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ニューキノロンとNSAIDsは併用禁忌?
公開. 更新. 投稿者:相互作用/薬物動態.この記事は約3分8秒で読めます.
10,454 ビュー. カテゴリ:ニューキノロンとGABA受容体
ニューキノロン系抗菌薬の副作用には、痙攣や不眠といった中枢神経系の副作用がある。
中枢神経のGABA受容体へのGABAの結合阻害による。
GABAは抑制性の神経伝達物質で、興奮を鎮めたり、リラックスをもたらしたりする役割がある。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、GABAの働きを強める。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬とニューキノロン系抗菌薬は逆の働きってことになるのかな。相互作用としてはとくに注意書きはありません。
ニューキノロンとNSAIDsの併用
ニューキノロンの痙攣誘発作用をNSAIDsが増強することが知られています。
痙攣までいくと怖いので、NSAIDs使用中の患者は特に注意したい。
ニューキノロン自体による痙攣誘発はその血中濃度異常上昇による急性中毒症状と考えられる症例が主となっています。
患者背景としては腎機能低下、大量与薬あるいは痙攣素因などが挙げられますが、基本的にはニューキノロン剤自体が中枢興奮作用を有することを認識する必要があります。
過去にフルマーク、タリビット、シプロキサン、ロメバクト等紫斑病のほとんどの製剤で痙攣が報告されています。
これらのニューキノロンによる痙攣の誘発はGABA(γアミノ酪酸)レセプターで、GABAと特異的に結合を阻害することによると考えられています。
そのため、ニューキノロンとNSAIDsが併用されていた場合は疑義照会をするか、痛み止めの使用を中止してもらうか、対応します。
医師の考え方にはかなり温度差があり、併用注意ぐらいの記載はほとんど無視しているように思える処方がある一方で、キノロン系抗菌薬を処方する場合には、痙攣のリスクの高いフルマークやロメフロン(バレオン)であろうがなかろうが、アセトアミノフェンしか処方しない医師もいます。
添付文書の記載上禁忌になっている組み合わせは、
ロメフロン(バレオン)⇔フロベン
ロメフロン(バレオン)⇔フロベン
フルマーク⇔フロベン
バクシダール⇔フロベン
薬によって痙攣誘発の程度は違います。
痙攣誘発作用の強いニューキノロンは、バクシダール、フルマーク、ロメフロン(バレオン)、シプロキサンです。
クラビット、スパラ、メガロシン、タリビッドなどは弱いです。
痙攣増強作用の強いNSAIDsは、ボルタレンなどのフェニル酢酸系、ブルフェンやロキソニンなどのプロピオン酸系、インフリーなどのインドール酢酸系です。
ニューキノロンとNSAIDsの相互作用
ニューキノロン系薬に酸性系NSAIDsを併用すると、ニューキノロン系薬の副作用である痙攣が起きやすくなる。
ニューキノロン系薬は、中枢の神経伝達物質の1つで、ガンマ-アミノ酪酸(GABA)の受容体への結合を阻害し、中枢神経の興奮を増大させて痙攣発作を誘発するが、NSAIDsを併用すると、このGABA阻害作用が増強され、痙攣発生の閾値が低下すると考えられている。
この痙攣誘発活性の強さは、薬剤ごとに差があることが知られている。
併用注意の場合に、疑義照会を行うかは、患者に副作用発現の危険因子があるかどうかで判断すべきだろう。
ニューキノロン系薬による痙攣は、てんかんの既往歴があると起きやすく、大半のNQ薬が腎排泄なので、腎機能が低下した患者も要注意である。
これらの点を薬歴や患者の話などで判断し、副作用を発現する危険があると考えた場合に疑義照会を行う。
その場合、医師に処方変更を提案することになる。
具体的には、NSAIDsを、ニューキノロン系薬の痙攣誘発に対する影響が比較的少ない塩基性NSAIDsやカルボン酸系NSAIDsに変更することが考えられる。
ただ、これらはフェニル酢酸系やプロピオン酸系に比べ、消炎・鎮痛効果が弱く、疼痛や炎症が強い患者では、ニューキノロン系薬を他の抗菌薬に変更することもある。
ニューキノロンで末梢神経障害?
ニューキノロン系抗菌薬の副作用には、痙攣や意識障害などの中枢神経系の副作用のみならず「末梢神経障害」もある。
2019年9月には、フルオロキノロン系およびキノロン系抗菌薬の添付文書について、「末梢神経障害」「精神症状」「アキレス腱炎、腱断裂等の腱障害」といった副作用が追記された。
腱障害についてはコラーゲン組織の障害が、精神症状についてはGABA神経の抑制などが発現機序として考えられる。
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