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ナルコレプシーと普通の眠りの違いは?
公開. 更新. 投稿者:睡眠障害.この記事は約4分50秒で読めます.
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ナルコレプシーと普通の眠りの違いは?
ナルコレプシーとは急に眠ってしまう「居眠り病」のことです。
睡眠の状態には、レム睡眠とノンレム睡眠があります。
レム睡眠は浅い眠りのことで、夢を見ます。
ノンレム睡眠は深い眠りです。ノンレム睡眠中も夢は見ますが、思い出すことが難しいです。
正常な睡眠では、覚醒状態からノンレム睡眠に入っていきます。
ナルコレプシー患者の場合、覚醒状態からまずレム睡眠に入ります。
そのためレム睡眠の特徴である睡眠麻痺(金縛り)や生々しい夢を体験することになります。
寝すぎの人はナルコレプシー?
ナルコレプシーは過眠症の一つで、昼間に耐えがたい眠気が出現し、授業中や勤務中、時には試験中や歩行中など通常では考えられない場面で居眠りしてしまう「睡眠発作」が特徴です。
なお、過眠症を眠り過ぎと誤解している人も少なくありませんが、長時間の睡眠を伴う過眠症はごくまれで、ナルコレプシーの患者さんの多くは睡眠時間が平均的(約6~8時間)か平均より短いといわれています。
また、ナルコレプシーの場合、居眠りは長くても30分程度です。居眠りから目覚めた後は一時的にすっきりしますが、時間がたつと再び強い眠気が出てきます。
ナルコレプシーで腰が抜ける?
ナルコレプシーのもう一つの特徴的な症状として「情動脱力発作」があります。笑う、驚く、怒るなど感情の動きがあったときに体の力が抜けてしまい、膝がガクンとする、腰が抜けてしまう、といった脱力症状があらわれます。ただし顔の筋肉だけが脱力することもあり、その症状の現れ方はさまざまです。
また、自覚的には半分目が覚めている就眠後すぐ、生々しい夢をみることや浮遊感などが生じる「入眠後幻覚」や怪しい人物や動物が襲ってきて、助けを求めて起き上がろうとしても起き上がれず、声も出せない金縛り状態になる「睡眠麻痺」が出現することもあります。これらの症状は入眠期のレム睡眠期に起こります。入眠時幻覚や睡眠麻痺はナルコレプシーの患者さんの7割程度にみられ、昼間の居眠り時に幻覚妄想状態を呈することもあります。
ナルコレプシーは稀な病気?
ナルコレプシーというと突然意識を失うように眠ってしまう珍しい病気だと思っていましたが、日本人の有病率はおよそ600人に1人と推定されており、国内におよそ20万人の潜在患者がいることになり、少なくありません。
しかし、実際に睡眠専門病院でナルコレプシーと診断され治療を受けているのは約2000人程度と考えられています。
ナルコレプシーは決してまれな病気ではないのですが、国民のこの病気に対する認識が低いためと居眠りなどの症状から、怠け者と誤解されるケースが少なくありません。
ナルコレプシー とは、日中において場所や状況を選ばず起こる強い眠気の発作を主な症状とする脳疾患(睡眠障害)である。自発的に覚醒を維持する能力、およびレム睡眠を調節する機能の両者が阻害される。
笑い、喜び、怒りなどの感情が誘因となる情動脱力発作(カタプレキシー)を伴う患者も多いが、その症状が無い患者もいる。通常であればノンレム期を経た後で発生するレム睡眠が入眠直後に発生してしまい、また入眠時レム睡眠期 (SOREMP) が出現するため、入眠時に金縛り・幻覚・幻聴の症状が発生する。
更に夜間はレム睡眠とノンレム睡眠の切り替わりで中途覚醒を起こすため、目は覚めても体を動かそうとする脳の一部が眠っているために金縛りを体験することになる。入眠後から起床時までは、そのような状況のため概して睡眠が浅くなりやすくなり、夢を見る回数が増える。ほとんどが悪夢で、現実とリアルな夢の境目が分からずにうなされる場合が多い。
有病率は米国では4000人に1人ほど。現在確定診断を受けた患者数は日本国内においておよそ2000人前後(2009年12月現在)であるが、決して珍しい病気ではなく、日本では600人に1人程度(0.16%)は罹患していると想定されている。なお、世界の有病率の平均は2000人に1人程度(0.05%)であり、その4倍近い日本人の有病率は世界最高であるという。
治療は対症療法である。また、治療を行っていない状態で機械や自動車の運転中などに発作が起こると重大な事故の原因となりうるため、日本睡眠学会では、運転中の居眠りや事故経験によっては、治療によって改善されるまでは車両運転を控えるべきであることを医師が伝える必要があるとしている。
リタリンはナルコレプシーの薬?
以前はADHDやうつ病などに処方されていたリタリン。
ADHDの適応はありませんでしたが、「難治性・遷延性うつ病」という適応を以前は有していました。
現在の適応症は、「ナルコレプシー」のみ。
ナルコレプシーはいわば過眠症。
過剰な睡眠に対しては「覚醒」を来す薬が投与される。
つまりは覚醒剤が適応となる。
ナルコレプシーに適応をもつ薬として、懐かしの「ヒロポン」も存在する。
医薬品名 | 一般名 | 特徴 |
---|---|---|
モディオダール | モダフィニル | ・半減期が長く(約12時間)、朝1回でよい。 ・100㎎から始めて、症状に応じて保険適用量上限の300㎎/日まで増量が可能。 |
リタリン | メチルフェニデート | ・半減期は7時間だが、実効時間は4時間程度。実効時間を考慮して、通常、1日1~3回分割投与される。 ・保険適用上1日用量60㎎が上限。 ・長期連用期間中における依存・乱用を含めた不正使用の問題により、「リタリン登録医」のみ処方可能。 |
ベタナミン | ペモリン | ・半減期は比較的長く(約12時間)、朝1回投与が可能。 ・1日用量は150㎎が上限。 ・投与期間中は肝機能の追跡が必要であり、その使用は少量にとどめるべきである。 |
ナルコレプシーに睡眠薬?
ナルコレプシーでは夜間睡眠障害を伴うこともあり、入眠障害よりも睡眠の安定が悪く中途覚醒が多いことから、非ベンゾジアゼピン系などの睡眠薬が処方されることもあります。
睡眠薬は短時間型のものを用いることが多く、睡眠維持障害の程度や翌朝への睡眠薬の持ち越し効果を勘案しながら、薬剤・用量を設定します。
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