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タグリッソとイレッサの違いは?
公開. 更新. 投稿者:喘息/COPD/喫煙.この記事は約2分21秒で読めます.
2,848 ビュー. カテゴリ:EGFRチロシンキナーゼ阻害薬
タグリッソとイレッサは同じ作用機序?
タグリッソやイレッサは、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬に分類される分子標的治療薬です。
肺がんの治療を進めていく上で、上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異検査は重要な位置を占めている。ガイドライン上では、病期がⅣ期の非小細胞肺がん(非扁平上皮がん)でEGFR遺伝子変異陽性の患者では、1次治療としてEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)の使用が推奨されている。現在、非小細胞肺がんに適応のあるEGFR-TKIには、イレッサ(ゲフィチニブ)、タルセバ(エルロチニブ)、ジオトリフ(アファチニブ)、タグリッソ(オシメルチニブ)の4剤がある。
この既存のEGFR-TKIに対して耐性となった非小細胞肺がん患者の約50~60%でEGFR T790M変異が確認されている。この変異は、EGFR遺伝子エクソン20の790番目のスレオニン(T)がメチオニン(M)に置換されることで起こる。タグリッソ(オシメルチニブ)は、このEGFR T790M変異およびEGFR活性化変異を選択的に阻害する新規のEGFR-TKIとして開発された。
既存のEGFR-TKIの基本構造はEGFRの分子ポケットへの結合を考慮した「4-アニリノキナゾリン骨格」となっており、EGFR T790M変異が発現したEGFRの分子ポケットには物理的・電気的に入ることができない。
タグリッソは、既存のEGFR-TKIとは異なる「モノアニリノピリミジン骨格」を基本構造としてもつことで、T790M変異EGFRチロシンキナーゼにも阻害作用をもつように設計されている。
世代 | 商品名 | 一般名 | 薬価収載 | 阻害作用 |
---|---|---|---|---|
第1世代 | イレッサ | ゲフィチニブ | 2002年 | 可逆的 |
タルセバ | エルロチニブ塩酸塩 | 2007年 | 可逆的 | |
第2世代 | ジオトリフ | アファチニブマレイン酸塩 | 2014年 | 不可逆的 |
第3世代 | タグリッソ | オシメルチニブメシル酸塩 | 2016年 | 不可逆的 |
EGFRは膜貫通型受容体チロシンキナーゼであり、このチロシンキナーゼ領域のリン酸化が、がんの増殖・分化に関わるシグナル伝達に関与している。タグリッソはEGFR活性化変異およびEGFR T790M変異を有するEGFRチロシンキナーゼに対して、選択的かつ強力な不可逆的阻害作用を有することにより腫瘍細胞の増殖を抑制すると考えられている。また、野生型EGFRに対する阻害作用は弱いことが示されている。
EGFRチロシンキナーゼ阻害薬の用法
分子標的治療薬は食事の影響を受けるものが多いので、投薬時に注意が必要である。
医薬品名 | 用法用量 |
---|---|
イレッサ | 通常、成人にはゲフィチニブとして250mgを1日1回、経口投与する。 日本人高齢者において無酸症が多いことが報告されているので、食後投与が望ましい。 |
タルセバ | 通常、成人にはエルロチニブとして150mgを食事の1時間以上前又は食後2時間以降に1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。 高脂肪、高カロリーの食後に本剤を投与した場合、AUCが増加するとの報告がある。食事の影響を避けるため食事の1時間前から食後2時間までの間の服用は避けること。 |
ジオトリフ | 通常、成人にはアファチニブとして1日1回40mgを空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日1回50mgまで増量できる。 食後に本剤を投与した場合、Cmax及びAUCが低下するとの報告がある。食事の影響を避けるため食事の1時間前から食後3時間までの間の服用は避けること。 |
タグリッソ | 通常、成人にはオシメルチニブとして80mgを1日1回経口投与する。ただし、術後補助療法の場合は、投与期間は36カ月間までとする。なお、患者の状態により適宜減量する。 |
イレッサは食後、タルセバとジオトリフは空腹時、タグリッソには服用時点は定められていない。
肺がん
肺がんは、日本人のがんによる死亡原因の第1位である。喫煙との関係が非常に深いがんではあるが、喫煙しない人でも発症することがある。
肺がんは、小細胞がんと非小細胞肺がんの2つに大きく分けられる。小細胞肺がんは、増殖が速く、脳・リンパ節・肝臓・副腎・骨などに転移しやすく悪性度の高いがんであるが、非小細胞肺がんより抗癌剤や放射線治療の効果が得られやすいといわれている。非小細胞肺がんは、小細胞がんではない肺がんの総称であり、多くの異なる組織型がある。そのため、発生しやすい部位、進行形式と速度、症状などはそれぞれ異なる。化学療法や法写真治療で効果が得られにくく、手術を中心とした治療が行われる。
肺がんの分類 | 組織分類 | 好発部位 | 特徴 |
---|---|---|---|
非小細胞肺がん(約80~85%) | 腺がん | 肺野部 | ・女性の肺がんで多い ・症状が出にくい |
扁平上皮がん | 肺門部 | 喫煙との関連が大きい | |
大細胞がん | 肺野部 | 増殖が速い | |
小細胞肺がん(約15~20%) | 小細胞がん | 肺門部 | ・喫煙との関連が大きい ・転移しやすい |
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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