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貼付剤が途中ではがれたら貼りなおす?
公開. 更新. 投稿者:調剤/調剤過誤.この記事は約3分49秒で読めます.
29,317 ビュー. カテゴリ:貼付剤がはがれたら?
貼付剤を使用中に剥がれたら、どうするだろうか?
粘着力がまだあれば、貼り直す。
粘着力が無くなっていれば、新しい物を貼る。
というのが普通の対応でしょうか。
抗アレルギー薬のアレサガテープと、過活動膀胱治療薬のネオキシテープの添付文書には、以下のように記載されている。
本剤が途中ではがれ落ちた場合は、直ちに新たな本剤を貼付すること。また、次の貼り替え予定時間には新たな本剤に貼り替えること。
メーカー的には、頻繁に貼り替えてもらったほうが売り上げが増えるから良いのだろう。
テープが途中で剥がれた場合は、効果が減弱する可能性があるため、貼り直さず新しいものを貼付し、次の貼り替え予定時間にも、新たなものを貼るように指示している。
抗認知症薬のイクセロンパッチ/リバスタッチパッチも添付文書で貼り替えが指示されている。
本剤が剥がれた場合は、その時点で新しい製剤に貼り替え、翌日より通常通りの時間に貼り替えを行うこと。
アレサガテープ、ネオキシテープは「次の貼り替え予定時間には」と記載されていたが、イクセロン/リバスタッチパッチは「翌日より」と記載されている。
入浴後に貼って翌日の昼頃剥がれたとして、アレサガテープは当日の入浴前に剥がして又入浴後に貼り替えるが、イクセロンパッチは貼ったまま入浴してさらに翌日の入浴前まで貼付するという形でよい、ということか。
でも、貼ったまま入浴したらまた剥がれやすくなって、翌日も昼頃に剥がれてしまって・・・とか繰り返しそう。
麻薬についてはどうか?
ワンデュロパッチやフェントステープの添付文書には以下のように記載されている。
本剤が皮膚から一部剥離した場合は、再度手で押しつけて剥離部を固定するが、粘着力が弱くなった場合はパッチを剥離し、直ちに同用量の新たなパッチに貼り替えて、剥がれた製剤の貼り替え予定であった時間まで貼付すること。なお、貼り替え後血清中フェンタニル濃度が一過性に上昇することがあるので注意すること。
粘着力が無くなれば貼り替えるしかないよね、という感じ。
でも、処方日数制限のある薬を過剰使用すれば、次回予約日以前に再受診しなければならなくなったり面倒なことも増えるので、できれば押し付けて使用するかな。
愛媛大学医学部附属病院薬剤部の資料には貼り直し可否について、以下のように書かれていた。
https://www.hsp.ehime-u.ac.jp/medicine/wp-content/uploads/DINEWS20160629-1.pdf
商品名 | 貼り直し |
---|---|
ニュープロパッチ (大塚製薬) | × |
イクセロンパッチ (ノバルティスファーマ) | × |
デュロテップ MT パッチ (ヤンセンファーマ) | △ |
ノルスパンテープ (久光製薬) | △ |
ホクナリンテープ (マイランEPD合同会社) | × |
フランドルテープ (トーアエイヨー) | 〇 |
ビソノテープ (トーアエイヨー) | △ |
ミリステープ (日本化薬) | × |
ジドレンテープ (田辺三菱) | × |
エストラーナテープ (久光製薬) | × |
ニコチネル TTS (ノバルティスファーマ) | △ |
ネオキシテープ (久光製薬) | × |
基本的に新しいものに貼り替える形が多い。
医薬品名 | はがれた時の対処法 |
---|---|
イクセロン・リバスタッチパッチ | はがれ落ちた場合は、粘着性の低下が考えられるため、代わりに新しい製剤を貼付する。なお、翌日はこれまでいつも貼り替えていた時間に新しい製剤を貼付する。 |
エストラーナテープ | はがれた場合は、新しいものを貼付して下さい。次回はいつもの貼り替えるタイミングで貼り替えて下さい。 |
デュロテップパッチ | パッチがはがれそうなときは、再度、手で押し付けて下さい.パッチがはがれた場合は、直ちに同量用の新しいパッチに貼り替えて3日間貼って下さい。 |
ニコチネルTTS | はがれた場合は、新しいものを貼付して下さい。 |
ニトロダームTTS | はがれたら新しく貼りかえる。本剤は、貼付け1時間後に血中濃度が定常状態になり、除去した場合は1時間後に血中から消失する。従ってはがれた場合、すぐに貼り変えても血中濃度が上昇する可能性は低いと考えられる。また、上昇したとしても貼り変え後1時間程度に限られると推察される。 |
ニュープロパッチ | はがれた場合は、新しいパッチを貼り直す。その場合でも、次の貼り替えはいつもの時刻に行う。 |
ネオキシテープ | はがれた場合は、新しいものを貼付する。次回はいつも貼り替えるタイミングで貼り替える。 |
ノルスパンテープ | テープが皮膚から一部はがれた場合は、再度手で押し付けるか、又は皮膚用テープ等で剥離部を固定するが、粘着力が弱くなった場合は、直ちに同用量の新たなテープに貼り替えて7日間貼付する。またその場合は、現在の貼付部位とは異なる部位に貼付する。 |
ビソノテープ | 一部はがれてしまった場合、絆創膏などではがれ落ちないように固定する。 |
フランドルテープ | いったんテープをはがして、汗で濡れた肌を清潔なタオル等で拭き取り、テープのシワを伸ばしてから、部位を変えて貼付ける。 貼り直した後も安定した血中濃度推移が認められている。本剤は、角質保護システムを採用したことで粘着剤表面の粘着力が保たれるため、貼り直すことができる。 |
ホクナリンテープ | はがれたのが貼ってから12時間以上経過している時は、24時間貼付した時の約80%以上が吸収されているので、次の貼付時間まで待っても発作は抑えられると思われる。逆に貼付後12時間以内であれば発作が起きる心配があるため、新しいものを貼った方がよいと思われる。 |
メノエイドコンビパッチ | 再度貼付するか、必要に応じて新しいものを使用する。 |
ロナセンテープ | 一部剥がれた場合はテープなどで固定。完全に剥がれたら、再貼付または新しく貼り替え。 |
フランドルテープの貼り直し
フランドルテープには、皮膚刺激の要因である角質剥離を抑制する工夫がなされている(角質保護システム)、
粘着面に角質細胞が付着しにくいため、剥がれても粘着力が落ちにくく貼り直すことができる。
汗をかいてテープが剥がれてしまったときには、いったんテープを剥がして、汗を清潔なタオルなどでふき取り、テープのしわを伸ばしてから、部位を変えて貼り直しても問題ないとされる。
貼り直しができないようであれば、新しいものに貼り替えてもよい。
貼付後、24~48時間にわたり持続した血中濃度を保つため、貼り替えるタイミングは毎日同じでなくても問題ない。
入浴はテープを貼ったままでも可能である。
ただし、入浴により血管拡張作用が増強し、血圧低下作用が強く表れる恐れがあるため、一時的なふらつきなどには注意したい。
テープ剥離後の硝酸イソソルビド血中濃度半減期を測定した検討では、24時間貼付の場合は2.3時間、48時間貼付の場合は2.4時間と比較的緩やかに下降することが示された。
そのため、短時間であれば剥がして入浴することも可能である。ただし、いつ発作が起こるかわからない患者は、貼っていない時間帯を極力作らないよう配慮が必要となる。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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