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結核を隠さないニューキノロンは?
公開. 更新. 投稿者:結核/肺炎.この記事は約1分12秒で読めます.
2,840 ビュー. カテゴリ:結核菌に対し活性を持つ抗菌薬
長引く咳のある患者にクラビットなどの抗菌薬を投与すると、もしその患者が結核であった場合、中途半端に結核菌の増殖を抑え、喀痰培養検査などで検出できなくなる(隠す、マスクする)ため、診断が遅れてしまうことがある。
結核の症状では、長引く咳や痰、体重減少などの症状があらわれるが、結核特有の症状とはいえず、「ただの風邪」として受診までの期間は遅れ、医師も見逃す可能性がある。
検査では、画像診断のほか、喀痰を採取して抗酸菌塗抹・培養・遺伝子検査(TB-PCR)を行う。喀痰は8~24時間あけて計3回採取し、うち1回は早朝喀痰を採取する。
ただ、実臨床では、患者の症状から市中肺炎が疑われる場合、診断が確定する前に治療を開始する、エンピリック治療を行うケースも少なくない。
市中肺炎の原因菌をほとんどカバーするとされるニューキノロン系抗菌薬は治療効果の高い薬剤として挙げられる。
結核菌とニューキノロン
クラビット(レボフロキサシン)のほか、グレースビット(シタフロキサシン)、アベロックス(モキシフロキサシン塩酸塩)なども結核菌に強い活性を示すとの報告がある。
オゼックス(トスフロキサシントシル酸塩水和物)は、ニューキノロン系抗菌薬の中でも結核菌に対し活性を持たない。
結核菌に強い活性を示すニューキノロンの構造は、①8位が炭素、②1位にシクロプロピル基が結合、④7位に環状の置換基が結合、などが共通している。
オゼックスは③④のみに該当することから、この構造的な特徴の違いが結核菌に対する活性の強さに関係しているとの報告もある。
参考書籍:日経DI2019.6
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