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メーゼントとイムセラの違い
公開. 更新. 投稿者:免疫/リウマチ.この記事は約3分35秒で読めます.
2,498 ビュー. カテゴリ:二次性進行型多発性硬化症ってなに?
シポニモドとフィンゴリモド
メーゼント錠という多発性硬化症の薬がある。2020年9月に販売開始となっていた。知らなかった。
以前、イムセラが処方された患者には投薬したことがあるが、多発性硬化症の患者は人口10万人あたり7.7人程度なので、その処方を見かけることは少ない。
多発性硬化症(MS)は、中枢神経(脳・脊髄・視神経)に「脱髄」と呼ばれる病変が多発し、視力障害、運動障害、感覚障害、言語障害など多様な症状があらわれる疾患です。
「脱髄」とは電線で例えると絶縁体に相当するミエリンが破壊され軸索がむき出しになることで、それが起きると情報がスムーズに流れず、さまざまな症状を引き起こします。
メーゼントは、S1P1およびS1P5受容体に選択的に結合するS1P受容体調整薬です。
S1P1受容体に作用することにより、リンパ球がリンパ節から移出することを防ぎ、その結果、それらのリンパ球が多発性硬化症患者の中枢神経系(CNS)に移行することを防ぎます。これにより、メーゼントの抗炎症作用が発揮されます。
また、メーゼントはCNS内に移行し、CNS内の特定の細胞(オリゴデンドロサイトおよびアストロサイト)上のS1P5受容体と結合し、ミエリン再形成の促進作用と神経保護作用が非臨床試験で示唆されています。
作用機序としては、イムセラもメーゼントも同じような感じです。
メーゼントの適応症
メーゼントの適応症は「多発性硬化症」であるが、具体的には、「二次性進行型多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制」となっており、イムセラの「多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制」とはちょっと違う。
多発性硬化症を発症した後の経過として、多くの場合、症状が急に出たり(再発)、治まったり(寛解)を繰り返す「再発寛解」(RRMS) の経過をたどります。
しかし、再発を繰り返していると、次第に再発がない時にも、体の機能の障害が徐々に進行していく「二次性進行型」(SPMS) の経過をたどるようになります。
再発寛解型にイムセラを使って、そのうち二次性進行型になったらメーゼントに切り替えるという形だろうか。
メーゼントの用法用量
イムセラカプセル/ジレニアカプセルが0.5㎎の規格のみなのに対し、メーゼント錠には0.25㎎と2㎎の二つの規格がある。
メーゼントの用法用量は、以下のようになっており、
通常、成人にはシポニモドとして1日0.25mgから開始し、2日目に0.25mg、3日目に0.5mg、4日目に0.75mg、5日目に1.25mg、6日目に2mgを1日1回朝に経口投与し、7日目以降は維持用量である2mgを1日1回経口投与するが、患者の状態により適宜減量する。
漸増が必要となっている。
漸増に使うメーゼント錠0.25㎎が12錠なので、専用の12錠入ったスタート用パックも売っている。
メーゼントの併用禁忌
メーゼント錠の併用禁忌として、
クラスⅠa(キニジン、プロカインアミド、ジソピラミド、シベンゾリン、ピルメノール)又はクラスⅢ(アミオダロン、ソタロール、ニフェカラント)抗不整脈剤、べプリジル塩酸塩を投与中の患者
と、イムセラ同様抗不整脈薬との併用に注意する必要があるが、イムセラがクラスⅠaとクラスⅢの記載のみなのに対し、メーゼントは加えてベプリジル(ベプリコール)の記載もある。まあ、イムセラであっても注意が必要なのには変わりないと思うが、イムセラ/ジレニアの添付文書には併用注意にもベプリコールの記載はない。
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