2025年7月9日更新.2,512記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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尿・便が着色する薬一覧

尿が着色する薬

薬の影響で尿が着色することがある。もし赤い尿が出たら、血尿じゃないか?腎臓の病気じゃないか?と不安になるだろう。激しい運動の後でも尿の色が赤っぽくなることはあるが、薬の影響で尿が赤くなることがある。薬の影響と知らなければ病気と勘違いする恐れもあるので必ず伝える。

しかし、薬の副作用や血尿などで赤っぽくなることもあるので注意を要する。血尿が出たときに止血薬のアドナが処方されることもあるが、アドナの副作用に「だいだい黄色がかった着色尿があらわれることがある。」と記載されており、着色尿の原因が血尿なのか副作用なのか判断が難しい。

また、コムタンのように副作用に横紋筋融解症なあどがある薬だと、尿が赤っぽくなるという横紋筋融解症の兆候に気づきにくいこともある。

▶尿が着色する主な薬一覧

商品名一般名色調添付文書の記載
アザルフィジンEN、サラゾピリンサラゾスルファピリジン黄色~黄赤色本剤の成分により皮膚、爪及び尿・汗等の体液が黄色~黄赤色に着色することがある。また、ソフトコンタクトレンズが着色することがある。
アスベリンチペピジンヒベンズ酸塩赤色本剤の代謝物により、赤味がかった着色尿がみられることがある。
アドナカルバゾクロムスルホン酸ナトリウム水和物橙黄色だいだい黄色がかった着色尿があらわれることがある。
アルドメットメチルドパ黒色本剤投与中の患者の尿を放置すると、メチルドパ又はその代謝物が分解され、尿が黒変することがある。
アローゼンセンナ黄褐色または赤色着色尿(黄褐色又は赤色を呈することがある。)
イーシー・ドパール、ネオドパストン、マドパー、メネシットレボドパ黒色唾液・痰・口腔内粘膜・汗・尿・便等の変色(黒色等)
オダインフルタミド琥珀色または黄緑色本剤の投与により尿が琥珀色又は黄緑色を呈することがある。
キネダックエパルレスタット黄褐色または赤色本剤の投与により、黄褐色又は赤色の着色尿があらわれることがある。本剤及び代謝物の影響による。
コムタンエンタカポン赤褐色着色尿(本剤又は本剤の代謝物により尿が赤褐色に着色することがある。)
セスデンチメピジウム臭化物水和物赤色本剤の代謝物により、赤味がかった着色尿があらわれることがあるので、ウロビリノーゲン等の尿検査には注意すること。
セフゾンセフジニル赤色尿が赤色調を呈することがある。
ハイボンリボフラビン黄色尿を黄変させ,臨床検査値に影響を与えることがある.
フラジールメトロニダゾール暗赤色暗赤色尿
フラビタンフラビンアデニンジヌクレオチド黄色尿を黄変させ,臨床検査値に影響を与えることがある.
プルゼニドセンノシド黄褐色または赤色着色尿(黄褐色又は赤色を呈することがある。)
ミコブティンリファブチン橙赤色本剤の投与により、尿、糞、皮膚、唾液、痰、汗、涙液が橙赤色となることがある。コンタクトレンズ、特にソフトコンタクトレンズは着色することがある。
ミノマイシンミノサイクリン塩酸塩黄褐〜茶褐色、緑色、青色本剤の投与により尿が黄褐~茶褐色、緑、青に変色したという報告がある。
リファジンリファンピシン橙赤色尿、便、唾液、痰、汗、涙液がリファンピシン及びその代謝物により橙赤色等に着色する。なお、血清も同様の着色を示す。また、ソフトコンタクトレンズが変色することもある。

便が着色する薬

薬を飲んで便の色が変わることがある。しかし、通常、自分の便をまじまじと見ないので、便の色が多少違っても気づかない。ただ、おむつをつけている子供の場合、親は便の色を気にする。小児にセフゾン細粒小児用や、フェロミア顆粒が処方されていた場合は、あらかじめ説明しておかないと、おむつ交換の際に気にするだろう。

一方、病気で便の色が変わることもある。便の色が茶色になるのは、肝臓でつくられる胆汁色素のビリルビンが便に含まれているからである。胆汁は肝臓でつくられた後、胆のうに蓄えられ、十二指腸に流れていくが、この胆汁の通り道である胆管がつまったり、胆汁をつくる肝臓の働きが悪くなると白い便になる。胆道閉鎖症肝臓がんなどで白い便になる。また、ロタウイルス感染症でも胆汁がうまく分泌されず、米のとぎ汁のような白色の下痢便が出る。

赤い便で、血の色が混じっているような場合は、下部消化管肛門に近い部位での出血が考えられる。痔であることが多い。イチゴジャムに似た粘血便が出たときには腸重積の可能性がある。

黒い便が出るのは鉄剤を飲んで黒い便が出るのと同じで、血液中の鉄分が酸化されて黒くなったものである。上部消化管(食道、胃、十二指腸)からの出血であれば、時間が経過しており、赤色ではなく黒色になっている。

赤ちゃんの場合、緑色の便が出ることがある。乳児の便は、黄色の胆汁色素であるビリルビンにより黄色っぽいが、ビリルビンが腸内の空気に触れて酸化すると緑色のビリベルジンに変化し、便が緑色を呈するようになる。そのため、排便回数が少なかったり、授乳の際に多量の空気を飲み込んだりしていると、便が腸内で空気に触れやすくなり、酸化して緑色になることがある。また、抗菌薬を経口投与しているときには腸内細菌の分布が変化し、腸内にビリベルジンが増え、便が緑色に着色することがある。

▶便が着色する主な薬一覧

商品名一般名色調添付文書の記載
イーシー・ドパール、ネオドパストン、マドパー、メネシットレボドパ黒色唾液・痰・口腔内粘膜・汗・尿・便等の変色(黒色等)
インクレミンピロリン酸第二鉄黒色本剤の投与により、一過性に便が黒色を呈することがある。
サクロン(OTC)銅クロロフィリンカリウム濃緑色服用後、便が緑色になる場合がありますが、銅クロロフィリンカリウム(緑色)が排泄されるための着色であり、心配はありません。
次没食子酸ビスマス次没食子酸ビスマス黒色服用によって便が黒くなることがある。[ビスマスが黒色の硫化ビスマスになるため]
セフゾンセフジニル赤色粉ミルク、経腸栄養剤など鉄添加製品との併用により、便が赤色調を呈することがある。
フェルムフマル酸第一鉄黒色本剤の投与により便が黒色を呈することがある。
フェロ・グラデュメット硫酸鉄黒色本剤の投与により、便が黒色を呈することがある。
フェロミアクエン酸第一鉄ナトリウム黒色本剤の投与により便が黒色を呈することがある。
ミコブティンリファブチン橙赤色本剤の投与により、尿、糞、皮膚、唾液、痰、汗、涙液が橙赤色となることがある。コンタクトレンズ、特にソフトコンタクトレンズは着色することがある。
リファジンリファンピシン橙赤色尿、便、唾液、痰、汗、涙液がリファンピシン及びその代謝物により橙赤色等に着色する。

このように、尿便の色調変化は、薬の影響のみならず、さまざまな要因が考えられる。

1 件のコメント

  • あみゅ のコメント
         

    ベンザブロックL錠を飲んだら尿が赤くなりました
    薬のせいなのかなぁ~(^。^;)

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