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ジタン系とトリプタン系薬の違い
公開. 更新. 投稿者:頭痛/片頭痛.この記事は約2分16秒で読めます.
6,079 ビュー. カテゴリ:ラスミジタン
片頭痛の薬といえば、トリプタン系薬だが、新しくレイボー錠(ラスミジタンコハク酸塩)という片頭痛の新薬が発売されるようだ。
薬効分類名は、「5-HT1F 受容体作動薬」となっており、トリプタン系薬は「5-HT1B/1D受容体作動薬」であるので別のセロトニン受容体に働く薬である。
片頭痛の急性期治療において既存薬では十分な効果が得られない患者もおり、また、トリプタン系薬は脳心血管疾患の既往を有する患者には安全性の懸念から投与できない場合もあることが問題となっています。
トリプタン系薬であるイミグランの禁忌には以下の記載がある。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
心筋梗塞の既往歴のある患者、虚血性心疾患又はその症状・兆候のある患者、異型狭心症(冠動脈攣縮)のある患者[不整脈、狭心症、心筋梗塞を含む重篤な虚血性心疾患様症状があらわれることがある]
脳血管障害や一過性脳虚血性発作の既往のある患者[脳血管障害や一過性脳虚血性発作があらわれることがある]
末梢血管障害を有する患者[症状を悪化させる可能性が考えられる]
コントロールされていない高血圧症の患者[一過性の血圧上昇を引き起こすことがある]
重篤な肝機能障害を有する患者
エルゴタミン、エルゴタミン誘導体含有製剤、あるいは他の5-HT1B/1D受容体作動薬を投与中の患者
モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAO阻害剤)を投与中、あるいは投与中止2週間以内の患者
これに対し、レイボー錠の禁忌は、「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」のみである。
その面では使いやすい薬である。
レイボーの作用機序
片頭痛の病態には、中枢での疼痛シグナル伝達、及び末梢での三叉神経系の過活動が関係しているとされ、セロトニン1F受容体が三叉神経系や視床、大脳皮質に発現していることから、セロトニン1F受容体の片頭痛の病態への関連性が指摘されてきた。ラスミジタンは、血液―脳関門通過性を有し、セロトニン1F受容体に選択的に結合する。これにより、中枢での疼痛情報の伝達を抑制し、末梢では三叉神経からの神経原性炎症や疼痛伝達に関わる神経伝達物質(カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)やグルタミン酸など)の放出を抑制することで、片頭痛発作に対する作用を示すと考えられている。
レイボーはトリプタン系薬とは異なり、血管収縮作用を示さないことから脳心血管系疾患を有する患者にも投与可能である。
用法は、
通常、成人にはラスミジタンとして1回100mgを片頭痛発作時に経口投与する。ただし、患者の状態に応じて1回50mg又は200mgを投与することができる。
頭痛の消失後に再発した場合は、24時間あたりの総投与量が200mgを超えない範囲で再投与できる。
となっており、発作時に使用する形で、予防的に連用することはできない。
トリプタンとの併用が禁止されているわけでもないので、片頭痛発作時に併用という処方もあるかも知れないが、添付文書に「本剤とトリプタン系薬剤との同時併用による上乗せ効果は検討されていない。」と記載されているので、保険請求で切られるかも知れない。
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