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ヘフペフとヘフレフの違いは?
公開. 更新. 投稿者:心不全/肺高血圧症.この記事は約3分55秒で読めます.
26,466 ビュー. カテゴリ:HFpEFとHFrEF
心不全(HF=Heart Failure=ハート・フェイラー)に関する話。
心不全とは、単純に言えば心臓の働きが悪くなること。
心臓の働きとは、体中に十分な血液を送るポンプの働きです。
ポンプとしての働きが悪くなるということは、十分に広がらないこと、十分に縮まないこと、が挙げられます。
心臓は、右心房、右心室、左心房、左心室からなる4つの部屋に分かれていますが、体中に血液を送るのは左心室の収縮によるものです。
なので以前は、心不全の原因として、左心室の収縮力が低下し(左室駆出率が50%未満)、左心室が拡大した「収縮機能不全」が主と考えられていました。
しかし、高齢者の心不全の半数は、収縮力が保たれているにもかかわらず、左心室が硬くて広がりにくいために、心不全症状を呈する「拡張機能不全」というタイプの心不全であることが分かってきました。心臓へ血液が戻る力が弱くなっているため、うっ血が起こり、むくみなどの症状が起こりやすいといった特徴があります。
左室駆出率
左室駆出率(left ventricular ejection fraction=LVEF)とは、拡張した左室から、収縮してどれだけの血液が大動脈に出ていくかという割合を示しています。
左室駆出率の低下した一般的な心不全を、ヘフレフ(HFrEF=heart failure with reduced ejection fraction)といい、左室駆出率が維持されている心不全を、ヘフペフ(HFpEF=heart failure with preserved ejection function)といいます。
収縮機能が保たれているのであれば、全身に血液を送ることができるので、HFrEFよりもHFpEFのほうが予後は良いのではないかとも思われるが、HFpEFもHFrEFと同じように予後が悪いということが疫学調査などから明らかになっています。
拡張不全は、収縮機能は保たれているため、症状が出にくいのが特徴です。
収縮不全の場合、胸部X線で心陰影が大きくなっているなどの所見が認められますが、拡張不全では、収縮機能が正常に保たれているため、こうした所見がはっきりしないことも多いです。
確定診断には、心エコー検査のほか、血液検査の脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)を測定します。
ヘフレフの薬物療法
HFrEFでは、ACE阻害薬またはアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)、β遮断薬、MRA、ループ利尿薬、サイアザイド利尿薬が推奨されている一方、非推奨薬としてα遮断薬が記されている。
HFpEFに関しては、HErEFと異なり予後改善効果を示す明確な薬剤はない。
フォシーガとヘフレフ
フォシーガやジャディアンスなどのSGLT2阻害薬が心不全にも適応を持つが、添付文書に、
左室駆出率の保たれた慢性心不全における本剤の有効性及び安全性は確立していないため、左室駆出率の低下した慢性心不全患者に投与すること。
という記載があった。2023年1月にフォシーガの添付文書が改訂され、こちらの記載は削除された。「左室駆出率の低下した慢性心不全患者」とはヘフレフ(HFrEF)のことです。
HFrEF(ヘフレフ)とは、左室駆出率が40%以下の心不全と定義される。
HFpEF(ヘフペフ)とは、左室駆出率が50%以上の心不全と定義される。
左室駆出率が40%~50%の患者はグレーゾーン。
心エコーによる検査が必要でしたが、現在は不要。
ベリキューボとヘフレフ
最近発売された薬で、慢性心不全に適応を有する薬として、可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激剤のベリキューボ(ベルイシグアト)もある。
こちらについては、
左室駆出率の保たれた慢性心不全における本剤の有効性及び安全性は確立していないため、左室駆出率の低下した慢性心不全患者に投与すること。
という記載は2023年1月現在まだ残っており、HFrEF(ヘフレフ)には使用できず、HFpEF(ヘフペフ)にしか使えないということになる。
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1 件のコメント
ベリキューボはヘフレフのみの適応だと思います。