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ムコダインとムコソルバンの違いは?
公開. 更新. 投稿者:喘息/COPD/喫煙.この記事は約5分1秒で読めます.
5,234 ビュー. カテゴリ:ムコソルバンとムコダインの違い
よく使われる去痰薬にムコソルバンとムコダインがあります。
ムコダインは気道分泌細胞における糖タンパク合成過程に作用して、痰の性状を生理的気道粘液に近づけます。
ムコソルバンは気道壁を潤滑にするタイプで、痰の性状そのものには影響を与えません。
働き方が違うので、同時に処方されることもあります。
近隣の医療機関ではムコダインが好んで処方されます。
ムコソルバンの特徴
ムコソルバンの適応は、急性気管支炎、気管支喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺結核、塵肺症、手術後の喀痰喀出困難、慢性副鼻腔炎の排膿です。
ブロムヘキシンの活性代謝物。
肺サーファクタント分泌作用、気道液の分泌促進作用、線毛運動亢進作用。
アンチオキシダント作用。
ムコダインの特徴
ムコダインの適応は、上気道炎(咽頭炎、喉頭炎)、急性気管支炎、気管支喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺結核、慢性副鼻腔炎の排膿です。
気道粘液修復薬。
気道粘液調整作用。
粘膜正常化作用。
ムコダインとムコソルバンの併用
併用療法の有効性については確実なエビデンスはない。
経験的には、作用機序が重ならない薬の併用療法では相加作用がみられることが知られている。
とくに、気道分泌物の貯留が容易に改善しない症例では併用療法を検討してもよい。
去痰薬で痰が出なくなる?
痰が絡むので困る、という患者に去痰薬が処方される。
そういう患者では、痰が出なくなることを期待して、薬を飲む。
しかし、痰は出なくなるどころか、逆に多くなっているような気がする。
鎮咳薬は、咳を止める薬です。
鼻炎薬は、鼻水を止める薬です。
去痰薬は、痰を出しやすくする薬です。
なので、痰の量は逆に多くなるわけだ。
ビソルボンの添付文書に、「喀痰量の一時的増加を来し神経質な患者では不安感を訴えることがある。」とある。
余計な不安を与えないように、事前の説明が必要。
去痰薬の働き | 薬効分類 |
---|---|
分泌物の性質を正常化する | 気道粘液修復薬 |
分泌物を減らす | 分泌細胞正常化薬 |
分泌物を分解する | 気道粘液溶解薬 |
分泌物を増やす | 気道分泌促進薬、気道粘膜潤滑薬 |
去痰薬の作用機序
気道粘液修復薬:気道分泌の異常を修復し粘液を正常化、痰を出しやすくします。
気道潤滑薬:肺表面活性物質を増やし、気道粘膜のすべりをよくすることで痰を出しやすくします。
気道分泌促進薬:気道の分泌液を増やし痰をうすめ、粘りがなくなることで、痰を出しやすくします。
気道粘液溶解薬:痰を分解・溶解させ、その粘度を低下させ、痰を出しやすくします。
いずれも、痰を出しやすくします。
痰に限らず、鼻炎の患者さんにもムコダインなどが処方されますが、
「鼻水が止まる」と期待して服用していたが、なかなか症状が改善されない、と別の医療機関を受診される患者さんもいました。
痰の薬、鼻水の薬、とだけ説明して、詳しい作用を伝えずに帰すと、誤解を持ったまま服用することになります。
気をつけよう。
去痰薬
痰を出しやすくする薬。痰そのものを薄めて出しやすくするものと,刺激により咳嗽を促して,痰を喀出しやすくするものとがある。痰を喀出しやすくするものとしては,アンモニア,重曹などのアルカリ剤による融解性去痰薬,カンゾウ,シャゼンソウなどの植物の粘性を応用して気道刺激を緩和する緩和去痰薬,サポニン剤 (セネガ根,炭酸アンモニウム) などのような刺激性去痰薬がある。
ムコソルバンLは夕食後服用?
ムコソルバンLカプセル、L錠の用法は、「通常、成人には1回1錠(アンブロキソール塩酸塩として45mg)を1日1回経口投与する。」となっており、服用時点については明確な指示はない。
しかし、その他の注意として「早朝覚醒時に喀痰喀出困難を訴える患者には、夕食後投与が有用である。」とあり、夕食後で処方されることが多い。
ただ、保険請求上の縛りではないので、朝食後だろうが、昼食後だろうが問題は無い。
痰の喀出量には日内変動があり、副交感神経が優位となる就寝時から早朝にかけて増加し、排出が困難になることが知られている。
これら、副交感神経が優位になることで血漿中のコルチゾールレベルが低下すると、気管支や肺の表面を覆って肺の伸展を助ける働きをする肺サーファクタントの合成・分泌が減り、同時に血漿中のカテコールアミン濃度が低下することで、肺の繊毛運動が低下するためである。
去痰薬について
痰の化学組成は病態で変化し、痰量が多いと繊毛に移送されにくい。
喀痰喀出因子の一つの繊毛運動は気道液のゾル層中で行われ中間的な粘弾性な痰ではよい。
繊毛のない肺胞、呼吸細気管支は肺サーファクタントの表面張力の圧差が関与する。
肺サーファクタントは気道液のゾル層、ゲル層を分離し粘膜の粘着性を下げる。
肺の呼吸運動も痰の喀出に有用と言われる。
粘液溶解薬は痰のジスルフィド結合を解裂し粘稠度を下げる。
ブロムヘキシンは多糖類部分、システインはS-S結合を開裂し、酵素製剤は蛋白部分を分解する。
粘液修復薬のカルボシステインはシアル酸とフコースの構成比を変える。
粘膜潤滑薬のアンブロキソールは肺サーファクタントの分泌促進により喀痰と気道粘膜表面の粘着性を下げる。
気道分泌細胞正常化薬は胚細胞の過形成を改善して粘液の過分泌を抑制する。
塩類去痰薬、刺激性去痰薬、催吐性去痰薬は最近、使われない。
カルボシキメチルシステインいはアンブロキソールと作用が異なり併用は合理的である。
早朝覚醒時の排痰にはアンブロキソールの徐放製剤を夕食後に投与する。
去痰薬は痰量が多い時だけでなく乾性咳で喀出が困難な時も使う。
水分補給が排痰に有用とされるが有効性の報告はあまりない。
リゾチームは卵白由来の蛋白質を成分とし、卵白アレルギー患者は禁忌である。
気管支喘息などの気道過分泌、気道粘膜病変を認める場合は粘膜修復薬、粘膜潤滑薬、気道分泌細胞正常化薬を使います。
粘液修復薬は粘稠度の低い「薄い喀痰」に対しても有用であり、一方粘稠度の高い「固い喀痰」には粘液溶解剤を中心に使用します。
薄い喀痰に粘液溶解剤を使うと、喀痰の粘性が低下しすぎて、かえって線毛による輸送能が悪化する。
切れの悪い痰に対しては気道粘液溶解薬を主体に気道潤滑薬を併用します。
胸のつかえ感に対しては、気道粘液修復薬、気道潤滑薬を使用します。
粘液修復薬
気道の分泌状態を修復し、痰の性状を生理的気道液に近づける作用を示す薬。
粘液溶解薬
ムチン結合の開裂などにより痰を溶解し粘稠度を低下させる薬
ゼオチン:L-メチルシステイン塩酸塩
ペクタイト:L-メチルシステイン塩酸塩
チスタニン:L-エチルシステイン塩酸塩
ムコフィリン:アセチルシステイン
ビソルボン:ブロムヘキシン塩酸塩
粘膜潤滑薬
肺サーファクタントの産生増加などを通じて気道粘膜を潤滑にし粘膜のクリアランスを高める薬
ムコソルバン:アンブロキソール塩酸塩
ムコサール:アンブロキソール塩酸塩
気道分泌細胞正常化薬
杯細胞などの増生を抑制する薬。
ムコダイン錠500㎎ 3錠
1日3回毎食後 14日分
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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