導入及び寛解維持に使用される。
炎症性サイトカインの細胞内シグナルに関与するJAKを阻害することにより、シグナル伝達を遮断し、炎症や免疫反応を抑制する。

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薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

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本の紹介

yakuzaic
yakuzaic/著
2023年09月14日発売

プロフィール

yakuzaic
名前:yakuzaic
職業:薬剤師
出身大学:ケツメイシと同じ
生息地:雪国
座右の銘:習うより慣れろ。学ぶより真似ろ。
SNS:X(旧ツイッター)
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