記事
ビクトーザは1本何日分?
公開. 更新. 投稿者:糖尿病.この記事は約7分48秒で読めます.
25,965 ビュー. カテゴリ:GLP-1受容体作動薬の使用可能回数の計算
ビクトーザやバイエッタなどのGLP-1受容体作動薬の用量がわかりづらい。
インスリン注射であれば、1本300単位とほぼ決まっており、使用単位数が記載されていれば何日分くらい使えるか、計算は比較的簡単である。
しかし、GLP-1受容体作動薬の場合、ビクトーザは1本18mg、バイエッタは1本300μg、リキスミアは1本300μgと統一されていない。ビデュリオンとトルリシティは1本使い切りなのでわかりやすい。
ビクトーザの使用可能回数
ビクトーザは1回0.3mgから開始し、1週間以上間隔をあけて0.6mg、0.9mgとステップアップする。
まず、1回何mgで使っているか確認が必要。
1回0.9mgのケースが多いと思うが、その場合1本で何日分持つのか、次回受診予定日まで足りるのか。
単純に計算すると、ビクトーザ1本が18mgなので、1回0.9mgだと20回分使えるという計算になる。
しかし空打ちも行うので、空打ちの分だけ使用回数は少なくなる。
空打ちに使う量は0.12mgと言われているので、1回1.02mgだと、18mg÷1.02mg=17.6回分という計算になる。
1本で半月分くらい。
1回0.6㎎だと空打ちと合わせて0.72㎎、18㎎÷0.72㎎=25回分
1回0.3㎎だと空打ちと合わせて0.42㎎、18㎎÷0.42㎎=42.857回分
という計算になる。
バイエッタの使用可能回数
バイエッタは5μgが28回分、10μgが56回分と説明書に記載されている。空打ちは初回のみ。
リキスミアの使用可能回数
リキスミアは、10μg、15μg、20μgの使用量がある。空打ちは2μgで毎回行う。1本300μgなので、1回20μgで使うとすると、300μg÷22μg=13.6回という計算になる。
バイエッタの必要本数は計算しやすいが、ビクトーザやリキスミアはわかりづらい。
ビクトーザの使い方
みなさん、注射薬の指導をしっかりしていますでしょうか?
私は自信がありません。入院時の指導任せです。
指導のポイントがたくさんあります。
これを投薬窓口で全て説明し確認するのは無理。
おおまかな流れとしては、
①針を取りつける
②空打ちをする
③投与量を設定する
④注射する
の4ステップ。
ビクトーザについて
・必要に応じて、HbA1c、空腹時血糖値、食後血糖値について解説してください。
・低血糖とその対処法について解説してください。
・ビクトーザを単独で投薬した時には、血糖値に応じてすい臓のβ細胞からインスリンが出されることを解説してください。
低血糖時の対応は重要だが、その他の患者教育は少しずつ行えばいい。
注射針の取りつけ方
・キャップをはずしたら、カートリッジや薬液に異常がないか確認するよう指導してください。
・ビクトーザを静かに取り扱うなど気泡をつくらせない工夫も指導してください。
・薬液の変色の原因のほとんどは、血液混入によるものです。血液混入は浮遊物発生の原因となります。皮下で注入ボタンを押す指の力をゆるめたり、注射針がしっかり取りつけられていないときに起こりやすいので、これらの点を指導してください。
・注射針をつけたまま保管しないよう指導してください。
・消毒は、ゴム栓全体を拭き、アルコールが揮発するまで待つよう指導してください。
・注射針は「まっすぐ」取りつけるよう指導してください。まっすぐ取りつけられないようなときは、机の上に置いて行うとよいでしょう。
・斜めに取りつけると、後針が曲がったり折れたり、うまくゴム栓に取りつけられなかったりすることがあります。薬液が出なくなるおそれがあるため、注意するよう指導してください。
・針ケース(外側の大きい方)は 注射針を取りはずすときに使うので捨てないようにします。
・針キャップ(内側の細い方)は取りはずしたら廃棄します。
・針キャップを取りはずすとき、注射針に触れると針が曲がってしまうため、注意してください。一度曲がった針は使わずに新しいものに交換してください。 曲がった針を使うと、注射後、針が折れて皮下に残ることがあります。針をまっすぐに戻して使うこともしないよう指導してください
「薬液が出てこない」「針がおかしいんじゃないか」というクレームはよく受ける。
自分で針を曲げていることも多いので、針を曲げないように注意点を説明する。
空打ちの手順
・空打ち目盛は白い線です。空打ち目盛にポインター(投与量を合わせる線)をぴったり合わせるようにしてください。回し過ぎたときは、逆に回して、正しい位置に戻してください。
・空打ちの際、注入ボタンを押し込むと、ダイアルは「0.0mg」に戻ります。何らかの原因で気泡が多く入っている場合は、空打ちを数回しないと薬液は出て きません。空打ちをしても薬液が出ない場合、注射針がうまく取りつけられていないことなどが考えられます。注射針がうまく取りつけられていない場合、カートリッジの内圧が上がり、注入ボタンが押しにくくなります。ゴム栓が膨らむなど故障の原因となるため、注射針の取りつけ方には特に注意を促してください。また、ピストン棒とゴムピストンの間にすきまがある場合は、注射針を取りつけたままで保管していた可能性が考えられます。保管の際には注射針をはずすよう指導してください。新しいビクトーザを使う際に、注射針が正しく取りつけられているのにもかかわらず、6回空打ちしても薬液が出ない場は使用しないでください。
注射剤によっては毎回空打ちをしなくてもいい製剤もあるが、ビクトーザの空打ちは毎回。
投与量の設定
・ダイアルを最後まで(回らなくなるところまで)回すと、投与量を0.9mgに設定することができます。5クリックごとに0.3mg、0.6mg、0.9mg の数字が印字されています。
・0.3mg、0.6mg、0.9mg以外のところに合わせないでください。各投与量の間でもダイアルは止まり、注射は可能ですが、必ず指定された投与量を注射するよう指導してください。
・「mg」の位置にポインターを正確に合わせるように指導してください。窓から投与量の文字が全部見えていても1目盛ずれていることがありますのでご注意ください。
・投与量を設定するときは注入ボタンを押さえないように注意してください(針先から薬液が出てしまうため)。
・回し過ぎたときは、逆に回して、正しい位置に戻してください。
・ダイアルが止まったら、それ以上無理に回さないよう指導してください。
・残量が注射する量より少ない場合は、 新しいビクトーザで一度に全量を注射するか、残量を注射した後、新しいビクトーザで空打ちを行い、不足分を注射することになります。患者の状況に合わせ、もっともよいと思われる方法を指導してください。
ポインターが少しずれててもわかりにくそう。
もっともよいと思われる方法とは何だろう。患者に決めてもらおう。
注射の手順
・注射部位は、おなか(腹部)、二の腕 (上腕部)、太もも(大腿部)です。
・針を刺すときに注入ボタンを押すのを避けるため、注入ボタンから指をはなしておくよう指導してください。
・ダイアル部分に指が触れていたり、注入ボタンを斜めから押し込もうとしたりすると、抵抗をつくりながら注入ボタンを押すことになりますので注意してください。
・注入ボタンを押したら、ゆっくり6秒以上数えるよう指導してください。完全にビクトーザを注入するために重要なポイントです。
・注入後は、ダイアル表示が0.0mgに戻ったことを確認してください。親指の力をゆるめると、カートリッジ内に血液が混入することがあるので注意するよう指導してください。
・注射部位を決め、その中で注射場所を毎回2~3cmずつ(指2本以上)ずらすことや、毎日可能な限り同じ時刻に行うことなどを指導してください。
注入後、6秒待つ。
注射後の手順
・針ケースを斜めからかぶせると、針が突き抜けることがあるので注意を促してください。
・針キャップは使用後につけないでください。指に針が刺さりやすく、危険です。
・針ケースをしっかりかぶせないと、引っ張るとき針が残ることがあります。
・危険のない捨て方を指導してください。
・遮光保存のために必ずキャップをつけるよう指導してください。
・(中身が残っている場合) 一度使いはじめたら絶対に冷蔵庫で保管しないように指導してください。
・(中身がなくなった場合) 注射針をはずして捨てるよう指導してください。
・投与量を増やす日付を十分に確認するよう指導してください。投与量を段階的に増やすことにより、使いはじめにあらわれやすい消化器症状を、防いだり、 軽くしたりすることができることをご説明ください。投与量を増やす日付を忘れるのを防ぐため、冊子「ビクトーザを正しく使うために」の「投与量セルフチェックシート」に増量予定日を記入して患者さんに渡してください。患者さんが来院せずに自宅で投与量を増やす場合は特に、日付と投与量をまちがえないよう注意してください。
・インスリンからビクトーザに治療変更した場合に、まれに高血糖をきたすことがあります。本剤使用後に高血糖の症状を感じたら、速やかに主治医に相談するよう指導してください。また、必ず薬歴等を確認して、インスリンによる治療歴がある場合には、特に注意するよう指導してください。
お手入れ方法・保管方法
・ダイアル表示からほこりやゴミが混入しないよう、保管に注意するよう指導してください。
・キャップをつけるのは遮光を確保するためです。注射針は必ず外しておくことを指導してください。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。
1 件のコメント
バイエッタは5μgが28回分、10μgが56回分と説明書に記載されていると記載されているが、逆です。