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ゾレアとファセンラの違いは?
公開. 更新. 投稿者:喘息/COPD/喫煙.この記事は約3分10秒で読めます.
3,787 ビュー. カテゴリ:気管支喘息の注射剤
気管支喘息のひどい患者で、病院で注射を打っているという患者がいる。
患者によっては、医薬品名までわからなかったりするので、どういう薬があるのか調べてみる。
医薬品名 | 一般名 | 作用機序 | 適応 |
---|---|---|---|
ゾレア | オマリズマブ | 抗IgEモノクローナル抗体 | 気管支喘息、特発性の慢性蕁麻疹 |
ヌーカラ | メポリズマブ | 抗IL-5モノクローナル抗体 | 気管支喘息、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 |
ファセンラ | ベンラリズマブ | 抗IL-5受容体αモノクローナル抗体 | 気管支喘息 |
デュピクセント | デュピルマブ | 抗IL-4/13受容体モノクローナル抗体 | 気管支喘息、アトピー性皮膚炎 |
違いとして、使用間隔の違いがある。
デュピクセントは2週間隔。
ゾレアは、血清中総IgE濃度及び体重に基づき、2週間か4週間隔。
ヌーカラは4週間隔。
ファセンラは、初回と2回目だけ4週間隔で、以降は8週間隔。
来局間隔で、何を使っているかある程度推測できる。
また、剤形として、バイアル製剤とプレフィルドシリンジ製剤があるが、バイアル製剤の場合、投与前に日局注射用水で溶解する調製操作の必要があり、ある程度待ち時間がかかるため、診察時間が長くなるというデメリットがあります。
2019年9月現在の各薬品の剤形
ゾレア:バイアルとシリンジ
ヌーカラ:バイアル
デュピクセント:シリンジ
ファセンラ:シリンジ
「以前より待ち時間が短くなった」といった話からも、使用薬が推測できます。
抗体薬の使い分け
喘息は気道に浸潤している顆粒球の種類に基づいて、①好酸球性、②好中球性、③混合顆粒球性(好酸球性及び好中球性の混合型)、④非顆粒球性型(paucigranular)の 4 つのフェ ノタイプ(表現型)に分類されている。
「アレルギー(アトピー)型」「好酸球優位型」「肺機能低下型」「好中球優位型」といった分類もされる。
抗IL-5抗体には、IL-5の働きを抑えて、炎症を引き起こす好酸球を減らす作用があるので、ファセンラやヌーカラは好酸球性の気管支喘息によく効く。
抗IgE抗体は、IgE抗体がマスト細胞にくっつくのをブロックする働きなので、ゾレアはアレルギー型の気管支喘息に使われる。
好塩基球や肥満細胞から放出されるヒスタミンなどの炎症を引き起こす物質の放出を抑制して,アレルギー反応を阻止します。
デュピクセントは,IL-4やIL-13によるシグナル伝達を阻害することで炎症に関与する2型炎症反応を抑制する薬剤で,「アレルギー(アトピー)型」と「好酸球優位型」どちらにも有効です。
モノクローナル抗体の命名法
ハーセプチンはトラスツズマブ。
レミケードはインフリキシマブ。
アバスチンはベバシズマブ。
そこらへんの命名法に関する仕組み。
語尾にマブ(mab)が付くものは、単クローン抗体(モノクローナル抗体)。
語尾の直前は抗体の主構造を指し示し、
キメラ抗体(ヒト由来が約80~85%): -ximab(キシマブ)
ヒト抗体(ヒト由来で約90~95%) : -zumab(ズマブ)
完全ヒト型(100%ヒト由来): -umab (ウマブ)
マウス抗体: -omab(オマブ)
ケースの多い抗がん抗体の場合には臓器別に
-co(l)- colon (大腸)
-go(t)- testis (睾丸)
-go(v)- ovary (卵巣)
-ma(r)- mammary (乳房)
-me(l)- melanoma (メラノーマ、黒色腫)
-pr(o)- prostate (前立腺)
-tu(m)- tumor(腫瘍)
またその他に疾患やターゲットにより、
-ba(c)- bacterial(細菌)
-os-(presubstem) bone(骨)
-ci(r)- cardiovascular(血管)
-le(s)- inflammatory lesions(炎症)
-li(m)- immunomodulator(免疫調節物質)
-vi(r)- viral(ウイルス)
ハーセプチン(トラスツズマブtrastuzumab)は、ヒト抗体で、免疫に働く。
レミケード(インフリキシマブinfliximab)は、キメラ抗体で、免疫に働く。
アバスチン(ベバシズマブBevacizumab)は、ヒト抗体で、血管に働く。
アクテムラ(トシリズマブtocilizumab)は、ヒト抗体で、免疫に働く。
ヒュミラ(アダリムマブadalimumab)は、完全ヒト型で、免疫に働く。
アービタックス(セツキシマブcetuximab)は、キメラ抗体で、腫瘍に働く。
リツキサン(リツキシマブrituximab)は、キメラ抗体で、腫瘍に働く。
ゾレア(オマリズマブomalizumab)は、ヒト抗体で、免疫に働く。
命名法も奥深いですね。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。